第38回(2010.03.09) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その38
「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)
〜「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

−「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に消火活動チームの設置」  10年01月号       
−「働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!」  10年02月号         
−「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」− 10年03月号        

B.新年号で社内に消火チームを設置しようというのは実践的で面白いし、定年後のベテラン社員の再活性に繋がりよいアイデアでしたね。2月号では低学年児童を持つ働く女性のために小学校が面倒を見る、地域の高齢者が面倒を見るというアイデアは高齢者活用で大いに役に立ちますね。

A.前回も話したが、アイデアなど、どこにでも転がっているが、実行する人がいないで困っているんだよ。メルマガ2月号が掲載された後で、NHKで面白い番組があった。ドイツのデュセルドルフ市で一人の女性が「高齢者のボランティア活動」実践の話だ。ドイツでも働く女性の子育ては種々の負担がある。一方で「孫のいない高齢者夫妻」がいる。このことに目を付けた市の女性職員が、「高齢者夫妻」に「働く女性一家の孫の面倒を見させる」ことを考え、市の職員の立会いの下、「孫―高齢者ボランティア」契約を結ぶ。人間には相性があるから、事前に市職員がヒアリングし、人柄と考え方を確認した上でお見合いをさせ、相性を確かめて契約させる。その後定期的に両家からの問題点、孫との相性を確認し、契約を継続させることで、孫が成人するまで孫親関係(一般の肉親の孫と祖父母の関係と同じ)は継続し、深い人間関係ができるという素晴らしい番組が放送された。

B.それは面白いですね。日本でも孫のいない老夫婦がいて、寂しい思いをしている人が多いですよ

A.番組では、老夫婦は新しい生きがいができ、考えもしなかった第二人生が送れたことに大きな喜びを感じていること、孫も赤ちゃんのときからの関係で本当の爺さん、婆さんと思って育つことの良さを示したいい番組だった。

B.日本ではそんな親切な市の役人がいますかね。

A.いると思うよ。だがね、上司が面倒なことをするのを嫌うから先送りになってしまうんだな。最近は違ってきたが、昔の役所はお上で、税金を払う人より、役人が偉かったから、庶民の面倒を見る習慣がなく、そのまま今日に来ているものが多い。

B.今月のアイデアは何ですか。

A.英国では役所の仕事を民間にアウトソーシング(仕事のある部分を民間に任せる)し、役所の経費を極力下げ、しかも役所が持たない最近のIT技術を駆使して、住民へのサービスを充実させる手法がどしどし行われている。そのため富士通の英国子会社は大活躍して収益をあげている。英国では予算が少ないから民間にアウトソースするケースが増えているね。

B.日本はどうなのですか。日本でも予算が少ないから民活が必要だとおもいますがね。

A.日本の役所は従来より(民間人を信用せず)役所ほど信頼できる仕事はできないと考えており、関心を示さないとテレビが解説していた。

B.それはおかしいですね。私たちは役所の動きの悪さにうんざりしています。今の民間はトラブルの発生で、トヨタ問題等みられるような大きな社会問題となり、大きな損害をこうむります。その意味で企業に対する信頼度は増していますよ。

A.私もそのように思いますよ。話を今月のテーマに戻そう。さる私立高等学校の校長先生から地域の産業クラスターに依頼があった。「少子・高齢化時代に向けた学校改革のアイデア依頼である。当時産業クラスターメンバーはP2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)の勉強会を開いていた関係で、高等学校でP2Mによるアイデアを出す話をしてくれと講演依頼があった。当時P2Mの研究会で「価値を創る輪手法(Value Wheel Method)」を考え、商標登録したところだったので、講演に応じ、「アイデアの出し方、アイデアの広げ方の話をしたが、これだけでは面白くないので、10年後のあなたの学校をこうしよう」という提案をした。
 話は受けて、アンケートでは大変良かった55%、良かった30%だった。

