第50回(2011.03.08) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その50
「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(15)
〜「How toの時代からWhat toへの転換」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

−「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に消火活動チームの設置」  10年01月号       
−「働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!」  10年02月号         
−「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」− 10年03月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−10年04月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年05月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年06月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−10年07月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−10年08月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年09月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年10月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年11月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−10年12月号
−How to の時代からWhat toへの転換−11年01月号
−How to の時代からWhat toへの転換−11年02月号

B.先生、2月号で「リーゾナブル」という発想が面白かったです。

A.なぜ、面白いと感じたの。

B.IT関連の仕事をしていますが、客先から追加の要求が多いのです。そこで「この納期と金額ではお客様の要求は呑めません」と反論すると、「ITの仕事はやってみないとわからないことが多いのは君達も知っているだろう。客の要求が呑めないようなら、業者は幾らでもいるから降りてくれ」といわれ、泣く泣く仕事を続けますが、皆業者皆泣きを見ています。これってリーズナブルですか。米国でも同じやり方ですか?

A.それはリーゾナブルではないな。未知のものを取り扱うときは実費償還型契約方式にするんだ。わかりやすく云えば、「掛かった費用は全部払いますよ」という契約方式だな。

B.それはリーゾナブルですね。でもそれでは米国のIT投資は日本よりお金が高くなりませんか。

A.高くなるね。高くなると君だったらどうするかね。

B.無駄がなく、効果のでるシステムつくりを考えます。

A.そのためには君だったら何をするかね。

B.よく調査し、構想を固めて追加がでないことを考えます。高いから投資回収ができる計画をします。

A.米国企業は株主の目が厳しいから、企画書が優れている。米国企業がリーゾナブルということは、掛かった費用をすべて払いましょうという以前に、ベストな仕事を心がけているところが、リーゾナブルなんだ。

B.よくわかりました。変更の多い日本企業は仕事の進め方もリーゾナブルではないといえるのですか?

A.その通りだよ。多くの日本企業は米国産のベストプラクティス的なソリューション・パッケージを導入することを考える。米国企業は既にグローバル競争に勝つ体制でシステムをつくっている。日本企業は未だに国内優先のメンタリティーで仕事を進めているから、文化の相違で、米国産をそのまま使えない。そこでわが社のシステムに合わせろという要求が出る。
そこで質問だが、この日本企業はこのパッケージを入れて、グローバル競争力を付けることを狙ったのではなかったのかな?新興国はパッケージをそのまま導入して自社のシステムにしている。日本はこれでグローバル競争に勝てるかな。

B.日本方式を踏襲してグローバル競争に勝つことは無理ですね。その点内容的にもリーゾナブルではありませんね。

A.これに関連して面白いことを話そう。昨年からハーバード大学のサンデル教授の「正義」という講義が話題を呼んでいる。絶対正義というものはなく、ケース・バイ・ケースで正義は変わるという話しだ。今回は「小さな正義」と「大きな正義」の話をする。ここでまたITプロジェクトの話に戻る。日本のITプロジェクトは不思議なことに構想計画をつくらず、ITパッケージの導入を図っている。構想計画とは@このプロジェクトの使命(何をするのか)・目的(何のためにそれをするのか)・目標(何ができたら成功か)は何かを定義する。Aその結果このプロジェクトではどのような効果を発揮させるか、この投資は回収できるのか。できなければその価値は何かを明確に示す。また、価値を決めるには適切な評価基準が存在することが原則だ。日本の公共投資のように、学識経験者が最適な案と認めたというまやかしは許されない。
 大まかに言うと以上の話になるが、このプロジェクトで当初計画にない要求が追加されるが、実は一つ一つは小さい要求で、提案者にすれば「正義」と思って提案している。これを「小さい正義」という。このような要求が多く出された場合、君がプロジェクトマネジャーだったらどうするかね。

B.@構想計画にある「使命・目的・目標」に照らして、要求が合致しているかチェックします。A追加費用を支払ってまでやる価値があるか検討します。これをやればリーゾナブルになりませんか。

A.その通りだ。この構想計画はプロジェクトにとって「大きな正義」なんだな。すべての問題は「大きな正義」がないと、「小さな正義」に振り回されて、大局を見あまるということを憶えてもらいたい。

B.最近の新聞を見ますと「小さな正義」ばかり掲げています。わずかばかりの欠点を掴まえて、大臣を辞めさせろと叫んでいますが、国民から見ますと、そんな「小さな正義」で時間をつぶすより、「日本国は大至急に何々をするべきだ」ということを主張する新聞や、野党議員がいてもいいですね。これはマスコミも野党もまた与党も、日本の国の青図(構想計画)を描くという「大きな正義」がないからですね。

A.次の選挙に君を推薦するよ。


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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