第93回(2014.10.17) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その93
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」
−アベノミクスを成功させるためにー
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(7)

渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所


“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(2)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(3)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(4)
“想定外”と“ゼロベース発想”−(5)
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(6)
―“想定外”と“ゼロベース発想”−(7)

A.先月で“ゼロベース発想”とはBタイプ人材が活用する第一法則「制約条件正当化の法則」を逆用して、「制約条件をなくすと何が見えてくるかを考えればいい」とBさんが説明してくれた。それを受けてDさんが、官による既得権益の解消は“ゼロベース発想”の第一号になるという提案であった。今月はDさんの考える”ゼロベース発想”を説明してほしい。

D.承知しました。先月の発言は正しいのですが、アベノミクスを取り上げる場合、アベノミクスの目的をまず考えます。アベノミクスの目的は日本がグローバリゼーションに乗り遅れ、新興国への進出が遅れている問題を解決することが第一位です。この問題解決としての“ゼロベース発想”はグローバリゼーションとは何かというその特徴を解析することから始めます。そこで私は日本が空白の20年の初年度1990年から2000年までの世界の動向を調べました。

(1)1990年以降の世界の動き
 @ 1987年米国は米国製造業再生のためのマルコム・ボルティリッジ賞の設定
 A 1991年米国はソ連との冷戦に勝利し、ソ連邦は崩壊
 B 冷戦終了後の先進国は経済成長が低下し、このままでは世界恐慌の恐れがあると多くの専門家は判断した。
 C 冷戦後の国際金融資本はソ連という強敵の滅亡で、独占的地位を確保した。彼らは成長率が高くなると予想される新興国への投資を決断し、資本・技術・人材を新興国に投下した。先進国の経済停滞を、新興国の発展でカバーする戦略である。
 D 1995年グローバル社会でインターネットが普及し始め、効果的な新興国への投資で、2000年には世界経済が大幅に拡大するグローバリゼーションが出現した。
 E 2000年米国は経営のデジタル化(DBD)で新戦略実施への意思決定のスピードをあげ、グローバリゼーションに君臨した。
 F グローバリゼーションの実現に大きく貢献したのはデリバティブという金融証券の開発で、実経済で流通するドルの100倍ものドルを発行し、電子・金融空間を活用し、グローバル経済圏のドルの流動性を拡大したことである

(2)グローバリゼーションの特徴と最大成功者韓国の戦略の対比
 @ 世界経済の融合と連携深化
  ●貿易の発展
   :新興国に人材を派遣、相手国の文化を吸収し、消費者のニーズの開発
  ●直接投資を含む資本の国際的流動化の増加
   :生産の現地化で直接投資を実行、その収益の現地再投資化
  ●国際金融システムの発達(国際金融資本の活躍とデリバティブ方式開発
  ●多国籍企業による世界経済の支配割合の高まり
   :製造の現地化と利益の現地再投資で当該国の発展に寄与
  ●世界最適な調達・販売を行うサプライチェインマネジメントの発達
   航空と海運の航路増大による物流ネットワークの発達
   :仁川空港のハブ化;各国(含む日本)のローカル空港のためのハブ空港化、
     釜山港のハブ化(日本の港湾設備の総量と同じ規模)を含む
     グローバル物流SCM(サプライチェインマネジメント)への投資
  ●地球規模的に適用される標準、基準などの増加
   :国際標準化の採用

 A 異文化交流の機会増加
   ●増大する国際的な文化の交換。文化の同化、融合、欧米化、アメリカ化
   :韓国文化の発信(韓流への努力)
   ●増加する海外旅行、観光
   :文化の発信で韓国への観光客の増加

 B 政治体制の一元化
  ●世界貿易機関などの組織への国際的取り決めを通じて、国境の壁の低減化
   :46か国とのFTA締結戦略
  ●国民国家の枠組みにとらわれないNGOなどの組織拡大
   WTO,WIPO,IMFなどの国際的組織の役割の増加
   :国連事務総長、世界銀行総裁という地位確保

 韓国は世界経済の変化の中で、グローバリゼーション対応国家戦略を効果的にするため、グローバリゼーションに対応できる@組織と人の改革、A製造プロセスイノベーション、B製造開発イノベーションを実施し、グローバル社会で業績を上げた。

韓国サムスン電子の実績
1993年新経営宣言、1998年アジア通貨危機で外資を導入し、経営改革に成功し、韓国製造業家電系が日本家電を新興国から締め出す
  1999年年商2,500億円→2004年1兆7,000億円、→2013年18兆7,000億円


以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
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第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
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第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
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第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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