第54回(2011.07.08) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その54
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(4)
−What toからHow to enjoy project managementへの転換−
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


−What toからHow to enjoy project managementへの転換
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)−11年04月号
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― −11年05月号
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(3)―緊急時の対策― −11年06月号
「プロジェクトを実践して楽しもう!」(4)―緊急時の対策― −11年07月号


B.先生、私はクール・ジャパンという番組が好きで見ていますが、今回の放送は感激しました。

A.それは面白いね。何がわかったか教えてくれるかね。

B.今回の震災後の日本人のボランティア活動です。日本が大好きなクール・ジャパンの外国人の取材活動後の感想です。「日本の多くの人は、災害に会った人々に対し、自分達は被害に会わなくて、何もお役に立てなくて申し訳ないという気持ちを皆が持っていることがわかった。また、現地でボランティア活動をしている人たちは、少しでも被災地の人たちのお役に立ちたいと、涙ぐましい努力をしていたが、驚いたことに、彼らが被災地の人たちから多くの元気をもらった」と言っていたことです。日本人は被災者を他人事と思わないやさしい気持っていること、それ以上に被災した人々のたくましい元気さに彼らは感激したことです。自国では決して起こり得ない現象だとして、日本が益々好きになり、「日本が第二の故郷になった」と全員が言っていたことです。

A.クールに言うならば、日本には昔から怖いものとして「地震、雷、火事、親父」といって、災害慣れしているからかもしれないが、言葉を替えると、日本の庶民はいまだ健在といえるね。

B.先生、最近の親父は怖くないから、親父の代わりに台風と洪水を入れてください。
 冗談はさておき、庶民に比べて、日本の上層部はどうなっているのですか。この緊急事態で総理大臣を辞めさせることに情熱を注いでいますが、止めさせたい人々は日本をどのように復興させるか、災害地以外も含めた日本の将来図を持っているのか、示してもらいたいのですが。

A.するどいね。その通りだな。シンガポールの元首相が言っていた。「私達は日本を見習って、今日の繁栄を得ている。その日本の責任者がこの国の将来図を出していない。私達は日本に更によくなって欲しいと願っているが、残念だ」と。

B.将来図を書くことの必要性はわかりますが、簡単に書けるのですかね?

A.どの国も、会社も、あらゆる組織には将来を見据えた青図(全体構想図)が必要だよね。シンガポール元首相は英国で教育を受けたリーダーで「ノブレス オブリージュ」の精神をもって社会に貢献しているから、日本のエリートも当然その精神を持っていると思っている。しかし、残念ながら「日本のエリート」には、そのような精神を持ち合わせていない。では何故、日本では青図を書かないのかわかるかね。戦後から今まで日本の教育は正解を教えてきた。しかし、現実の社会に正解はない。米国は常に挑戦して正解と思われるBM(ビジネス・モデル)を生み出してきた。日本のエリートは「アメリカ出羽の守」でその追従をすればよかった。残念ながら米国は「ものづくり」のための資金とノウハウを新興国に提供した。そして本家は金融に活路を見出してきた。自ら正解を創れない日本のエリートは日本の将来像となる青図を書くことができず、目先の景気対策で、国債を発行し、付加価値を生み出さない「ハコモノ」をつくって、既得権益者の延命を図ってきた。だから災害後も国や地方自治からの提案は復興でなく、復旧に近い「ハコモノ」提案が多い。

B.それって「エリートの堕落」ではありませんか。誰が日本の将来の青図を書くのですか。本来なら官僚がする仕事でしょう。何しろ東大での秀才が集まっているところですから当然でしょう。

A.そう思うだろう。ところが日本には国家戦略をまとめる役所がない。わかるかね。秀才が一生懸青図を書くが、自分の所属する省以外の青図は書けない建前になっている。各省庁が皆流行のテーマ、研究を取り入れるから国全体から見ると部分最適、全体不最適な青図となり、効果ある政策を生まないプロセスを毎年繰り返しているんだな。 

B.なるほど。官僚機構の力学はわかりますが、これでは優秀な人材の活用ではなく、結果的に「日本のエリート」の堕落に繋がっていると思います。そこで私が彼らのためにアイデアを出したいんですが、笑わないで聞いてもらえますか。

A.私も日本をよくするアイデアに困っているんだ。何でも云ってみたまえ。

B.ではお言葉に甘えまして発言します。
 @各省庁に、日本国の総理大臣になったと思って、省益を抜きに国家戦略と将来の青図とそこへ到達するロードマップを提供させる。コンペをさせます。国家天下を競争で考えさせることで新エリートを育成する提案です。
 Aコンペの結果を見て、エリート集団を集めて、官僚機構の再構築を考えさせるのです。
 これに参加できることがエリートと呼ぶことにし、その中から、国家戦略機構のメンバーをセレクトします。これは35歳以下とするというアイデアです。

A.面白いね。青図の話は大切だ。来月も続けて議論しよう。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14) 
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