第6回(2007.06.08) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その6
仕事を減らす楽しみを覚えよう(3)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

第6回「仕事を減らす楽しみを覚えよう」(3)

前回は「他人の時間を使って自分の仕事を減らす手法を覚えよう」である。これは最も簡単でありながら、一般人があまりやりたがらない方法で、通称「権限委譲の手法」という。人々は一度手に入れた権限は離したがらないのが人情である。権限とは自己の影響力の大きさで、自己満足を満たすからである。しかし、自己満足していると時間の節約にならない。権限委譲して楽をしようというという提案であった。

今回は「スタンダードを使うと手間が1/10になるよ」である。日本人は基本的に標準化やマニュアルが嫌いである。情報関連のマニュアルを読むと腹が立ってくる。マニュアルの内容がわからないからヘルプに尋ねる。わからない最大の理由はカタカナ語の意味がわからないことである。そのためヘルプに依存すると、更にわからない単語で説明してくれる。これでは読んでもわからない。かくかくしかじか、私もマニュアル嫌いである。

PMのスタンダードというと世界中の人々はPMBOKという。PMBOKの1996年版と2004年発行の第3版を比較すると後者は格段に充実している。PMBOKそのものがマニュアル化している。PMBOKはIDEFの思想で構成され、業務がプロセス化されている。例えば、インプット情報は契約、プロジェクト作業範囲記述書、組織のプロセス資産等、このインプット情報が揃うと、これこれの知識やツールを使って業務プロセスを実施すればアウトプットとしてプロジェクト憲章が得られると丁寧に指示している。IT関連者はPMBOK信奉者だ。P2Mの話を持っていっても耳すら貸してくれない。そのことはよしとしよう。信奉者だからどの程度PMBOKで仕事をしているか確認すると皆使っていますという。

「このプロジェクトは契約書がありますか」
「まだです」
「スコープが決まっていますか」
「まだ、あいまいです」
「WBSを書いていますか」
「いえ、つくっていません」
「WBSがなくてどのように工程管理しますか」
「おおまかにやっています」

3版をよく見るとわかるが、インプット資料、アウトプット資料が標準化されて、整えておかないとPMBOKを有効に使うことができない。インプット情報の標準テンプレートを数種作っておくと簡単な変更で再利用でき、テンプレートそのものが業務上のチェックリストともいえる。テンプレートがあると、業務の大きなところから仮決めをして仕事を進めることができる。変更覚悟であるが、仮決めをして仕事を進めると、意外と変更に手間がかからない。仕事の80%は段取りで、仮決めでも段取りの仕事は進められる。1日かかった仕事でも変更は1時間でできる。それはテンプレートがあっての変更だからである。仮決めでもテンプレートで行うと結構顧客に対し、プレッシャーを掛けることができる。顧客が真剣に考えはじめるからである。仮決めでも証拠が残るから追加の対象になるし、駄目でも、変更履歴が残るから、後々便利である。

 Web進化論という面白い本に書いてあった。日本人は物知りだが成果物が少ない、米国人は日本人より物知りではないが、成果物をつくる。使わないものを勉強して、俺は知っているよといっても、最近は物知りを尊敬しなくなった。

今月の結論:
「資格とかけて何と解く」
「足の裏の米粒と解く」
「その心は」
「取っても、食べられない」

これは日本の現状を表しているかもしれない。しかし、資格を取ったら、資格を活かす工夫をして、業務を合理的に進めるのがプロフェッショナルではないだろうか。

以上
  
プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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