第80回(2013.09.13) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その80
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(6)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(3)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(4)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(5)

E.先月は大変勉強になるお話をして頂きありがとうございました。

A.何が役に立ったのかな。

E.グローバリゼーションの本質そのものです。國際金融資本の実力と怖さです。先生は最初に箇条書きで下記し、
(1)帝国主義の台頭と国民国家の退場=帝国化
(2)金融経済の実物経済に対する圧倒的な優位性=金融化
(3)均質性の消滅と拡大する格差=二極化

 グローバリゼーション下で起こっているのは以上の3つの大きな構造変化だといわれました。Bさんから、これは難しすぎるのでやさしくという要請で結論だけ話されました。結論だけでは國際金融資本の実力と怖さが分かりませんので、私なりに先生の結論を補足させていただいてよろしいでしょうか。

A.ありがとう、是非お願いします。

E.結論を箇条書きで解説します。

 (1)帝国主義の台頭と国民国家の退場=帝国化
 @先進国が成熟期に入り、成長率が下がってきた。このままでは世界全体が不況から恐慌へと移りかねない。グローバル経済の規模を拡大する必要があると國際金融資本は考えた。それには各国からの規制のないグローバル経済圏を確立することだ。

 A先進国経済は成熟し、成長率がとまって、不況状況が長引いている。先進國への投下資本利益率が下がっている。この資金を新興国へ投資しよう。新興国の成長率は2桁だ。新興国への投資利益率は2桁になる。戦略として「量産型製造業を先進国から新興国に移そう。そのために資本と技術と人材を提供する」であった。幸い1995年以降、インターネットの普及で、先進国技術をデジタル化して供与すれば簡単に普及できる。この目論見は成功し、新興国市場が大きく成長し、グローバル経済が広がり、國際金融資本の懐も大いに潤った。

 B先進国の大企業が税金のやすい国に逃避し始め、国民国家が弱体し始めた。そこで國際金融資本はグローバル経済市場で帝国的な行動を取り始めている。

(2)金融経済の実物経済に対する圧倒的な優位性=金融化
 @新興国への投資というが、先進国からの投資を全部新興国に移すわけではない。新興国への投資額は巨大となる。通常の経済は実質経済で動いている。実質経済からは巨大な投資を生み出すことはできない。そこで國際金融資本は考えた。投資信託でデリバティブという金融派生商品を考え出した。個人の投資額に対し、100倍の融資をすることで、実質経済の100倍の投資が可能になった。この金で新興国へ大きな投資をして、新興国の量産品を米国は輸入した。(投資しても売り先がないと投資効果が発揮できない)。それ以前の米国の貿易赤字の65%は先進国貿易であったが、現在は赤字の50%は新興国に変わった)

B.質問があります。米国は何時も貿易赤字で、何故困らないのでしょうか。

A.鋭い質問だな。世界中が不思議に思っている質問だ。

E.そのカラクリを話しますと長くなりますので、今月は素晴らしいカラクリシステムを米国(ユダヤ人)は構築しましたとだけお話します。
 この結果「モノをつくる」産業より、膨大な金を動かす國際金融資本が益々有利になっている。國際金融資本の実力のすごさ、恐ろしさはここにあります。

(3)均質性の消滅と拡大する格差=二極化
  この結果、グローバル社会では少数の金持ちが益々金を集め、日本のような中流階級 
 が株主資本主義のお陰で賃金がさがり、次第に新興国賃金に近づいています。

  ハッキリ申し上げますと、いま、世界は國際金融資本に支配されているといえます。この現実を理解して、今後の国家戦略、企業戦略をねる必要があります。「モノづくり、技術力:日本」という図式は通用しないということです。これを理解しないと「勉強したバカ」の仲間入りすることになります。

C.わかりやすい説明ありがとうございました。質問があります。世界中の金が金持ちに集中しますと、世の中はすぐ不景気になりますね。國際金融資本は儲けた金を社員や関係する中小企業に還元することを考えれば、世界中が豊かになると思うのですが、その考えは間違っていますか。

A.素晴らしい質問だ。世界中が持続可能性のあるシステム構築を望んでいる。國際金融資本は国家ではないから、税金で国民に還元することもできない。グローバリゼーションの最大の弱点ではないかと思うが、今月の議論はこれまでとしよう。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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