第124回(2017.05.26) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その124
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(38)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(26)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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A.先月号でIさんは日本的ムラ社会にどっぷり漬かって、従来からの町の路線に沿った進め方をしているが、本心はこれだという私案を提供してくれ、従来にないコミュニティを創り上げたいという内容であった。町の行政にコミュニティを入れるというアイデアは、従来ない発想だと思う。しかし日本的ムラ社会には通用しないと思が、それなのに何故戦わないのかね。

I.その通りです。しかし、私自身が運転免許更新で後期高齢者試験を受ける年齢です。今までのビジネス社会での手法がすべて正しいという視点だけではまずいのではないかという考えも芽生えました。一度ビジネスでない日本的ムラ社会の中でどのようなことができるか、実践するのも悪くないと考えてもみました。
そのように考えると、硬くなっていた私の頭脳が、また別なことに気が付いてくれます。この町の日本的ムラ社会はかなり質がいいということです。このことに気が付くと、私は大変恵まれた環境を作ってもらったことに気が付きました。先月申し上げた組織は、『XX小学校区地域再生協議会』というもので、町が“アベノミクス”の予算を使って、つくりだした町の再生化を図る協議会です。私が応募したのは協議会にとって新しい目玉だった課題検討部会です。

そこで私は町でつくった総合戦略を読みました。内容がここまで進んでいるなら、この戦略を具体化するためのビジョンを出そうと斬新的な意見を図式化し提案しました。検討部会の責任者は手持ちの少ない予算内で、そのような提案を受けても話が空論化するだけで、話がまとまらないと考え、かねてからコンサルタントと相談していたワークショップを開くための準備をすることを優先しました。手順とすると優れた発想です。そのため私の提案は議論に掛けられることなしに没となってしまいました。

そこで私は再生協議会の会長宛にビジョンの必要性を説いた提案書を出しました。しかし、それに対する直接的な返答はありませんでした。しかし検討部会長は私の提案した中から3つのテーマを選んでプロジェクトをつくることを決め、予算内ですぐできるアイデアを出すよう指示されました。それはワークショップを実行するためのプロジェクトとしての基本的な発想を創り上げることでした。

各プロジェクトには当然一緒に考え、一緒に作業するスタッフが必要です。驚いたことに私が担当する【魅力ある地域公園づくり】分科会に本協議会の会長、福祉部会長、本協議会に所属する地域の老人会の会長、見識者が参加してくれました。これは日本的ムラ社会ではありえないやり方です。
雑談になりますが、分科会の協議を終えた帰り道で協議会会長から、渡辺さんの提案を見たが頭脳明晰で驚いたという話がありました。しかし会議で会長は総論的な話は基本的に必要であるが、具体案がなかなかでない。これでは議事が進まない。具体案を優先しようと、常に私をけん制しながら議事進行に努めてくれました。このことがあって、わたしも日本的ムラ社会にどっぷり漬かることにしたわけです。

このおかげで議事は進行しました。そして分科会各位からいろいろとよい意見が出されました。ところがこのムラ社会の大物諸氏は発言するが、文章を書いて説明してくれません。発言の内容は素晴らしいのです。そのすばらしさは長年行政とのやり取りの中で、行政に採用されるボーダーラインの模索です。模索の内容を文章化する習慣がないのは当然です。

阿吽の呼吸だけでは結果的に日本的ムラ社会になってしまいます。これを避ける方法を考えました。「Bさん、頭のよいあなたが要点だけを話しても、未経験の私にはあなたの頭脳の中身までは理解できません。申し訳ないが、ご自分で絵を描いて、ご説明できるものをご提供願いたい」と頼みました。
実はこのお願いによって、頭の優れた各スタッフは自分の発想を文章化することで正しく意図を伝えることの難しさに気が付き、簡単な絵や表を作り、解説文を添付する方式を実行してくれました。気が付いてみると絵や表を用いた説明書には、国や町行政の考えているビジョン、会議で議論したビジョン、その人が考えたビジョンが含まれていることを発見しました。

私はこの方法で日本的ムラ社会にビジョンを持ちこむことができることを確信しました。

A.その結果はどうなったのかな。

I.町との打ち合わせに効果があったことをお伝えしますが、この件は次号でご説明します。

A.Iさんも最近は話がうまくなったな。テレビを見ていると、答えはコマーシャルの後で!というのがある。来月号を楽しみに待っているよ。




以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
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第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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