第67回(2012.08.10) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その67
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」
―ビジネスの基本に戻ろう(5)―
−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― 12年04月

−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(2)― 12年05月

−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(3)― 12年06月

−変わる基本、変わらぬ基本の理解−
「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(4)― 12年07月




A.今月は安全の基本の話をしましょう。
私は昔、いろいろな仕事をしていたから安全は重要なテーマでね、「宇宙開発から家庭まで」の安全というテーマで論文を出した。私の専門はPMだから安全といってもプラントや動くものを対象にした論文でね。仕事の難しい宇宙開発、原子力発電所、大型石油系プラント、航空機、列車、自動車、そして家庭を取り上げてみた。何が最も危険だと思うかね?

B.それは原子力発電所でしょう。実際に今私たちは危険な目にあっています。

A.では津波は危険ではないのかね。原発は危険を防ぐことができるが、津波は防ぐ方法がないとってもいい。そこで私たちは危険と確率という概念を取り入れて検討している。何が怖いと言って天災が一番怖い。何故日本人は地震の多い日本に住んでいるかというと、それは確率が低いから、あまり心配しても始まらないと思っている面がある。

B.安全と確率とはどのような関係があるのですか。

A.すべてのものは最善の安全対策を実施しても100%の安全は得られない。そこで安全の基準は安全対策によって低減される危険発生の確率が天災が発生する確率より低いことが許可されるための評価基準になっていることを知ってもらいたい。

B.100%の安全はありえないということですね。

A.その通りなのだよ。では早速安全対策に取り掛かろう。動くものを取り扱う際の危険防止とは何か。それは簡単な原理によって説明できる。何だと思うかね。
「機能を止めると安全が確保される」という原理だ。電車の例でいうと、その機能は、「人や荷物を載せて目的地まで運ぶ」ことである。機能を発揮するとは言い換えると電車を目的地まで動かすことだな。電車の安全とは乗客の安全、電車に轢かれない安全、車体の破損を守る安全がある。電車の事故は踏切が最大要因となっている。電車の安全は高架にして踏切をなくすと安全性が格段に上がるが、大事なことは電車を止めれば全てが安全になるということだ。機能を止めると安全になる。

B.フェール・セーフという言葉を聞きますが、それですか。

A.そのため危険を感じたら自動的に停止するシステムを導入している。この安全対策は発電所やプラントでも同じで、装置は自動的にとまるか、手動で止めることが義務付けられている。家庭で使っている機器類も危険があるから、皆フェール・セーフが装備されている。だから定期的にフェールセーフ装備を点検しないといけないことを知っているかね。これは基本だよ。では自動車は安全かね。

B.危険を感じたらブレーキを踏んで停止します。

A.それだけでいいかな。ブレーキをかけると、追突という新たな事故が発生するね。電車は信号が追突を避ける役割をしているが、自動車にはそれがない。そこで自動車による事故死が発電所や電車に比べて圧倒的に多い。確率だけでいうと、原子力発電所事故で死んだ人間と、自動車事故で死亡した人を比較すると、原発を恐れるよりか、自動車事故が現実的に圧倒的に怖い存在だ。原発を恐れているのに、皆何故車に乗るのかね。

B.それは便利だから乗ります。原発は代わりがあるが、自動車は代わるものがないから使います。

A.原発の安全性は多重防護と言って、幾重にも安全性を考慮している。ただ、一つだけ泣き所があって、運転をとめると、原子炉を直ちに冷却しないと危険になるという問題がある。そのための対策はとってあるが、100%はありえないという発想で、米国はNRC(原子力規制委員会)に4,000名の安全関連スタッフを確保し、緊急時は指定されたスタッフが大統領命令で緊急時処理責任者として派遣され、陣頭指揮する体制ができている。これが原発運営の基本事項になっている。日本の役所はNRCが定めた運用体制の
基本を知りながら、これを形骸化してきた。今度の事故調査で最も指摘するべき点は安全に運転できる体制が出来て初めて運転が認められるという原則を再確認することが事故調査委員会の役割と私は考えている。原理原則が失われた怖さをまだ日本国民は理解していない。

B.事故調査委員会では総理大臣の介入を責任の一つのように言っていますが、体制がしっかりしていれば、総理は責任者に命令するだけで済みますね。基本の大切さが分かりました。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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