第34回(2009.11.06) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その34
「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「顧客は神様か?」−(1)08年11月号
「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」−(2)08年12月号
「問題と課題の違いがわかるかな?」−(3)09年1月号
「資格を取っても役に立たない?」−(4)09年2月号
「物事」とは何か?(5)09年3月号
「タテマエとホンネ」(6)09年4月号
「カタカナ言葉と漢字」(7)09年5月号
「これからは日本の時代って本当?」(8)09年6月号
「ものづくりは技術が基盤って本当?」(9)09年7月号
「サービスはタダか、サービスはマネーか?」(10) 09年8月号
「少子化問題と一人っ子政策の討論」(11)  09−10月号
−「何か変だな!講演会」(12)        09−11月号

B.「何か変だな!」のエッセイは今回で12回になりますが、よく続きますね。

A.最近の世の中は変なことが多いので、まだネタは切れない。面白いことに11月に関西で「何か変だな!講演会」をすることになったよ。

B.そんな題名で人は集まりますかね

A.題名は「価値創造とプログラムマネジメント」だが、ホンネは「何か変だな!IT産業は」なんだ。大手IT会社の関西ユーザー会の講演を頼まれてね、おしゃべりするわけ。

B.ユーザー会で「IT産業は何かおかしい」などと言って顰蹙を買いませんかね

A.今まで「IT産業は何かおかしい!」といい続けて顰蹙を買っているよ。それを承知の講演依頼だからね。

B.一体何がおかしいのですか。大きな病院へ行くと、以前は支払いに30分も待たせられたが、今では5分ぐらいで支払いができますよ。ITの威力は素晴らしいですよ。

A.ITの効果については私も大いに認める。私は石油精製、原子力関連、宇宙関連プロジェクトを30年間やってきた。いわば正統派のPM(プロジェクトマネジメント)実践者でね。それと比較するとITのPMは「何かおかしいね!」という感じするね。

B.何がおかしいのですか?

A.わたしはね、いつもタテマエとホンネを見て歩くことにしているの。IT産業のエリートに話を聞くと正統派の私より先端的で立派なPMのお話しをされる。そんな立派なITのPMで、なぜ失敗率が高いのか疑問に感じたわけ。調べると3Kといわれる職場環境の中で、ボトムの人たちがメンタル・ヘルス(うつ病等)に悩んでいる。そこで、PS研究会に参加したわけ。

B.PSって何ですか

A.ごめん、ごめん。実際に働いている仲間の満足度を高めるための研究会でね、どのようにすれば、職場を楽しくでき、メンタル・ヘルスを減らせるかという研究会のこと。この研究会で気がついたのは、エリートのタテマエと実際の職場環境(ホンネ)の落差が大きいことだね。海外の石油精製プロジェクトや宇宙開発プロジェクトではこの落差がないことに気がいた。落差の原因を探したよ。

B.原因がわかりましたか。

A.おかしな点をあげるとね。@多くの発注者はプロジェクトの構想計画をしないで、仕事を発注している。A構想が固まっていないから、契約の範囲や仕様がはっきり決まっていないのに、一括発注で請け負わせている。B仕様が明確でないから変更が多い。でも一括契約だからお金に関係なしに追加を要求しやすい。俺は客だよ。日頃の恩顧に応えよというビジネスの姿勢があり、誰も逆らえない。C構想計画をしないから投資でどのような効果が期待できるか、正確に検討していない。実際に効果が出たか明確でない。

B.でも、日本の社会では、これって当たり前ですよね。こんなこと気にしていたら、食べていけませんよ。

A.私がおかしいというのだろう。私の周りの人は皆そう思っている。でもね、海外で仕事をすると全く逆でね。大勢のプロジェクト参加者が手順を踏んで仕事を進めている。日本流の(ずさんな)PMをしていたら、4,000億円の巨大プロジェクトを受注でしたら、確実に会社は破産するね。

B.なぜ、先生に講演依頼が来たのでしょうね。

A.厳しいことをはっきり言うね。経済産業省が目覚めたのかな。発注者は構想計画を実施しなさいと2006年に「超上流から攻めるIT化の勘どころ」、2008年にはIT経営ロードマップを発行し、IT化をする前に、「業務の見える化」(業務改革の見える化)をしてから、「情報の見える化」をせよ。更に情報の共有化、柔軟化で社外企業、海外企業との情報共有を視野に入れた展開をせよと示唆している。2009年4月には情報化の価値指向マネジメントワーキンググループを編成して、価値とは何か。価値を発注者、受注者、利用者、システム・インテグレータ、開発者の立場での夫々の価値を理解し、双方に価値をもたらすWin/Win関係を考慮しようという研究をスタートさせている。

B.IT産業は30年にもなるのに、今頃なぜ基本的なことをしっかりやれと言い出したのですかね。

A.なかなか、いい質問だね。今までのやり方では海外に通用しないから、IT業界もグローバル展開を考える必要を感じたのではないかな。最近はオフショア(海外の企業にITのアウトソーシングをする)で海外企業にIT関連業務を発注しているが、契約書の不備が原因で手痛い目にあっているようだからね。

B.なるほど、海外の業者は日本の業者のように、何でもハイ、ハイと言うことを聞くことはないのですね。

A.日本人ほどお人よしではないからね!


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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