第73回(2013.02.15) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その73
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」
―ビジネスの基本に戻ろう(11)―
−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― 12年04月

「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(2)― 12年05月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(3)― 12年06月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(4)― 12年07月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(5)― 12年08月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(6)― 12年09月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(7)― 12年10月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(8)― 12年11月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(9)― 12年12月
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(10)― 13年01月


今月もITシステムの話をしよう(5)

A.技術開発能力に依存しすぎて、日本企業は情報技術の利用を重視しなかったことでグローバル競争で後塵をはいし、経済停滞の20年を引き起こしてしまった。情報技術の重要性は先月Cさんに説明してもらった。今月はBさんに日本再生について語ってもらうことにした。

B.日本企業の弱体化は「経営の品質の改善」をしなかったからです。グローバル競争社会で通用する意思決定さ、ITを活用した組織のスリム化、DBDを使った生産性の向上とナレッジマネジメントをおろそかにしました。今回は最近出版された「競争に勝つ条件」−過去50年の経営イノベーションにヒントがある−、「ミッシングリンク」−デジタル大国ニッポン再生−の話をまとめてお話します。

A.「ミッシングリンク」とは何かね。明るい話しかな。

B.最初の本の紹介を先にします。日本企業の中で、自社の経営戦略達成を経営者が先頭に立ってITの活用した企業は成功し、世界的な企業として評価されています。失敗した企業は米国産のソリューションパッケージと言われるITシステムをベンダー任せに導入したところです。この失敗で、「アメリカ出羽の守」(アメリカではこうこうしてますと、無批判にアメリカ礼賛をする)をやめようというムードがでてきました。では日本再生のために何をするべきか考えた本が「ミッシリングリンク」です。現在の商品はデジタルエコシステムといわれるもので、複数の異なるプレーヤーが協調と競争の中でつくられる生態系という代物になりました。残念ながら日本企業はすべてを自社で囲い込む戦略で成功してきたため、グローバル的能力の獲得への切り替えが遅れてしまったのです。デジタルエコシステムは複雑に絡み合ったモザイクのようなパズルです。分かりやすくいえば日本の商品企画はジクソーパズルのあるピースが抜けた状態で、パズルが完成されていませんでした。この本は5つの失われたピース(ミッシングリンク)があると指摘しています。

 @「機器」と「サービス」とをつなぐ環
 A「供給者」と「利用者」とをつなぐ環
 B「情報通信産業」と「他産業」とをつなぐ環
 C「国内」と「海外」とをつなぐ環
 D「官」と「民」とをつなぐ環
と指摘しています。谷脇 康彦著「ミッシングリンク」東洋経済新報社

A.日本の遅れを取り戻し、日本再生とは、具体的にどのようなビジネスかね。

B.例えば、「機器」と「サービス」の例を話します。東京の下町でトラックの運転手が土曜日だけ「魚や」になります。iPadとスマートフォンを使って小樽の「魚や」から路上の店先へ商品を電送します。集まった顧客は鮮度、値段、珍しさを確認し、小樽の店員と値段の交渉をして、宅急便で受け取ります。「トラック運転手魚や」は資本金ゼロ、リスクゼロで15%のマージンを得られます。小樽の魚屋は新しい顧客を獲得でき、下町の顧客は「珍しい、新鮮な魚を安く食べられる楽しみができた」と大喜びです。「機器」の新しい用途を開発したBM(ビジネスモデル)です。これらは「変わる基本」として捉えてください。
別件ですが、日本の新聞は役所からの情報を中心にウソの記事を書くことが多いという特徴があります。Web,インターネットから発信される透明性の高い情報サービスがこれから増えると思います。

A.他に何か面白いものがありますか。

B.M2M(機械対機械、人間対機械、人間対人間)関係で、情報が新しいサービスを提供し、新しいビジネスが生まれます。

D.新聞は常に「日本は遅れているとすべてをネガティブ」に発信します。国民はそれを真に受けて落ち込んでいます。例えば少子・高齢化社会で前途は暗いと書きたてます。私は逆に日本は世界で最も社会が成熟した国だと思っています。安全で、健康管理が行き届き、保健システムも完備された幸せな国です。日本人が海外に住み着かないのは世界で一番いい国だからです。Bさんが話した運転手魚やの事例を活用すれば、主婦が携帯とiPadを使って日本中の各種の商品を入手できるし、老人介護、新しいコミュニティを創り上げるきっかけとなります。今日本では毎年、東日本大震災の死者より多い孤独死、自殺者がいます。新しい形のコミュニティはこの問題の有力な解決法ではないかと思っています。そしてこの種のコミュニティは日本で完成すると世界へ輸出できます。「モノ」の輸出から「文化・文明」の輸出となり、日本人の持つ、誠実、親切、気持ちの豊かさが世界に評価されるようになり、日本には多くの人々が押しかけてきます。

A.私も同感だな。中国は金儲けに徹しすぎ、北京では公害のため人が住めなくなるだろう。韓国はサムスンの評価は高いものの、国民は就職で苦労し、自殺者が多いようだ。米国は富が1%の人に集中し、大金持ちと大貧人の社会が形成されつつある。結局社会は多くの人々の幸福が優先されるサステイナブル(持続的可能)な社会の方向に修正されていくでしょう。Bさん、来月も続けてください。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)   (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)    (3)   (4)   (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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