第135回(2018.04.20) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その135
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(49)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(37)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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A.先月号でIさんは、再生協議会のメンバーは日本的な「メンバーシップ組織」の卒業生のため、モノづくり的発想が基本にあり、モノづくりで成果をあげることを期待する。周囲の人材も同質であるから誰も反対しない。結果として彼らと異なるやり方の提案は拒否されると言っていた。

Iさんは再生協議会以外に町の地域老人会の会長も兼ねている。ここでも自己の意見を披露すると、再生協議会と同様な評価が待っている。しかし、それでは老人会がつまらないものになると確信し、会長をやっている意味がないとも思っている。そこでIさんは老人会で何らかの意義ある提案をし、自己の立場を確立する戦略を考えた。当然モノづくりではなく、ソフトで金のかからない提案を考えている。

I.再生協議会の主力は男性です。彼らは彼らなりの論理を持っているから、正面から彼らの論理を崩すことは困難です。

A.老人会はどうかね。

I.老人会に入ってみると更に保守的です。ただ、ここで怯んでいては戦略家の名が廃る肝心なところです。日本のエリート戦略家は学んだことを実践するが、状況の変化を頭に入れ、大手、からめ手、状況の変化に合わせた作戦を練らない。戦略は常に状況に合わせて大手、からめ手、他の方法を取るべきと考えています。

A.老人会のからめ手とは何かね。

I.地域老人会のメンバーの80%は女性です。老人会の役員は10名強で、発生した問題に対処しています。役員会の2/3は女性の役員です。日本の女性は今や男性より社会の変化を理解する能力を持っています。

A.それは、言えている。しかし老人会での発言力はないに等しい。老連の会合を見ると各老人会の会長は男性で、女性はいないではないか。

I.確かに老人会は再生協議会のメンバーの行動より保守的ですが、必ずしも頑固な老人の集まりではありません。ただ、老人会は現在のところ女性の会長が出ていませんが、決して彼女らが満足しているわけではありません。彼女たちに聞いてみると「老人の集まりだから自分たちが意見を言っても仕方がない」と思っているだけです。女性たちは老人会で指導者になろうとは全く考えていないだけです。

私は問題が発生するたびに役員会で全員に意見を求めますと、彼女たちは積極的に意見を述べます。ただし、この際質問の仕方をまくリードすることで、改革を有利に運ぶことができると考えています。

A.Iさんはどのような改革をしたいと考えているのかね。

I.現在の老人会の目標は町を挙げての『健康増進』で、認知症の予防に力を入れています。健康増進だけでは面白くないので『健康増進』+『α』という概念を取り入れたいと思っています。

A.『健康+α』。このαとは何かね。

I.『幸福』です。

A.Iさんの幸福論はすでに話題に乗せているが、何か進展があるのかね。

I.その通りです。この町は11月に町長選挙があります。この町会議員選挙に新人が立候補します。私は新人候補の後援会に入り、知り合いの家をまわり、新人候補の後援会への入会をおねがいしています。私の町では坂が多く、車を持たない老人は買い物に不自由な思いをしています。要介護の方々は医者通いに困っています。

ここで私は頭の中にしまっておいたアイデアを発表する機会が到来したことに気が付きました。老人会は単に自分の健康管理に貢献するだけでなく、保育園児の送り迎えに苦労している共稼ぎ家庭へのお手伝いができること、老人自身が他の人の役に立つ存在であるという認識をもつことができます。老人会の人々と外部の人とのふれあいで、新たな絆をつくることができます。また、買い物のお手伝いでは、双方に喜びを与えることができ、双方の絆が高まります。これが私の考える小さな幸福論です。米国流の大きな幸福は継続性がありません。小さな幸福を求めると割と簡単に手に入ります。そして次の幸福を求め努力をし、継続性が高まります。

A.小さな幸福論の成果は出たのかな?

