第82回(2013.11.19) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その82
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(8)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(3)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(4)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(5)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(6)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(7)

A.先月は「日本の失われた20年」とは何かという話で、核心を突いた話があった。日本は失われた20年で社会が疲弊したわけではない。日本をリードするエリート層が、米国追従という戦略で日本を繁栄させた成功体験を、今もなお持ち続けている。「グローバリゼーションという激しい変化の中で指導者としてのエリート層が、新しい自分の役割は何かということを20年間も見失っていることが問題だ」という日本贔屓の外国人学者のコメントがあった。日本のエリート達はアメリカの戦略を勉強したが、自分は「何をすべきか」ということを見失っていたことが問題だという内容であった。これはまさに「勉強したバカ」といわれたのかもしれない。

B.先生のお話は正しいのですが、日本のエリートは自分の戦略など考えたことがなく、米国流の戦略を日本流に改善した戦術で成功したのではないでしょうか。そしてこの改善戦術を、戦略と勘違いし、日本の家電産業、半導体産業ではグローバル戦略を正しく考えなかったために、韓国に決定的に負けたわけです。商売の基本である「顧客関係性の確立」を忘れて、高度機能、高品質、高価格製品の世界一製品の提供でグローバル制覇を試みました。商売の基本に「無知」なのか、「傲慢」だったのかわかりませんが、このことが失敗の原因です。しかし、日本のエリート層はまだそのことにまだ気がついていない。極端に云えば日本人そのものがこの事実に気がついていないといえます。

A.君の意見は正論だ。だが、君は「私たちも勉強したバカ」といいたいのかね。

B.大多数の日本人が該当します。多分皆さん方はできるなら子供を東大に入れたいと考えていませんか。

A.なるほど、その通りだな。日本では東大卒、官庁、大企業就職が将来を約束された道として100年以上も前から確立された実績があるからね。

B.その通りです。ですが、国内にいるとグローバリゼーションの厳しい経営環境が見えないのです。従来方式でどのように日本経済を維持するのか、誰も考えていません。東大は世界ランク32位です。今東大卒はハーバード大学では実力不足と評価しています。東大卒エリートは「グローバリゼーションの恐ろしさをリスクと理解しているものの、日本が発展できる機会という発想を持っていません。多分、発展の機会と知っていても正解のない将来の課題は何かわかっていません。わかってもそれを解決する「ひらめき脳」を持っていないのです。これは日本の読者全員に当てはまる問題です。その実証として脳科学者茂木健一郎先生はテレビ番組「全力教室」で現役東大生相手にワークショップを行い、「ひらめき脳」のお話をしています。

A.それは興味あるね。

茂木:今日は17名の東大生が参加している。君達は何故東大に入学したのか教えてくれ

東大生:東京大学は日本で一番できる人間が入学しており、社会的に評価が高いからです

M:一番できる人間と君は云うが、何故一番できるといえるのか」

T:私たちは公平な評価基準である偏差値の高さで評価され、最も優れていることが証明されています

M:では聞くけど、東京大学は世界基準で32位だ。東大卒はハーバード大学入学のレベルに達していないといっている

T:ハーバードは公平な評価基準があるのですか。我々は偏差値という公平な基準があり、勉強する目標も見えていますが、ハーバードは面接者が決めた基準ですから、それに向かった勉強ができません。おかしいと思います

M:では聞くが、君達が学んできたのは入学試験対策問題で、これは不合格者を作るための難問が多く、実用性に乏しい。その画一的な問題を日本の高校生全員が学んでいる。米国では高校時代を伸び伸びと過ごし、自分で目標を定めて勉強している。従って15歳でスイ臓癌の早期発見に寄与した論文を出す人物が現れている。君達は入試勉強で正解のある問題を習って、どうやって正解のないノーベル賞を取るのだ。日本中全員が画一的な勉強して、同質の人間が集まってどうやって新しいことを発見できるのかね。

A.Bさんありがとう。ワークショップの主旨は理解できた。今月はここまでとし、来月は茂木先生の「ひらめき脳」の話しを聞くとしよう。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
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第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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