第92回(2014.09.30) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その92
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」
−アベノミクスを成功させるためにー
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(6)

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(2)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(3)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(4)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(5)
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(6)


A.先月は問題解決とそれを活用する人材のタイプの話があった。要約すると問題解決の80%はCタイプの人材が使う『好ましくはないが世間で使われている問題解決の諸法則』で解決している。Bタイプは企業では優れた管理職になる上位人材で、その解決方式は難しい問題には手をださない。しかし彼らの存在価値を失わないために取る手段として、問題解決不可能の法則を提案する。考えてみると高偏差値の人材は「受験は易しい問題から解け、が鉄則だ」ということを熟知している。試験問題は易しい問題が50%、難しい問題が30%、残り20%が引っ掛け問題と相場が決まっている。さて、Aタイプの人材の問題解決の法則を読むと、精神的には君はこの問題解決が可能だという暗示をもらってまい進することになっているが、“ゼロベース発想”とは何か、あの法則を読んでもわからない。例えば、「人間にできる解決策には前例がある」という法則。それは理解できるが、膨大な過去の実績を調べても“ゼロベース発想”は簡単に出てこない。「問題の中に答えがある」の法則を読んでも発想は浮かんでこない。Aタイプはスティーブ・ジョブスのような特殊な人間でないと問題解決はできないのではないか。

C.良い点をご指摘いただきました。その通りです。ではAタイプは何をするのでしょうか。すでにヒントは出されています。出席のどなたか気が付いた方はいますか。

E.ヒントがあると言われて気が付きました。一つの解決法としてBタイプの人材が使う法則を活用するのではありませんか?

B.そうか! Bタイプ人材はいかにこの問題は解決できないかという提案をした。逆に考えると、不可能というテーマを取り上げ、現状では無理だと提示しています。逆転の発想は、現状維持は将来の衰退を意味することを論理的に説明し、現状改善の提案をすることが“ゼロベース発想”となります。
ここで再度T.問題解決不可能提示の法則を示します。

 第一法則:「制約条件正当化の法則」
 第二法則:「常識・決まり文句正当化の法則」
 第三法則:「説得不可能の法則」
 第四法則:「それらしさの法則」
 ・理路整然とあらゆる角度から説明し、本件は解決不可能ということを証明する型です
A.この法則はBという高偏差値の秀才が、現状はこのような条件が設定されているから現状を変えない限り問題解決はできませんと言っている。それを逆手にとって、その条件をどのように解決するかを提案できれば“ゼロベース発想”になるということか。

Bタイプによる「問題不解決の法則」はAタイプ人材から見ると答えを引き出す糸口を与えてくれたことになる。サスペンス劇場的問題解決で大逆転というシナリオが成立したことになる。Bの頭の良さを利用して問題解決するA探偵は見事だね。

D.このヒントをアベノミクスに適応すると、アベノミクスは有望な戦略になりますね。私が研究してきた日本の官庁の政策は、多くの場合戦後の弱体日本国が米国の強力企業の支配下になることを避けるために種々の規制や、法律が実施されてきました。現在個々にその問題を調べますと、時代にそぐわない規制が数多くあります。しかしその規制が現在の官僚をはじめとする既得権益者にとって心地よいものになっています。

例えば、日本の農水省の政策は小口農地保有の農民保護を決手とし、企業の参入を防いできました。その政策は成功しました。結果として生産性の悪い農業政策でも、農家が生き延びてきました。しかし、小口農業は収入が少なく、後継者不在となり、農民の高齢化で農家が減少し、遊休農地が増えています。アベノミクスこの遊休農地を集めて企業に農業をさせる政策を提案していますが、農家が遊休農地を1年単位でしか貸さないので企業農業が成立しません。問題不解決の問題の多くは日本が弱者であった時代に官による規制で米国の侵入を防ぐことに成功したものです。規制とは双刃の刃的なもので時限立法的なものです。短期間で自助努力をさせないと結果は悪となります。現在は規制による権益者が強力な力を発揮しています。世界はこの権力を日本のがん細胞とみて日本の没落を認識し始めています。

ここでアベノミクスが出現しました。アベノミクスは基本的に『官(国家・地方公務員)と国民』との戦いです。しかし問題はアベノミクスの実行の中核が官だという矛盾があります。言葉を替えると、優秀な官が小さな既得権益に甘んずることなく、グローバルを視野に入れた、将来得られる多くの利権に向かって再出発し、国民の尊敬を勝ち取るスタート地点だと認識しています。20年間の政治不信で官は官なりの努力が無効になったという、いじましい記憶から抜け出して、新日本国のエリートとしての位置づけを確保して頂きたいと願っています。

A.各位からいろいろとヒントになる提案をもらった。特にDさんから厳しい提案があった。Dさんのご提案はそれなりに的をえているが、アベノミクスが実行しようとしている領域は広いので、Dさん的アプローチを各方面で進めることで、問題解決“ゼロベース発想”を更に多くの具体例に展開することを期待したい。来月は皆さんの提案を待っています。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
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第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
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第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
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第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
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第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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