B.それはよかったですね。何か面白そうな気がしますが、内容を話してくれませんか。
A.このエッセイも紙面に制限があるので、次回に話してあげるよ。この話しには後日談があってね。講演後産業クラスターのメンバーと軽くいっぱいやりながら懇談した。クラスターメンバーに元校長経験者がおられ、「今日の話は役に立ちました。次はXX市で講演してくれませんか、私が市の教育委員に交渉します」というお誘いを受けた。
 B.それはよかったですね。XX市の方はどうでしたか。
 A.ハハハ。「この講演内容は現状批判で好ましくない」という判断で却下されたよ。
B.何故却下されたかも含めて、次回講演の内容を話してください。
B.新年号で社内に消火チームを設置しようというのは実践的で面白いし、定年後のベテラン社員の再活性化に繋がりよいアイデアですね。社会に大いに役に立ちます。しかし、考えてみたら、先生からアイデアを出していただいても、1年間で12個しか頂けません。アイデアを出していただくと同時に、アイデアの出し方を教えてください。読者は早速アイデアを出すと思いますよ

A.それはいいね。実はアイデアなどどこにでも転がっているよ。アイデアを利用したくない人が大勢いるので困っているよ。

B.例えばどんなことですか。

A.日本では良いアイデアを出すと必ず、小さなことでこれは問題があると言い出すよね。小さなことが気になると、それをしたくないと考えるようになる頑固者が多いいんだな。農業従事者の大半65歳以上になり、働き手がいなくなる。そこで企業にやらせようというアイデアがでるが、農地保護で土地は売らないという。日本では「世の中をよくするアイデア」はいくらでも出せるが、既得権益者がじゃまをするからすべてが先送りになってしまう。

B.そうですね。何か新しいことをすると、言いがかりをつける人が多いですね。JRがSLを廃止すると決めると、なぜ、由緒あるSLを止めるんだと大勢が抗議する。最終回となると大勢押しかけるが、それを続けると誰も乗らないというわがままが多いですね。

A.例えば少子高齢化社会で、労働人口が減少し、日本はこれから衰退すると、世界中が日本を見ている。そして日本人も同意している。少子高齢化で問題は、働く女性の子育てでしょ。この豊かな国で保育園が不足している。また、保育園児が小学校に入ると、学校は低学年の生徒でも帰りを促すから、おばあちゃんのいない家庭では勤めができなくなる。世の中をよくしたいと思えば、小学校が低学年児童を預かれば簡単に問題は解決できる。この際産休の予備の先生が待機しているのだから、小学校は有償で、低学年の生徒を預かるシステムを即実行できるはずだ。ここでは低学年の生徒の「しつけ授業」や、絵本を読ませ、聞かせる等の情操教育もできる。
  やれば簡単にできることが、何か理屈をつけて、前例がないということを固辞する動きが強くて実行できないでいる。若し、学校が駄目ならば、近所に老人コミュニティをつくり、誰か手すきの方に低学年の生徒の面倒を見てもらえれば老人の小遣い稼ぎになり双方にメリットがでる。

B.なるほど、不景気といいながら、需要があるところを開拓しないのは不思議ですね。

A.堺屋太一さんに言わせると国家公務員は職業でなく、身分と思っているらしく、下々のことなど考えている暇がないようである。しかし、地方公務員は懸命に働かないと債務超過でリストラされるから発想を変える必要がある。税金で食べているのであるから、住民が困っている問題を解決するのが役人の勤めだよね。

B.言われてみればその通りですね。すぐできることでもやってくれないのが役所だと考えていました。

A.実は民間企業でも似たようなもので、簡単にできることをしていないことがたくさんある。わかるかね。やってみれば面白いことは沢山あるんだよ。何故アイデアが出ないかわかるか。

B.それは普段考えていないからですよ

A.それは、言えてるね。何故考えないかというと「考え、実行し、成功しても、誰もほめてもくれないし、一銭も出さない。しかし失敗したら非難されるだけだからね。皆意欲をなくしているんだ。最近は韓国が国を挙げてグローバル化に取り組んでおり、その成果が顕著に出始めている。その結果日本は各方面で負け始めている。日本のエリートもマスコミもアメリカだけを眺めていると痛い目にあうよ。われわれもそろそろいいアイデアを出そうじゃないか。次回は面白いアイデアの話をしよう。
 しかし、君も来月までにアイデアを出してみたらどうか。必要だけど、やっていないことが沢山あるから、観察してアイデアを出す習慣をつけてみたら。

B.できるかどうかやってみます。来月を期待してください。

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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