第26回(2009.02.13) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その26
「何か変だな」(4)
〜「資格を取っても役に立たない?」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「顧客は神様か?」−(1)08年11月号
「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」−(2)08年12月号
「問題と課題の違いがわかるかな?」−(3)09年1月号
−「資格を取っても役に立たない?」−(4)

A.1月号で「問題と課題の違いがわかるかな?」をテーマにしたよね。憶えている。
B.定義せよといわれてショックを受けましたよ。簡単なことを正確に知っていなかったからですよ」。
A.実はね、今某有名国立大学のポストドクター(博士号取得後職にありつかず学校に残っている人たち)を企業に就職させる文部科学省の補助金による講座の講師をしていてね。講座の最初に「問題と課題を定義せよと」とぶつけたわけ。それをグループで考えさせたところ、自分の考えと違う多くの意見を聞き、自分の至らなさを感じてショックを受けたというアンケート結果だった。このショック療法は大変成功し、鼻っ柱の強いドクター連中が、真剣に講義を聞いてくれるようになったわけ。
B.講座の始めに定義をやらせたんですか。それはショックを受けますよ。
A.1年たって最終講義が2月7日(土)で2ヶ月前に、宿題を出しました。
@企業が求めるグローバル人材像とは何で、そのためにあなたは具体的に何をするか。
A学校に残り当校を世界の大学にするための人材像は何か、
  グループ発表はなかなかよかった。現状の「ありのままの姿」を述べ、将来の「あるべき」を論じ、具体的な対策を分かりやすく説明していた。
  質問をすると、最初の「問題、課題の定義をせよ」ということを忠実に守り、皆で議論を進めた結果、内容がよくなりました、という回答であった。
B.それはよかったですね。ところで今月のテーマは何でしょうか?

A.「資格を取っても役に立たない?」という会社の上司の声だけど、どう思う。
 B.それはある面で当たっていますよ
 A.では、資格者は要らないという話しかね!
 B.資格を取ったから仕事が速くなったわけではありませんからね。古くからいる社員の方が役に立つって部長は言っていますよ。
 A.でも米国では資格者が活躍しているよね。MBAは経営企画でバリバリ活躍しているけれど、日本の企業ではMBAが活躍している話はあまり聞かない。MBA資格者は日本企業では認められないので外資系企業に転職してしまうようですよ。転職すると給料が上がる。外資は給料に見合った仕事をさせるから益々実力がつくということのようだね。
B.日本だって、出来る人を優遇したらいいじゃないですか。
A.それでは部長より高給取りになるけどいいの。なぜ、米国で資格者が優遇されるか、そのわけをお話しよう。
  米国の労働組合は企業別ではなく、職業別の組合(ユニオン)が社会に存在し、職業人は企業ではなくユニオンに所属している。自動車労働組合に所属しないと自動車会社へ就職できない仕組みになっている。米国ではGMで解雇されてもユニオンには所属しているので、保険や就職の斡旋をしてくれるから、今の日本人労働者のように首切られると、住むところもないという最悪の事態にはならない。
B.今はユニオンの話ではないでしょう
A.すまん、すまん。言いたかったのは、資格とユニオンには関連がある。欧米のスタンダードは社会で共通のスタンダードを採用しているから、資格者は何処の企業に就職してもすぐに役に立つという社会的基盤が出来ている。例えばPMBOKをみてごらん。ガイドブックがどんどん整備され標準化が進んでいる。この標準をどの会社も採用しているから、資格者は転職しても、すぐ仕事ができる基盤が整っているといえる。
B.日本とはどのように違うのですかね。
A.日本では会社を変ると、すべて一から出直しで、即役に立たないというのが現状だから、資格者が役に立たないといわれるのも仕方がないといえる。
B.でも、それでは外人は日本で活躍できませんね。
A.日本人だって、転職すると、その地位にふさわしい力を発揮できない人が多い。転職者がすぐには力を発揮できる環境つくりを多くの企業はしていない。資格者がすぐ役に立つ環境整備をしていないわけだ。
  この状況ではグローバル化にはほど遠いが、そのことをわかっていない人が多すぎるね。中国人の調査によると一番働きたい企業。1位欧米企業、2位韓国企業、3.台湾・香港企業、4位中国企業、最下位日本企業となっている。日本企業では外国人の出世の道がないと読まれている。社会に通じる標準化、マニュアル等がないから、外から入った人は2年以上立たないと評価されない仕組みになっているというのが現実だ。多くの日本人は日本に住んでいる限りグローバル化の意味さえわからないだろうね。
B.資格者が悪いのではなく、資格者を活かす企業システムの整備が大切ということですね。いやー。勉強になりました。

以上



プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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