第127回(2017.08.22) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その127
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(41)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(29)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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I.先月はAさんから「住民の関心が薄く、行政も熱心でないなら、肩の力を抜いてコトに当たった方がいい。いずれ、収入増を求める行政側からの要請がある。それまでは手元にあるという総合戦略は出さない方が無難だな」とのご忠告を頂きました。肝に銘じましたが、たまたまデービッド・アトキンソン著【世界一訪れたい日本のつくりかた】という本が7月20日に出版されました。2年前に出版された同氏著【新・観光立国論】へのブックレビューをアマゾンから依頼された関係で、今回も依頼を受け、ブックレビューを書きました。余談ですが前回はアマゾンからアトキンソン氏の【新・観光立国論】のブックレビューを依頼されましたが、同じ時期(2015年6月)に寺島実郎著「新・観光立国論」が出版されたため、両氏のブックレビューを比較しながら書きました。このブックレビューはグーグルに掲載されたので、びっくりしました。 

 そこで前書も再度読み直しました。アトキンソン氏が指摘した日本の観光戦略は、日本の現状から出発した量的に規模の小さな増加でした。アトキンソン氏が解析した日本国の持つ可能性を有利に展開する発想もなく、今の観光収入を定性的に2倍にするという簡易手法を採用しており、日本人は科学的手法がないと指摘しています。これは地方再生活動でも各市町村が実行している実績主義と同じです。アトキンソン氏と私の相違は、「彼は欧米流の手法と異なると日本流を簡単に批判できるが、日本的ムラ社会に席を置く私は批判する立場になく、郷に入れば郷に従う立場で、反対はできない」ことです。ここではイギリス人経営アナリストが考えた日本の観光産業の在り方の批判を学ぶことが有意義であると考えアトキンソン氏の主張を勉強することにしまた。
 新・観光立国論からは

・第1章 日本を救うのは「短期移民」である。イギリス人アナリストの手法
 “アベノミクス”で安倍総理は日本の現在のGDP500兆円を600兆円にすると宣言し、生産性向上を示唆した。これまでの世界経済では国民総生産は人口に比例するということで推移しています。生産性を上げても、国民の購買力は向上しないから人口に比例するわけです。著者は「米国のように移民による人口増大はGDPを上げることはできる。しかし日本国は移民を嫌っている。それならば外国人を短期間日本に呼び込み、滞在させる観光を「短期移民」と見なせばGDPは上昇する。また、観光に対して世界的に見て長期滞在型観光政策を推進するべきであるとしている。中国人による短期爆買いは、その分だけ日本からの輸出が減少するからCDPは増えないし、短期滞在のため観光収入は高くないといっている。 日本も収益の上がる観光政策を考えるべきとしている。

・第2章 日本人だけが知らない「観光後進国」ニッポン
 第1章で観光立国がGDP増大に貢献することがわかった。しかし観光立国を成功させるためには明確な基準がある。
@2014年世界の観光産業の世界的平均はGDPの9%である。日本は2%、ヨーロッパ諸国の人口に対する外国人観光客は80%である。日本は8.2%である。
問題点1.GDPに対する観光産業の比率が低い。観光産業を低く見ていた
問題点2.観光客一人当たりの支払額が低い。長期滞在型旅行客を増やす試みが不足。今は「アジア」系の観光客で、欧米各国からの旅行客を呼ぶ戦略を打ち立てていない。

 第3章 「観光資源」として何を発信するか?
「日本は世界一訪れたい国」としての潜在力を持っている:
  観光立国の4条件:「気候」、「自然」、「文化」、「食事」これらの有利性をどのように生かすかを考える能力が求められている。
@ 日本はこの4条件を満たす稀有の国であるが、この4条件を観光に適応させる方法を研究していない。
理由1.国全体が製造業に特化したムラ社会を構成し、成功してきたが、1990年以降、先進国の需要が衰退し、新しい産業の開拓(含む観光産業)という発想が国に乏しかったこと。モノつくりにのみこだわり、新しい価値をつくりだすという発想がもとめられなかったこと。
理由2.観光立国を叫びながら観光戦略がなく、自然の流れに任せ「アジア」からの観光客に依存している。上客を選ぶという発想とその対応が求められている。

A.Iさんが地方再生で困っている日本的ムラ社会とはどのような発想をするのか、わかってきました。しかしまだ、釈然としないものがある。来月を期待する。

I.来月も日本ムラ社会が観光にどのように対応するべきか、アナリストの鋭い指摘を【新・観光立国論】、【世界一訪れたい日本のつくりかた】の目次で更に紹介します。




以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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