第43回(2010.08.10) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その43
「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(8)
〜「How toの時代からWhat toへの転換」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

−「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に消火活動チームの設置」  10年01月号       
−「働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!」  10年02月号         
−「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」− 10年03月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−10年04月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年05月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年06月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−10年07月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−       

A.先月は原子力発電所の失注の話をしたよね。最近経済産業省が変わってきたね。従来国は間違っていないという主張が主だったが、最近は素直になってきたよ。本年2月16日経済産業省は「産業構造審議会―情報経済分科会の論点(案)」を発表した。素直に日本の弱点を整理し図表化して解説している。問題点と対策が書かれている。

B.それは結構ですね。大いなる進歩ですね。

A.大いなる進歩で結構だが、表面的過ぎるよね。

B.わかった! 先生がよく言われている「鸚鵡返し的問題解決法」というやつですね。
 うちの部長がそうですからね!「君、今月は売上げが下がっているから、売上げ回復に努力してくれ」ですからね。売上げが下がった原因を調べて、指示するのが上の役目でしょう!

A.わかっているね!これではお役所のエリートも形無しだね。
 君ならわかってもらえるからいうけれども、日本の失われた10年、20年といわれている。インターネットが利用されるようになった時代1995年少し前から社会はアナログの時代からデジタルの時代に変わったんだ。デジタルの時代を本質的に捉え、これを活かしたグループと表面的に捉えたグループでは大きな差が出たね。

B.日本はIT産業が盛んになり、ITベンダーが頑張っているからこの流れに上手く乗れましたよね。

A.本当にそう思う?会社の残業は減ったかい。仕事の効率が上がったかい。日本では簡単に社員の解雇ができないから、ITシステムを入れても、同じ人間が同じ仕事をしており、実はあまり生産性があがっていない。会社も最近は投資の成果が出ないとIT投資を控えている現状だよ。基本的にデジタル技術を使って、それを有効に活かすことを考えていないことに原因がある。その例は「アメリカ産ソリューション・パッケージを導入しました。アメリカで成功しているシステムですから使ってください」。「わかりました。自社の業務と合っていないところは、カストマイズ(自社のやりかたに合わせる)してください」という手法をとってきた。これは世界で類を見ないユニークな手法なんだ。デジタル技術を使って、アナログ体質を生かしたハイブリッド戦略だな。日本流で足して2で割る方式だな。お陰さまで過激な解雇がなく、社会はハッピーというところかな。

B.ではデジタル技術を使った好例はありますか?

A.サムスンの例で話をしよう。彼らはものづくりに関する市場要求、企画立案、設計、部品調達、生産、生産管理、販売、アフターサービスに関するすべての情報を一元的に収集・整理・利用のための検索等の情報管理システムを構築し、社員が全員アクセスできるようにした。韓国人は競争心が強く、自分の持つ情報は人に教えないから、この方法は効果的だった。これで製品開発から製品の市場への投入の期間を短縮できるようになった。これが彼らの戦略で、商品の基本型は日本企業が積極的に開発と普及活動をする。しかし、ここが時間と金の掛かるところだから、サムスンはここを日本に任せ、彼らは日本製品を素早く解析し、新興国向きの改良製品を設計、量産体制を確立して新興国での販売体制を整え、待機し、時機を見て販売し、世界市場のシェアを確保してきた。一方日本は世界同一商品を売っているので、新興国ではすべて敗退し、売れるのは日本市場と海外の高級市場という狭い市場に止まっている。

B.話しを聞くと、日本人はお人よしで、商売が下手ということですか

A.それは違うね。日本がかつて米国に対し実行した手法だし、開発・普及に金を使わず、量産で市場を制覇したのは松下の二番手商法だよ。違うのはサムスンが日本を徹底的に勉強し、デジタルの良さを最大限に活用したことを褒めるべきではないかね

B.わかりました。日本のアイデアを活用したのであれば、本腰を入れれば、日本は再浮上しますね。

A.いやー、いいこと言うね。その通りだよ。しかし、役所が変わらないとね。日本の役所は、外国製品の輸入規制のために、グローバルで使えない標準や、規制をたくさんつくって来た。介護ロボットなど許可に5年掛かるという。この間日本のアイデアは簡単に横取りされ、日本以外で普及してしまうという問題がある。日本の保護政策が、新たにグローバル市場に乗り出す人々へ、負の要因として残されているという問題がある。

B.世の中は表面的だけでは問題が解決できないということですか。

A.その通りだ。しかし、日本人が追い詰められてその気になると強いことも事実だよ。

B.逆に強いと思いますが、追い詰められる前に手を打ちたいですよね。次回はその話をしてください。



プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14) 
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