第85回(2014.02.14) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その85
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(11)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(3)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(4)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(5)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(6)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(7)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(8)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(9)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(10)

A.先月はDさんから「農水省には知恵者がいる」という話の途中で時間切れとなってしまった。今月は知恵者の話からスタートしてもらおう。

D.日本の官庁は戦後一貫して膨らんだ予算を減らすことはしませんでした。農水省は農民が人口の60%から10%以下(現在3.3%)に減ったが、予算が1/6になったことはありません。農水省には黒田官兵衛顔負けの策士がいました。それは農民が常に困難に遭遇している状況を演出し、農民の困難を支援するための補助金を自民党が獲得することで、自民・農水省・農協・農民の強い絆をつくりあげてきました。

最近のガイアの夜明けというテレビ番組でみました。新潟の兼業米農家の収入を調べますと、彼らは長年「肥料、農耕機械等農作業に必要なほぼすべての物資をJAから購入します。そして米をすべてJAに納めます。

A兼業農家のJA銀行の通帳を見ますと、JAからの農業年収とJAへの年間支払が差し引きゼロとなっています。兼業農家はそれでも自家製のコメと野菜類が実質的な収益として残り、家賃も不要なので、他のサラリーマンより豊かなため苦情を言いません。ところが農民の60%が65歳以上なった現在、この方式はJAに貢献するが農民に貢献しないばかりか、日本の農業を破滅する政策だと、気が付いて、新しい政策を打ち出した地方JAがありました。

武生農協理事長は専業農家のコメを品質の高さで高価買い入れをし、肥料等の提供も全国で安いところから仕入れて農家に提供しました。その結果昨年のB専業農家の収入が2,100万円弱で、支出がほぼ同額だったものが、本年は収入が2,800万円強となり、実収入はほぼ800万円になりました。B農家は今、Webで消費者に直売して、さらに利益を上げることを考えています。購入した消費者はおいしいお米が食べられ幸せとテレビで笑顔をみせていました。

A.他の農協はどうなのですか。

D.全国の各地の農協は武生農協が開いた研究会に参加していますが、参加者はJAの上層部の意に背く政策にはくみしないといっています。そしてJAのトップは全国に広まらないよと歯牙にかけていませんでした。

A.それでは農民のための政策ではなく、農協のための政策ではないですか。

D.その通りです。農水省の戦略家は見えないところで仕掛けを作ってきました。JAは法律で独占禁止法の適用除外となっています。@補助金に関連する物品の購入はJA以外では取り扱えない。農家は入り口で高い商品を買い、コメは全国統一価格で支払われます。結果補助金はJAを通じて吸い上げられ、これが表面化しないように、特殊法人の農林中央金庫に蓄積され、金融のビジネスで活躍しています。農林中金は1986年には特別民間法人となり、海外では日本最大のヘッジファンドとして有名です。JAバンクから上がってくる80兆円の預金運用をおこなっています。

実は農家とJAとの関係を示しますと、農家は種、苗、肥料、農薬、耕運機(補助金付)とすべての必要経費をJAから購入しています。収穫が終わり、自家用として食した生産物以外をJAに売ります。その金額は差し引きゼロという状況です。

B.それでは農家の収入は自家消費量だけが収入で、労賃や農地代、家賃代もJAは支払っていないことになりますね。

D.その通りです。でも兼業農家は一般のサラリーマンより豊かです。

B.戦前は小作人だった人が農家になりました。昔の小作は地主にこき使われ、労働生産の結果は自家用の食料だけの生活でした。それが地主の代わりにJAがすべてを取り仕切り、農家の収入は自家用の食料だけというのは形を変えてみるとJAという大地主代行にこき使われていると同じですね。

D.よく気が付きましたね。

E.ちょっと待ってください。日本の農業は企業ではなく、個人のしかも兼業で行う生産性の低い農業ということになりませんか。世界中が農業の生産性を上げる競争をしている中で、生産性の低さを理由に、消費者のために税金を使う。すると税金が支払える程度の高さまでJAは値段を上げることができるという仕組みですね。この方式を続ける限り日本の農業は生産性を上げることはできませんね。農水省は農民対策をしただけで、農業対策は皆無だったわけで、安倍総理ががんばっても農業が存在しないではありませんか。

D.その通りです。農水省の知恵者は別のことを考えています。企業に大型農業をさせるための遊休地貸出管理機構をつくって大規模農業構想を考えています。

A.まだ、裏がありそうだ。来月もこの討議を続けよう。

以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
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第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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