第83回(2013.12.17) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その83
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(9)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(3)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(4)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(5)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(6)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(7)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(8)

A.先月は「勉強したバカ」についてBさんは「日本人全員が、勉強したバカ」に該当するといった。なぜなら、グローバリゼーションで大きなビジネス機会が出現し、世界中のビジネス関係者はこのビッグチャンスをものにしている。しかし、日本企業のエリート経営者はグローバリゼーションを危険なリスクの多いビジネスと捉え、守りに入った。

Bさん「正解のある問題を暗記し、偏差値の高さでエリートとなった彼らは、国内での高い評価に安住し、リスク処理もできない。現役の東大生も同様に偏差高さを誇っているが、世界的に見て東大は33位の評価で、ハーバード大へ留学できる基準に達していないということを脳科学者茂木健一郎に指摘された。しかし、日本人全員が今でも子供を東大に入れることを最大の誇りとしているのは、世界情勢をしらない大バカ者ではないか」という。そこで今月は「脳のひらめき」の話をすることだったかな。

E.先生、そのとおりですが、今「アベノミクス」が現政権の基本政策として実行に移されています。しかし、多くの人々は「アベノミクス」とは何か分かっていません。この問題を取り上げて議論し、この中で現れている「勉強したバカ」を取り上げるのはいかがでしょうか。「アベノミクス」は日本の将来を開くのか、埋没させるのか分かれ道になっているからです。この問題の検討が最重要課題と思います。

A.Eさん。それはいい意見だ。言いだしっぺで申し訳ないが、君が「アベノミクス」を解説してくれるかね。

E.承知しました。

T.安倍総理が進める「アベノミクス」とは
この政策は現在のデフレを解消するために金融政策で、物価2%上昇させ、円高を是正、円安を呼び込み、日本からの輸出を促進しようというアイデアです。

 @ 大胆な金融政策(不況脱出)2%の物価上昇
 A 機動的な財政政策 13兆円(災害地復興3兆円、地域開発、3兆円、再生医療3兆円
 B 成長路線:民間投資を喚起7つのテーマ(民間投資3年70兆円、インフラ輸出30兆円、外資導入3年35兆円、農業輸出1兆円)

・これらはすべて国民総生産GDPを増加させるものです。
基本的には大胆な金融緩和政策で、市場に円を流通させる。この結果円の流通量がふえるから、円の価値が下がる。人々は今貯金しても、貯金の価値が下がるので、モノを買う方向で動きだし、世の中に景気感が生まれ、さらに人々の気持ちを買い物に走らせるので目標を達成できる。同時に機動的な財政政策として13兆円の金を機動的に使い、景気を更にあおります。最後の成長路線が最も大切です。民間投資を増やしてもらう政策です。

C.日経新聞に経済教室というコラムがあります。これによると
@景気回復に成功している。
13年度は成長率2.7%で、14年度は0.8%が見込まれ平均で1.75%の成長となります。この理由は公共投資の拡大や、消費税増加前の駆け込み需要だとみています。ただ、期待された円安による輸出の増加は現在見込まれていない、というのが近況です。

D.実は「アベノミクス」以前の政策は民主党の無駄予算の縮小等でデフレ政策だといわれています。デフレのため円高となり、輸出が伸びないと経団連は主張していました。
ミスター円として有名な元大蔵省財務官榊原英資氏は「日本経済「円」の真実」を2012年10月に出版しています。その内容は

 @ 深刻な円高で日本は苦しんでいる。→80円/$は円高ではない。
 A 為替介入で円安にせよ→為替介入は効果がない
 B 円高のせいで輸出企業が不振→日本企業の言い訳→不振の原因は外にある
 C景気刺激を図り、新たな成長シナリオを描け→成長戦略はもういらない

◎ユーロ危機が世界金融危機に普及し、世界同時恐慌の足音に日本は気づいていない
榊原氏の主張はアジアが強くなり、従来の市場主義から国家資本主義へシフトが始まっている。現在の金融資本で活躍したデリバティブ等は規制を受け縮小気味にある。このため市場原理主義は崩れ、低成長の「成熟経済」が定着する。日本は従来からの製造業、輸出という殻から抜け出し、強い円を活用して、「国家ファンド」を構築し、海外の企業を買収することを考える。成熟社会の進む道である。

A.Dさん。これも一理あるね。

D.榊原氏の本に対し、アベノミクスを指導者であるイエール大学名誉教授の浜田宏一教は素早く、2013年1月に「アメリカは日本経済の復活を知っている」を出版し、日銀政策を批判し、彼の金融政策の正当性を論じました。ほどなく安倍総理が「アメノミクス」を発表しました。

B.「アベノミクス」に反対する立場で浜矩子同志社大学教授が2013年11月「老楽国家論」、「デフレの正体」で50万部売り上げた日本総研の藻谷浩介氏が2013年7月「里山資本主義」を出版、広井良典千葉大学教授は「人口減少社会という希望」を2013年4月に出版しています。また、浜田教授は「アベノミクスとTPPが創る日本」を2013年11月に出版しています。

A.議論が面白くなってきたな。皆で担当を決めて来月までに読んできてください。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)   (9)  (10)  (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)   (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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