第48回(2011.01.07) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その48
「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(13)
〜「How toの時代からWhat toへの転換」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

−「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に消火活動チームの設置」  10年01月号       
−「働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!」  10年02月号         
−「アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる」− 10年03月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−10年04月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年05月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年06月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−10年07月号 
−How to の時代からWhat toへの転換−10年08月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年09月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年10月号
−How to の時代からWhat toへの転換−10年11月号        
−How to の時代からWhat toへの転換−10年12月号
−How to の時代からWhat toへの転換

B.先生、新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。暮れには素晴らしいアイデアを頂だきました。私も最近は学がつき、経営関連のテレビ番組をよく見ます。そこでは「日本の教育方針が悪く正解のある知識しか教えないから、自ら問題解決ができない」といっています。ですが私なりに考えました。日本の教育が悪いといっても東大を優秀な成績で卒業できる頭を持った人間の集団なら世界に負けませんよね。

A.本年もよろしく。ところで東大出の何が問題なのかね。

B.日本の役所は東大でもトップクラスが働いています。なぜ、優秀な人間を集めて目ぼしい政策が出せず、韓国に負けてしまうのですかね。是非、教えてください。

A.この話はあまりしたくないが、役所の最大の仕事は前年度予算の最低確保で、サバイバル・ゲームなんだな。次年度の予算を8月には省内で大枠を決め、12月までかかって財務省との折衝があり、年末には財務省原案がきまるようだ。そのために省内では優秀な頭を使って、省内でのサバイバル、その後は他省庁とのサバイバル・ゲームに負けないシナリオにつくりに勢力を使っている。予算獲得は省内関係機関の飯の問題だし、同時に本人の出世が掛かっているから、国内問題が最大の関心事なのだよ。

B.わかりました。他人事でなく担当者としては当然ですね。しかし、国内問題が最大の関心事で、現状維持が目標では、日本は永遠に韓国や他のグローバルで活躍している国に勝てませんね。この問題は「人材育成をしても効果がないことになりませんか」?

A.君は鋭いことを言うね。君の言うことは全く正しい。日本に欠けていることは「日本国の目指す青図がないこと、それに組織能力の育成」という概念だな。時代が変化すると、当然青図の変化し、組織はそれを上回る形で内容変化が求められる。このことは後で、ゆっくり話す。まず問題は日本のマスコミだな。彼らは物事を深く掘り下げず、画一的に「ものつくり=技術」、「日本の成長は人材育成にあり」などといっているが、深い部分でグローバル社会の発想と隔たりがある。日本は昔も今も「企業は人なり」といって、日本人全員がこの言葉を信じている。ところが米国は昔から「企業は組織なり」といって、個人に頼る組織は発展性がないと考えている。企業は巨大化すればするほど組織能力を高める努力をしないと効率が低下し、この努力をしない企業は米国では没落している。
B.私達はどの新聞も内容が同じなので、それが真実と思ってきましたが、今回の先生のお話は私にとって新鮮です。詳しく説明してください。
A.では研究開発と組織開発の問題を少し突っ込んで話をしよう。米国ではなぜ、ベンチャーが育つかわかるか?わかりやすく順序だてて説明しよう。
@米国のベンチャーには資金の提供者(エンジェル)がいる。
Aそして最初に概念を聞いて将来性があるかどうかを目利きするベンチャーキャピタルが存在し、その評価内容をベースにエンジェルから投資資金をつのる。
B投資資金は、その概念が達成される初期的な研究資金で、大きなカネを必要としない。彼らは「ベンチャーは新しいものをするから失敗するのが当然だ」と考えている。初期の研究開発の成功率は10%と見込んでいるからだ。
C成功した研究は更に大きな開発費が必要となるが、初期段階での研究で成功確率が高くなっているから大きな資金を集めることができる。このように成功確率を高めながら次第に大きな資金調達をしていく仕組みができており、合理的と思わないか。

B.合理的ですね。しかし全体的には失敗確率は高いといえますね。

A.その通りだ。だが、ベンチャーキャピタルは賢い。彼らは失敗プロジェクトの経験を整理し、実績ノウハウとして、知的資産として再活用のために蓄積する。同時にこの失敗者は新しい研究開発の経験者として評価され、経験者人脈として再度挑戦する機会を与える仕組みがある。

B.新規研究プロジェクトは失敗が当然と考え、成功と失敗を合理的に処理し、成功の程度が高まったプロジェクトには更に大きな投資をするという発想は理にかなっていますね。ところで日本のベンチャーはどのように考えているのですか?

A.日本は米国のように成功率10%でも金を出す大金持ちはいないから、多くの出資者は100%成功をベンチャーに期待している。さて、君がベンチャーだったらどうするかね?また、出資者だったらどうするかね?

B.私だったら、確実な対象を選びますね。そうか。わかった!確実な研究テーマといえば誰にでも見えている研究開発となり、結果的に同業他社と同じものになりますね。そして泥仕合で、研究開発費が回収できない。

A.一般論としてはその通りだね。但し全部ではないよ。では、研究に文句をつけないで金を出すところがあるんだが、わかるかね?

B.国でしょう!国威掲揚のためのテーマですね。

A.その通りだ。次回はその話をしよう。



プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
  (2)     (3)   (4)    (5)   (6)   (7)    (8)   (9)   (10)    (11)   (12)   (13)   (14)  
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