第39回(2010.04.09) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その39
「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)
〜「How to の時代からWhat toへの転換」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

−「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に消火活動チームの設置」  10年01月号       
−「働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!」  10年02月号         
−「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」− 10年03月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−         

B.3月号では少子高齢化で高等学校の将来をどうするかという話を依頼先の高等学校で講演した。同席した元校長先生が感激して、XX市の教育長に話を持ち込んだが、結果は拒否されたという話を聞きました。なぜ、面白い話を拒否したのでしょうね。

A.これは簡単な話だ。国の面子かな。正しくは「国(或いは役所)は絶対に間違ったことはしない」という不文律がある。国が誤りを認めると、その修正は全国規模になり、収拾がつかなくなるからだな。やむをえない面もある。しかし、経済問題は別だ。経済は生き物だから、10年前に正しくても、現在は間違っていることが多い。このかたくなな態度が日本を停滞させている原因の一つになっている。「失われた10年」から現在は「失われた20年」になろうとしている。何故だかわかるか?

B.それは日本の製造業が中国に勝てなくなったからではありませんか。

A.それもあるかもしれないね。統計によるとDRAMメモリーは87年にはシェア80%、97年で40%、2000年で20%にまで落下している。液晶は95年で100%、05年で10%、カーナビは4年間で100%から20%に下落している。何故かわかる?日本の新聞は今でも「ものづくり=技術」を主張している。サムスンは電気産業では世界一になったのを知っているよね。技術は全部日本の技術だよ!何で負けたの。

B.技術が日本製で何故負けるのですかね。

A.そこだよ。サムスンは日本の製品を見て短時間で日本に勝つことは無理だと考えた。そこで、戦略的に日本の戦場で戦うことを避けた。新規マーケットとなる国を選び、選んだ国の専門家をつくることを考えた。専門家をその国に派遣し、単に言葉だけでなく、生活のレベルや文化(その国の人が今何を欲しがっているかということなど)を学ばせた。一方日本製品に対し徹底的に研究し、@真似をする、Aその商品の最も大切な基本的機能とは何かを調べる、次にB過剰な機能は削除する、C求められた国で必要とされる機能は何かを徹底して調査する。何故、そのようなことをしたかわかるか?
B.日本は高級品をつくっているが、多くの発展途上国は機能が最低でも安い方がいいと考えているからですか。

A.その通りだね。途上国では2槽式洗濯機(初期の洗濯機)が爆発的に売れ、インドでは鍵付き冷蔵庫が売れる(使用人に食べ物を盗まれるため)。イスラム圏では礼拝の時間に自動的にコーランが流れるテレビが爆発的に売れているそうだ。

B.なるほど、ものづくりとは製品をつくることではなく、文化と深くかかわっていることがわかりました。お客様は神様ですといいながら、日本のメーカーは国内の競争相手を上回りことしか考えていませんね。これでは途上国で売れないのは当たり前ですね。

A.最近は理解力があがったね。では、なぜ、失われた10年、20年なのかね?

B.ビジネスは技術だけではなく、顧客第一ということですか。

A.それもある。もっと大切なことがある。日本のエリート(エスタブリッシュ:地位が高く、社会に影響力を持った人々)に問題がある。米国に劣等感を持ち、日本人に優越感を持った人間が多いことだな。彼らは「アメリカでは、これこれしかじか。あなたもこれに乗り遅れると競争に負けますよ」(これをアメリカ出羽の守)というHow to手法で、社会を支配してきた。IT産業がその代表事例だな。米国が次々と新しいものを提供してくれたときは、彼らは強かった。ところが米国発の多くが金融関連に変わるとエリートは困った。護送船団方式で金融技術に乏しいからな。それも詐欺的な要素が強いとなると、米国出羽の守が通用しなくなった。これが失われた10年の実体だな。もう一つある。日本のエリートは日本文化を馬鹿にしてきた。彼らのビジネスモデルは「米国が良くて日本が駄目」でないと商売にならないから、必要以上に日本文化を卑下してきた。明治時代が江戸文化を徹底的に否定した前歴があるから仕方がない。自民党が駄目になったのは、役所が国民を納得させる政策を出せなくなったからだと思うよ。

B.国は間違っていないという論法では、反省して新しくするという発想はでてきませんよね。

A.なかなか鋭いことを言うね。では、日本はそれほど駄目な国かね。私が思うに、
@日本は世界で最も安全な国だ。
A大金持では米国に勝てないが、日本の貧乏人は米国の貧乏人より金持ちだ、
B世界中のおいしいものは日本で食べられる、
C幸福は金では買えないことを知っている、
Dエリートは頼りないが庶民に力がある、
E現在の世界は「強欲と支配力」を求めている人々によって支配されている。これでは問題解決はできない。日本人は「思いやりと寛容の精神がある」、
F世界がうらやむ生活文化がどんどん生まれている。

残念ながらこれらのよさを日本人が全く理解していない。これを世界に発信できれば、21世紀は日本の時代となる。元気を出して日本再発見の研究をしようというのが今月号の提案だが、どうかな!

 B.それはいいですね。来月号で具体的に話を聞かせてください。

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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