第53回(2011.06.10) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その53
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(3)
−What toからHow to enjoy project managementへの転換−
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


−What toからHow to enjoy project managementへの転換
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)−11年04月号
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― −11年05月号
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(3)―緊急時の対策― −11年06月号


B.先月号は現実に起こっている事故に対し、対策組織のあり方が書かれていました。同時に組織の持つ企業文化的側面と個人の生き方についての考察まで書かれていました。先月号を手元において、その後の推移を見守っていました。この知識がなく漠然とテレビを見ているのとでは大違いでした。

A.それは面白いね。何がわかったか教えてくれるかね。

B.最初の感想は「テレビというのは、真実を伝える能力より、悪いところを穿り返して、センセーショナルに取り扱うもので、真実とは違うことに価値を置いているようです」。次は「現場と本社の対応の差です。今回はタイプ2型俗人的有能野心家の本社とタイプ3型
 責任感、実践力、行動型の現場所長の出現」です。今回の事故で東電にタイプ3型が指揮を取っていたことは特筆すべきここと思いました。

A.君はこのPMエッセイ講座の模範的生徒でステップ1(知識ベース)を卒業し、ステップ2(実践ベース)も理解し始めている。頼もしい生徒と思うよ。ところで、テレビに関する感想を聞かせて欲しい。

B.放送の目的に優れた意図が感じられないことです。原発事故問題では、原発反対派の学者を連れてきて「だから、わたしが云ったじゃないの」と言わせて、どのような価値があるのか理解できません。賛成派と反対派で問題を掘り下げないと真実はわかりませんよね。

A.するどいね。その通りだな。この時点では事故の真因と対策が大きな論点で、双方が協力して、問題点と対策を討議することだよね。欠点ばかり掘り下げても何の解決にもならないね。アポロ13号の事故のドキュメント番組を見たかね。事故解決には20,000人以上の各種技術者が対策案を地上から出し、それをシャトルのスタッフが練習してトライしていた。地球への帰還には2つの大きな決断が必要であった。そのまま地球に帰るか、月の引力を利用して帰るかだ。次が地球への着水のための軌道修正だ。この責任者はジョンソン・スペース・センターのフライト・ディレクターのジーン・クランツだ。最後に「神のみぞ知る」決断を彼が行った。ドキュメンタリ番組で見た彼は鷹の様な鋭い目ときりっとした口元で意思の強さを表しており、彼の決断なら仕方がないという雰囲気を持っていた(映画のクランツはその雰囲気が希薄だった)。
 私が国際宇宙ステーション関連の仕事をしていた会社の社長は宇宙開発事業団の元理事で、ジーン・フランツと懇意で、彼の自宅を訪問した際の写真を見せてもらった。フランツはもと空軍のジェットパイロットで、常に想定外の問題にぶつかり、問題解決を経験してきた人物で、趣味はプロペラ式クラシック飛行機を数台自宅で保有し、これを乗り回すことであったという。

B.想定外も訓練することで、鋭い勘が生まれるのかもしれませんね。ところで原発問題は、東電幹部と現場の所長との確執が報道されていますが、タイプ1型の幹部にそれだけの見識と覚悟があるのでしょうかね。アポロ13号ではNASA幹部は現場に任せました。日本では企業文化を優先して肩書きが優先するのですかね。でも今回の現場所長は頑張りましたね。

A.私もむかしは原子力関連の仕事を12年間やっていたが、原子炉周りは素人で今でも論理的に説明できないが、東京工業大学の先生の研究会に参加させてもらっていた。ここではデザイン・アクシデントといって、想定外の事故を想定して解決する研究をしていた。この先生は日本国の原子力委員長に選ばれた原子力推進派でエネルギー問題の権威だ。現場所長は東工大の原子核卒だから、肩書派に抵抗できたのは、このグループのバックアップがあってのここと推察しているがね。
B.ありがとうございました。何かいろいろと見えてきました。ところで、災害後の復興が問題ですよね。まだ、青図(全体構想)がよく見えないのですが、どうお考えになりますか。

A.わかった。当面の超緊急問題はこれで終わりとして、緊急問題に取り組んでみよう。それは復興問題だね。青図が出ていないのは問題だが、個々には沢山の提案が政府関連に集まっている。これを見るとこの機会にXXしたいという2つの流れがある。第一が復旧提案だ。第二が復興提案だ。復旧提案は基本的に今と同じにしたいという発想だ。復興はこの際従来からの慣習に囚われず、新しい社会づくりに取り組もうという発想だ。
復旧案のよさは被災者の望む「ふるさと」への願いがかなえられることだな。復興案は「ふるさとは遠くにありて想うもの」という発想だな。第一案での問題は何か解るか。

B.先生の質問の謎を解いてみましょう。第一案はハードで回復するということで、多大の予算を必要とし、国、地方自治はこの際予算獲得が容易になると目論んでいる。既得権益者であるゼネコンもまた一息つける。政党は選挙での票を獲得でき復活が果せると、言わせたかったのでしょう。そこで先生は、『では、震災前の「ありのままの姿」が本当に望ましかったか』ということを質問する。

A.よく読んでいるね。来月はこの問題に取り組んでみよう。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
  (15)   (16)    (17)   (18)  (19)   (20)  (21)   (22)   (23)   (24)   (25)   (26)   (27)   (28)   (29)    (30)   (31)   
 

 
一覧に戻る
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.