第74回(2013.03.15) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その74
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」
―ビジネスの基本に戻ろう(12)―
−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― 12年04月

「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(2)― 12年05月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(3)― 12年06月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(4)― 12年07月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(5)― 12年08月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(6)― 12年09月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(7)― 12年10月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(8)― 12年11月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(9)― 12年12月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(10)― 13年01月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(11)― 13年02月


今月でITシステムの話を終わらせよう(6)

D.先月はBさんの話を面白く聞きました。今回は年度末なので、私がここ2年間研究してきた「経営とICTの融合」の話をさせてください。

A.面白そうな研究だと思うが、それはどんな話かな。

D.私達はインターネット時代で最もたよりになるICTを経営者がいかに活用したか、どのように経営とICTを融合したかを調査しました。Bさんの話で『「競争に勝つ条件」−過去50年の経営イノベーションにヒントがある−の話で経営者が先頭に立ってITを活用した企業は成功し、世界的な企業として評価されています。米国産のソリューションパッケージと言われるITシステムをベンダー任せに導入した企業はシステム導入の効果がはっきりせず、仕事の進め方も殆ど変わっていない』ということが分かりました。20%、80%の法則を借用しBさんのお話を評価しますと、成功事例は20%で、80%は効果の薄いシステム導入だったと申し上げたい。

A.それは興味のある話だね。Bさん本当ですか。

B.確かに本には成功事例しか書いてありません。失敗事例を私は「アメリカ出羽の守」(アメリカではこうこうしていますと、無批判にアメリカ礼賛をする)という表現で書きました。その対策として日本再生のために何をするべきかと考えた本が「ミッシリングリンク」だとその内容を説明したわけです。

A.分かりました。Dさんはその失敗事例で何を話したいのですか。

D.IT業界では納入したシステムに対し、評価基準としてシステムのQCD(品質・予算・納期)が守られたかで判断していますから失敗と言っていません。しかし現実は経営的効果が薄いことは認めています。それをBさんは「アメリカ出羽の守」の話で間接的に失敗に近いと表現されています。私が申し上げたいのは、経営的に効果がなかった本当の原因を経営者が理解していないのではないかということ、「さらに恐ろしい問題が控えている」ということです。

A.それは重大なことですね。話を聞かせてください。

D.今、業界は「クラウド」の売込みを盛んに行っています。金銭的ゆとりのない中小企業に対し『クラウドは投資資金が不要です。すべて経費で処理できますから、毎年使っただけの費用ですみ徳です』と売り込んでいます。

A.中小企業にとって結構な話ではありませんか。

D.これは先生らしからぬ発言ですね。高度成長時代は「アメリカ」のまねをしていればよかったが、今は韓国、台湾にも負けている状況です。それは日本の経営者が有効な経営戦略を持っていないからです。戦略なしには厳しいグローバル競争に勝てません。私の見るところ日本には2つのタイプの経営者がいます。

A.手厳しく言われてしまったが、その通りだな。まず君の分析結果を聞きたいね。

D.優秀な経営者と有能な経営者です。前者はエスタブリッシュな大学を優秀な成績で卒業し、若いときから期待され失敗せずに経営者に上り詰めた経営者です。後者は経営センスの高いオーナータイプの経営者です。後者は高度成長期に経験のない仕事を失敗しながら数多く処理し、苦労して経験を磨いてきました。しかし、最近はなぜか失敗が許されない時代になり、将来を期待されている優秀な人間は失敗しないことが仕事になりました。日本では未だに稟議制度で共同責任体制を守っています。グローバル時代の戦略はリスクの高い将来予測です。リスクを包含しない戦略は無意味です。リスクを想定し、シミュレーションし、データ分析から経営の舵取りできるIT化が求められています。戦略のない経営者はビジネス要求がだせないため、IT化で米国産のソリューション・パッケージを採用しています。同様に経営戦略のないクラウド化も競争力向上につながりません。Bさんが紹介した経営者はオーナータイプの有能な経営者です。渡部昇一という上智大の教授が面白いことを言っていました。私の母親は学がないけれど、『世の中で最も困ったことは「勉強したバカ」が大勢いることだ』、お前は気をつけろよと。

A.面白い分析だね。地域独占企業、国家組織等競争のない組織では入社時の成績が本人のプライドにも影響し、失敗しなければ組織で成功するパスができあがっているようだね。
 最近脳の専門家から聞いた話では、そのような組織に入ると、全員がいやおうなしに、
 組織脳になり、そこから抜け出せないといっていた。今日はいいヒントをもらった。皆さん方も「勉強したバカ」にならないで欲しい。私の解釈を付け加えると、優秀な人材は人受けのする戦略(MBAで学んだもの)を採用するが、有能な人材は人が考えない(時に人を騙す)戦略を立て、これを公にしない。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)   (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)   (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)    (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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