第28回(2009.04.10) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その28
「何か変だな」(6)
〜「タテマエとホンネ」とは何か?
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「顧客は神様か?」−(1)08年11月号
「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」−(2)08年12月号
「問題と課題の違いがわかるかな?」−(3)09年1月号
「資格を取っても役に立たない?」−(4)09年2月号
「物事」とは何か?(5)09年3月号
−「タテマエとホンネ」(6)09年4月号

A.新年度になったね。何か聴きたいことない。
B.毎年新人が入社します。新人教育があります。社会へ出て新人が戸惑うのは、「タテマエとホンネ」という日本語だと思うのですよ。どのようにして「タテマエとホンネ」を説明しますか。
A.言われてみると説明が難しいよね。Bさんならどう説明する
B.「タテマエとホンネ」と言うときは、タテマエ上はこれが正しいのだが、表面的な正しさとは別の理由で、そんなことできないから、ホンネではこっそりやらせてもらっていますよ、というようなことですかね。
A.辞書を見ると「タテマエ」とは公に決められた原則・方針とある。ホンネとは「本心はこれこれだ」ということになるのかな。「ホンネとタテマエ」を新人に正確に教えるとなると大変難しい。それはケース・バイ・ケースだからだ。ケースは人によって判断が違うから説明しきれない。しかし、これを知らないと日本人として世渡りができないからね。
B.談合ってのがありますよね。タテマエでは悪いことですよね。でもなくなりませんね。ホンネは認めていることだからでしょうか。
A.君、鋭いね。昔、土木工事で徹底的に競争入札をさせたわけ。最低値で落札した会社のプロジェクトマネジャーは、赤字を避けるために実行予算を削った。結果手抜き工事となり、トラックが入った倉庫の床が抜けてしまったり、地震で陸橋が壊れたりしたの。このような公共投資は100年以上の耐久性が要求されるから、品質を保証してもらう必要がある。公共投資の物件の本音は値段より品質が重要なんだ。しかし「タテマエ」上、品質が価格より重要だというと、「国民の血税を何と思っているのか」とマスコミから袋叩きにあうよね。日本人は賢いから、ホンネはこっそり談合をしているらしい。でも役所が査定した金額を下回るという線で秩序を保っている。そこでたまに警告的に談合を摘発するということをしているのかもしれないね。
B.なるほど、なるほどと言いたいのですが。最近は少し仕事が減っていますが、以前は多すぎて困りました。プロマネとして余分なプロジェクトを断ると、上司が「後から何とかしてやるから」といわれて、引き受け、赤字を出したら怒られましたよ。「どんな事情があろうともプロマネはきちんとした成果を出さなければプロといえない」とタテマエで叱られました。
A.それはよかったね。
B.(むっとして)良かったとはどういう意味ですか。
A.もし、上司がホンネで怒ったら後がこわいよ。タテマエで叱られてよかったねということ。
今度は別の角度から見た「ホンネとタテマエ」の話をしよう。最近はMOT(技術経営)流行で戦略論がやかましい。細かい話は抜きにして、戦略があまり役に立っていない。企業はこぞって「IT戦略がわが社の将来を決する」と社長さんは新聞発表する。これはタテマエ上の話し。ホンネはIT投資が効果あるか良くわかっていない。なぜ、戦略が役に立たないかというと、米国で成功した戦略を丸々採用するから、組織運営の違う日本で成果が出るかわからない。
B.そんなものですかね。むずかしいものですね。
A.ところが、経営の神様いわれるセブン・イレブン会長の鈴木敏文氏によると「私は戦略を考えたことがない。ただ、どうすれば顧客が買ってくれるか、ホンネで一生懸命に考えて行動しているだけです。競争相手が何を考えているか気にしていません」。
B.なるほど、なるほど。ホンネで考えればいいわけですね。それなら私にもできますよ。ところで米国では「タテマエとホンネ」という発想はないのですか。
A.米国は訴訟社会だから「タテマエ」上はないね。しかし、人間社会だからないとはいえないね。日本語の「ホンネ」のことを彼らは「ストラテジー」というそうだよ。
B.ハハハ。それは面白い。戦略はアメリカでもホンネで考えるということですか?



プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14) 
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