第94回(2014.11.18) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その94
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」
−アベノミクスを成功させるためにー
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(8)

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(2)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(3)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(4)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(5)
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(6)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(7)
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(8)

A.先月はDさんからアベノミクスにおける“ゼロベース発想”は官による既得権益の解消で、韓国が実施してきたことが参考になるという話であった。この問題はまさに正しいことを理解した。しかし、課題が大きすぎるのでもう少し、身近な問題で考えてくれないか。

D.承知しました。韓国のまねをしても問題が解決しないかもしれません。ここでは、まず日本人が日本の良さを知ることから始めます。観光の問題を取り上げます。中国第1の旅行社は日本ツアーの目玉を『日本のおいしいものを食べる』ことだと言っています。中国旅行社は、目的の料理店を先に選定し、料理店を中心に買い物の店をまわるという企画の人気が高いと言っています。皆さん、ここで取り上げた“ゼロベース発想”とは何かわかりましたか。

C.わかりました。中国旅行社の“ゼロベース発想”は第一に料理店を選んだことです。買い物は人によって欲しいものが違います。料理はおいしければ参加者全員が満足します。特に中国人は舌が肥えていますから、日本料理の良さも正しく評価してくれ成功率が高いと思います。第一の目的が達成した後は、選ばれたいくつかの店で各人が好みの商品だけを買い、満足して帰国すると思います。

B.Cさんの話は中国旅行社の発想として正しいと思います。しかし、日本の旅行社が企画をする“ゼロベース発想”は違います。私たち日本人は日々安くてうまいものを開発しています。しかし、残念ながら中国人がどの料理を好むのかよくわかりません。日本旅行社の企画を孫子の兵法『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』で考えると、『敵を知ることは』容易ではありません。
戦略1は中国旅行社と組んで、中国側の要望を知ることです。では、『己を知る』とは何でしょうか。初回の企画は中国人から聞き出した彼らの好みで、ビジネスが成立します。しかし、初回の評判がよければ次期企画にはリピータが参加します。『己を知る』とは、中国人が知らない日本料理の中から、何か新しいものを創作し提案する能力を持つことが大切です。最初は中国旅行社の提案を受け入れ、提案の料理を中国人向けに調整する発想が“ゼロベース発想”1です。その後はリピーターを意識した創作料理を提案するが“ゼロベース発想”2だと思います。“ゼロベース発想”2がないと、顧客関係性が継続的に繋がっていきません。

A.顧客のニーズを知ることは初歩的なことだが、最も難しいのかもしれない。そこで最初は中国旅行社と提携関係を結ぶ。これが“ゼロベース発想”1とは素晴らしい考えだ。そして顧客との関係性を継続するためには“ゼロベース発想”の2で、新しいものを創作していかなければならないという意見は優れた発想だとおもう。

E.私は“ゼロベース発想”3なるものが必要なことを考えています。Bさんの発想は素晴らしいのですが、これはB2B(自社対中国旅行社とのビジネス関係)の発想だと思います。グローバリゼーションとは世界中の人々にアピールする売り方を考えることが求められています。ウェブを通じて世界の潜在顧客に発信し、多くの人々を魅了するコピーライティングが求められています。ビジネスの売り上げベースで行くならば、指数的に発展させる能力を私たちが持つことが現代的です。

A.日本人は「モノをつくる」ことに執念をもって高度成長期を成功裏に過ごした。そこで日本人は「モノづくり技術」を標榜し、良いものをつくれば売れると、安易に考えてきた。その誤りを示してくれたのが韓国企業だ。彼らは売り方に精力を集中させ、技術は日本に頼り、日本商品を新興国向けに改良し、韓国製として新興国に出荷し、家電ビジネスを席巻した。Eさんの発想は全くその通りだ。

F.Eさんのご意見も重要だと思います。ここで日本人が避けてきた問題を取り上げます。グローバリゼーションという問題です。日本企業の多くはグローバリゼーションの初期で中国企業にひどい仕打ちを受け、グローバリゼーションは危険の多い経営領域だと認識し、進出を敬遠しました。それ以降日本企業の発想が国内向けとなりました。この発想に反旗を翻したのが楽天です。楽天が大きく成長したのは、日本商品の信頼性と魅惑性を信じていました。そこで商品の信頼性の高さを示す実績づくりと、世界中の顧客の心を魅惑するコピーライティングの必要性を捉え、これを実践しました。日本人向け感覚でコピーライティングしてもグローバル社会では受け入れてもらえません。楽天はグローバル企業をめざして、社内会議も英語で実施しています。この覚悟がグローバリゼーション対応には必要です。楽天の“ゼロベース発想”3による努力でグローバルマーケットでビジネスが一挙に拡大しました。しかし、ここで私が提案したいのは“ゼロベース発想”4です。それは「モノづくり技術」からの脱皮を意味します。

A.Fさん提案の“ゼロベース発想”4は基本的に重要なテーマである気がする。来月に話してくれないか。

F.基本的な問題なので、来月詳細にお話しします。


以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
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第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
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第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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