第8回(2007.08.10) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その8
行動を頭に合わせよう(2)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

第8回「行動を頭に合わせよう」(2)−行動すれば結果は付いてくる−

前回は「行動を頭に合わせよう」という人々に理解されにくいテーマに変えた。ことの良し悪しはともかく、世界がグローバル化の流れに沿って急激に変わっている。だが、日本人は日本が素晴らしい環境にあることを感じていない。そして国を始め多くの人々が、このところの景気に安心してか、グローバル化とは反対に安易に国内向けに進み、資産の食い潰しの方向に進み始めているやに見える。健康な人が健康のありがたさをわからずに、暴飲、暴食するのに似ている。さて、あなた方は勉強家で何をすればいいかということは皆知っている。だから実行しようよと呼びかけた。この危機感のため先月号は文章がWeb向きでなく少し硬くなってしまった。

さて、今回は「頭に合わせて実行する」には何に気を配るべきかをお話をする。困ったことにIT業界は仕事が益々増える。しかし同じ仕事のやり方を続けていると業界全体が3K化してITPMのなり手がいなくなるかもしれない。多分元請はオフショアがあるよと考えているかもしれない。本当にそうだろうか。オフショアとは海外の人々と付き合うことである。海外の仕事をしてみるとわかるが、世界に通じる一定のルールがある。目先はともかく、これを守らないと世界中から非難されることになる。最近「国家の品格」という本が出されベストセラーになった。海外の仕事をするPMは「PMの品格」が要求される。日本には長年海外プロジェクトを実施してきた先輩たちが築いた遺産もある。

昔海外パックツアーが顰蹙をかったことがあった。日本の習慣を海外に持ち込んだからである。そして金を払えば客だという概念は通用しないことを勉強した。今のパックツァーは評判がいい。参加者が海外でのマナーを知っているからだ。では海外でのマナーと日本でのマナーを使い分ける必要があるのかというとその必要はない。日本人のレベルが上がったということに過ぎない。

そこで本題に入る。日本で習慣化している問題がある。習慣化していると、それが当然のことで正しい行動と自己肯定していることが多い。自己肯定している問題を少しづつ変える発想が求められる。これが関係者を幸福にする近道だからである。習慣を変えることは簡単ではない。しかし、これが間違いである。少しでも変えようという発想があると、ないとでは仕事のあり方、やり方が変わってくる。そして次第に説得力を増してくる。説得力を増すと顧客が頼りにするようになるから不思議である。これが業者の品格である。そこで現在の習慣を整理してみた。

@ トラブルの多くは顧客発である
日本の顧客はITとは特別なもので、IT化するとすべてが解決すると信じ込んでいる。米国で成功した経営手法が日本で通用するかわからないのに、十分な検討もしないで採用している。本当に大切なのはわが社では何をすることで競争力が向上し、経営が改善されるかということである。若し、この発想があれば自分が経営に何を求めているかわかるはずであり、要求が出せる。要求の出せる企業の業績はいいことを見てもわかる。

A 契約という概念に弱い
契約とは神の前に双方が平等であり、それぞれが役割を果たすことである。顧客が顧客の役割を果たさなければ、PMは決して成功しない。
このことはオフショアでも同じである。今度はITベンダーは発注者となるからである。契約の概念のない発注者はグローバルレベルで品格があるとはいえない。

まずは上記2点に関し、組織的に専門職を置いてすべてのプロジェクトがこの2点を実行できる方向に向けて行動することである。徹底して100点を取ることはない。60点で十分である。大切なことは、すぐ実行することである。行動を通じで人々はいろいろなことを理解し始める。そこで工夫をし始める。これは日本人の得意な分野である。ここまでくるとプロジェクト参加者は仕事の面白さを感じるようになる。同様に顧客にあなたの仕事をこのようにするともっと面白くなりますよ、などと軽口がたたける関係ができればプロジェクトは大体成功する。同様にオフショアでは顧客の立場になる。契約があなたの品格を保ってくれる。逃げたら駄目で、品格によってあなたは尊敬され、そのことで更に身の入った仕事ができ、PMはあなたにとって止められない職業となる。

今回は仕事を面白くする基本的な問題を取り上げた。大げさに考えず行動することである。それには会社のバックアップ体制が必要である。工夫すれば社会を変える力となることは間違いない。機は熟しているといえるからだ。

以上
  
プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14) 
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