第120回(2017.01.20) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その120
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(34)
−アベノミクスを成功させるためにー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(22)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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A.先月はIさんから日本的ムラ社会で活躍するための戦術を教えてもらった。昔のことになるが、Iさんからムラ社会で活躍する素晴らしいノウハウを教えてもらった。Iさんは転職してすぐ、大型プロジェクトの主要な領域のプロジェクトのエンジニアリングを任された。プロジェクトマネジャーから渡された資料を読んでも仕事の見当がつかなかった。過去の書類と図面からだけでは、その内容を理解することができなかったため、困ったIさんはプロジェクトマネジャーに質問した。その時マネジャーは実は私もそのプラントはやったことがないから答えられない、という返事だった。それでは仕事ができませんと答えると、その件はBさんが詳しいから彼から聞いてくれと、Bさんに電話して、新人を紹介するから彼の質問に答えてくくれるように依頼してくれた。

I.Aさんからのお話はその通りなのですが、業界がかわるとプロジェクトの全貌が全く見えないことが問題なのです。そこでこの年を取った新人は、私は全部知らないので何が困っているのか、それが分からないで困っていますと告白し、プラントの概要と重要なポイント、読むべき書類を紹介してもらいました。その結果何を質問すると仕事ができるかが分かるようになりました。そこで今度は質問項目リストを持ってBさんを訪問し質問を行うことで、80%程度の解答を貰いました。そこで残りの部分の得意な人を紹介してもらい少しづつ理解していきました。この時は一つの問題に対し、3名から5名の先輩に質問し、5人の解答を得ました。そこで各者の解答を表示しました。ここで分かったことがありました。皆さんの解答がすべて同じではなかったのです。お節介な私は、質問者5人に各位の解答内容を説明し、誰の解答が正しいか発表しました。

A.その結果はどうなったかね。先輩から嫌味を言われなかったかね。

I.反対でした。彼らは自分も先輩から聞きながら問題を解決していきました。しかし、5人から聞くことはしませんでした。Iさんの言う内容が正しいと思います。大変勉強になりましたとよろこんでくれました。このやり方で、素人の私が、私がした質問に関しては、私はわが社1の知識の持ち主になりました。そしてこの厚かましい新人は他の新人より多くの人脈を持つことができました。この結果をやめた前の会社の社長に話しました。今度の会社で仕事をするノウハウを学びましたと、この話をしました。社長は『それは「ノウハウ(Know/how)」とは言わないよ、「ノウフー(Know/Who)」』というんだ」と教えてくれました。
この転職後最初の仕事で、自分が学んだ内容をまとめて、写真と解説付きで文書化しました。それは新人教育のためです。
私の次の仕事は石油メジャーのシェル・ドミニカ共和国製油所の建設でした。私が書き残したノウハウ集はシェルではDEP(Design&Engineering Practise)という形でスタンダード化されていました。欧米社会が残業をしないで仕事ができる理由を理解しました。これらのスタンダード、プラクティスがあるために、日本の顧客と議論しあう50%の時間でエンジニアリングを完了することが可能でことを知りました。

A.ところで日本的ムラ社会である町のしごとはどのように進めているかな。

I.日本的ムラ社会の仕事は決められた事項を着々と進めています。一つはビジネスの仕事ではなく、ボランティア活動なのです。ビジネスの仕事であれば、収益さえ上げれば、大目に見てもらえます。しかし、ボランティア活動はマネジメントが優れていても、誰もが嫌がる仕事をさぼると、人格的な評価が落ちることです。そこがボランティア活動の難しいところです。そこで決められた仕事は確実に実行しています。また、エンジニアリング企業で鍛えられた人間は仕事が確実で早いという特徴があります。この便利さのために、今では部会長からちょくちょくお呼びがかかります。
  しかし問題がないわけではありません。決められた目先の仕事を着実に実行しても、町の再生をはかることができないことです。この町もムラ社会の住人で満ち溢れています。その危機感がないことです。
さて、何時になったら、本性を現し、勝負をするか、その時期を狙っています。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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