I.町会議員立候補の新人は当選の暁にはこのような老人会の活動に、町の支援がえられるような活動をしたいといっています。そこで私は候補予定者の後援会に入会希望を打診して回ったところ、80%以上の手ごたえがありました。これは実践的な戦略が大切だと実感しています。

A.それはいい機会をえたものだ。来月も結果を報告してくれるとありがたい。



以上




A.先月号は1年間のまとめであった。気が付いてみると、まとめの重要性が見えてくる。そして、今月号からは健康と幸福論を展開してくれるという。幸福というテーマは個々人で相違があるため、戦略論にはなりえなかったが、あえて戦略論として取り入れたところが面白い。大いに期待したい。

I.簡単に昨年の戦略での成果をお知らせしたい。
着眼大局、着手小局という言葉があります。グローバル市場で“勝ち抜くためには戦略が必要”ですし、着眼大局というビジョンが求められています。
しかし、ある本を読んで気が付きました。欧米の組織は「ジョブ型」組織です。その仕事に合わせた人材を投入して勝利を得るための組織で、有能な人材が集まって成果を出します。他方日本の組織は「メンバーシップ型」組織だといわれています。この組織の特徴は仕事の新しい成果を求めるより、失敗しないことが命題となっています。建前とことなり、現実は経験したことのない仕事はしない仕組みとなっています。私はこの再生協議会で「ジョブ型」組織をつくり課題解決をする提案をしましたが、協議会のメンバーは役所、大企業、中小企業で働いてきた終身雇用の「メンバーシップ型」組織です。した。役所、大企業、中小企業も皆、終身雇用のメンバーシップ型組織の人々です。グローバルということばは知っていますが、グローバルビジネスがどんなものか経験していません。したがって私の発言はほら吹きに見られてしまいます。そのため、私は自分の戦略を頓挫させることにしました。彼らが目指しているのは失敗しないことに切り替えました。

協議会の計画は日本人らしく、モノづくり方式です。本年度は完成したモノの維持管理する年です。本年度になって試算すると、持続維持費が生み出せないことに気が付きました。この時点で、新規プロジェクトは管理費不足という、行き詰まりに気が付きます。気が付くまで、結果を待ちます。

A.なるほど、一度負けて、次に勝つという手法だな。そこで何をするのかね。Iさんの戦略を聞かせてもらいたい。

I.しかし、このような深刻な事態は、今年後半になるでしょう。
そこで、再生協議会のテーマから離れて、今回は老人会を少し良くしたいと考えました。現在の老人会は、会長になり手がいなくなり、崩壊に向かっています。老人会はすべての行事をボランティア活動ですることを基本としています。没落企業の経営者の失敗は、経費の節減で苦境を乗り切ることを考えます。その結果、この企業は急速に滅亡していきます。再生協議会のメンバーは大企業出身のビジネスマンが多いのですが、ボランティア活動だけでビジネスを運用することに熱心です。当面彼らの熱意に敬意を払うつもりです。

老人会の話をします。町は元気な健康老人づくりに力を入れています。老人が減れば、年金、医療費という厚生費が下がります。動物の世界なら自力で生活できないと生きていけないから老害の心配はありませんが、元気な老人は年長者、組織の大先輩という看板を盾に細かいことまで支配したがります。そこで会に魅力がなくなり、若手は入会しなくなります。お役所が善意で良かれと考えた仕事は、お役所の思惑と異なった結果になるわけです。頭だけの戦略は役に立たないという事例です。結果は仕方なく、老人を使って、“痴呆防止”キャンペーンを掲げて努力していますが、全員の痴呆防止化は困難だと思います。

本件で、広く世界を眺めてみると、アメリカでは安楽死を認め始めています。中東はイスラエルとパレスチナで争い、シリアでは米英仏の連合軍が空爆をしています。お返しに欧州ではイスラムテロが頻繁に起き、次第に不幸な環境が増えてきました。
他方世界の資本主義は強欲資本主義と化しています。表ざたでは見えないのですが、世界はユダヤ人に支配されています。ヒットラーが危惧した結果が出てきました。インターネットの発達で、国境に支配されず、ビジネスができます。彼らは米国に住みながら、税金のないに等しい国に籍を置いて、世界の金の半分以上支配し、更に増大しています。米国議会はユダヤ人の支持を得ないと、選挙に勝てない事態になっています。

しかしながら、日本は今のところ平和です。米国人は大きな幸福(金持ちになり、より高いソサイエティに所属することで成功者となることを試みる)が彼らの答えです。
それに引き換え、日本人は大きな幸福を望みません。小さな幸福が日本人の望みです。私も日本人らしく、小さな幸福を願っています。大きな幸福は壊れやすいと思います。小さな幸福は少しの努力で、幸せを継続することができます。

A.それも面白そうだな。具体的な方法を話してくれないか。

I.来月にはその一端をお話しします。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
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第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
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第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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