第77回(2013.06.14) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その77
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(3)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)

A.5月号は面白かった。先月まで皆に話をしてもらった。今月は私が最近の話題をテーマに話を進めてみる。

B.是非お伺いします。

A.千葉県には生涯大学校がある。60歳過ぎの人々を対象に種々のテーマで勉強や実習をさせ、第二の人生を有意義に送れる支援をしている。講座の中に地域活動家育成講座がある。この講座に本年度からPMが採用された。地域活動家のリーダーシップ能力を強化させたいというのがその狙いだ。そこで日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)へ講師派遣と2日間の講座資料作成の依頼があり、先月講義をしてきた。

C.PMが全国的に広がることは結構なことですね。すみません、少しつまらないことを質問します。PM標準ガイドブックにリーダーシップの項目が少ししかありませんが、2日間の資料作成は大変ではありませんか?

A.鋭い質問だね。その通りだ。リーダーシップの一般論を話しても意味がないからね。実はPMAJは他の協会、学会との交流を深め、異質の知恵を持ち寄って新しいことをしようと試みている。私自身は東日本大震災後地域の新しいコミュニティのあり方に関心があり、PMとの関連で研究を進めていた。

C.なにやら、新しい話がきけそうですね。

A.受講生は60歳以上の男女だ。第一の人生の経験者で、102名が受講している。学校は生徒の集中力を増すため講座開始5分前に大学校歌を斉唱させる。朝一番に大声を出すのは効果的だという。現実に受講生の顔がさわやかだ。講座の始めに行うアイスブレークは不要だった。
私の講座の特徴は「考えるPM」である。まず、考えろから出発する。残念ながら100名以上ではワークショップができない。そこで考えた。講座は2時間単位で4回である。少し工夫をしてみた。
(1)講座導入パート1:「考えるPM」言葉の定義  1Hr
         パート2:世界の情勢と日本の現状、その中の地域活動の意義 1Hr
(2)やさしいPMパート1:正解のあるプロジェクト  1Hr
       PMパート2:複雑で正解のないPM(プログラムマネジメント)1Hr
(3)コミュニティマネジメント:官が始めた正解のあるコミュニティマネジメントと 
         民が模索している正解のないコミュニティマネジメント   2Hr
(4)プロジェクトリーダーに必要な能力とあなたのリーダーシップ能力採点  2Hr

D.(1)〜(4)までありますが、(2)〜(4)は理解できるのですが(1)講座導入パート1、2がユニークで興味があります。何を教えることで、どのような効果を狙ったか教えてください。

A.Dさん、鋭い質問だね。実は世の中のすべての問題に正解などがない。「考えるPM」は問題を解く場合に、モノゴトの本質を知ることの大切さを教える。@問題とは何か定義せよ、A課題とは何か定義せよ、Bマネジメントサイクルとは何か定義せよと易しい問題を定義させ、多くの人の定義がまちまちであることを理解させる。Cプロジェクトマネジメント(PM)とは何か考えさせる。考えさせてPMの説明をするとPMの本質が見えてくる。本質を基本に講座を進めていくと正しく理解してもらえる。
  世界の情勢は4月にDさんが話した内容で、日本の現状の厳しさ、発想の転換の必要性を話した。次に、世界は「日本人が東日本大震災で見せた臨時コミュニティの素晴らしさ」を評価した。これこそが震災大国の日本人が長い歴史の中でつくり上げた知恵の結晶で、誇りを持って世界に広めたい日本人の精神構造だ」ということを強調した。ここでは詳しく説明しないが、今のグローバリゼーションは本質的に大きな欠陥がある。米国や中国の金儲け主義は公害、税金の不払い、戦争等を引き起こすことで庶民にあたえる被害が見えはじめフラストレーションのたまる社会が形成されつつある。
日本がその地域、その時代に適合した新しいコミュニティを創出することができたら、「日本は世界中の人々が羨む国となり、日本人への親近感がまし、私たちは食べていける」と話した。

D.わかりました。受講生の反応はどうでしたか。

A.自分で言うのもおかしいが、質問が多く、大変好評だった。この講座で驚かされたことが2つあった。この話は長くなるので、君達がよければ来月続きを話す。

D.了解です。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)   (5)   (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)   (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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