第81回(2013.10.15) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その81
「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」
―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(7)―

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(1)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(2)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(3)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(4)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(5)
−勉強をしたバカとは何か勉強しよう−(6)

A.先月はグローバリゼーションの本質についての話があり、グローバリゼーションの正の効果の話を聞いた。それに対し國際金融資本の行動は結果的に國際金融資本が儲ける仕組みから成り立っている。そのために人類の1%以下の金持ちに金が集まり、中堅以下の人々が下層階級へシフトしている。これでは資本主義そのものの持続可能性が保てない。同時に國際金融資本は国家ではないから、国民のための政治をとることはない、という質問が出された。皆はどう思うかね。

C.この指摘は当たっていると思います。しかし、私たちに与えられたテーマは「世界が変化している中で、日本人は自分のことを良く知っているのか」です。先生のご要求は本テーマから離れます。そこで私はこのテーマに戻した上で、議論し、その上で先生がご提案した問題に戻っても良いと考えます。

A.君の意見は正論だ。何か言いたいことがおありのようだ。話してもらえるかな。

C.先日面白い記事を読んだので紹介します。
 『日本人は自らを失われた10年或いは20年と捉えてえているが、自らを再発見できるのか』は著書「MBAが会社を滅ぼす」で知られたヘンリー・ミンツバーグ カナダマギル大学教授の書かれたエッセイです。要約すると、

@ 失われた20年をイメージして日本を訪問し、東京、鎌倉、京都、隠岐の島に滞在した。そこで目にしたのは清潔で安定した裕福な国だった。手入れの行き届いた最新車種、魅力的なレストラン、店舗。人々はこれまでと変わりなく感じが良くて親切だった。北米の現状と比較して、日本での滞在は素晴らしく、円滑に運んだ。

A 日本の現状は高度成長期とかわりなく、文化を見事に維持している。日本人の健康を示す寿命が延びている。

B 伸びていないのは米国基準のエコノミストが求める経営指標である。米国が求めている株価価値は、株価以外を評価しないシステムで、その会社を支えてきた従業員、関連企業や地元さえ考慮しない評価基準である。この評価基準のお陰で、現実の米国は少数の富裕層を除き他の人々の所得は伸び悩んでいる。受刑率、肥満率、不法薬物の使用、医療費が高く最悪である、言葉を換えると資本主義の勝利という作り話と米国経済に与える影響は破棄的なものといえる。

C 日本からの帰りに、サンフランシスコに立ち寄ったら、普通のちっぽけな部屋で300ドル、チップは18〜20%、京都の旅館の清潔さと比較ができない。

D 私は日本人の何人かのエリート達と話し合いをしたが、彼らの態度からすると、日本が失ったモノとはエリート自身が自分のやるべきことを失った姿といえる。

E 日本の短い滞在で感じた日本は過去からの繁栄を今も保ち、文化や尊厳、そして慎み深さを維持している。もし日本がその良識を維持し続けるコトができるなら、問題が山積する世界にとっての新たなモデルとなる。勝利するために、他に例を求めるのではなく、自らの強みを見つめるのだ。かつての時代のように世界から孤立するのではなく、自らを創り上げるのだ。日本の精神は失われていない。そのことに気がつけば、実現は可能である。

D.私も同感です。「ジャパン アズ No1」の著者ハーバード大学のヴォーゲル教授はテレビ番組で「日本の経営者は度胸がなく、経営的なリスクをとる発想を持っていない。これではグローバリゼーションを乗り切ることはできない」という内容で、知識を勉強しても、失敗を恐れて行動しなければ、何のために勉強したかわからない。」という発言でした。
私たちも経営者と同じように、皆失敗しないことを願っています。これでは今議論している私たち自身が勉強したバカといわれても仕方がありませんね。

A.Cさん、Dさんありがとう。勉強しても行動しなければ成功はありえないのは当然だ。この当然なことを誰もしていない。世界の情勢の勉強も大切だが、私たちが行動するには何が必要か次回までの宿題にしよう。


以上


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)   (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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