第190回(2022.11.25) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その190
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(104)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1) 
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
第161回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(75)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(3)
第162回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(76)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(4)
第163回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(77)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(5)
第164回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(6)
第165回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(79)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(7)
第166回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(80)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(8)
第167回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(81)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(9)
第168回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(82)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(10)
第169回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(83)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(11)
第170回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(84)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(12)
第171回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(85)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(13)
第172回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(86)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(14)
第173回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(87)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(15)
第174回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(88)−再度「ジョブ型/雇用」と「メンバーシップ型/雇用」の相違とこれからの使い方
第175回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(89)
第176回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(90)−日本人の奇妙な発想その2
第177回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(91)−日本人の奇妙な発想その3
第178回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(92)
第179回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(93)
第180回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(94)
第181回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(95)−官僚という秀才集団の持つ素晴らしさと恐ろしさ
第182回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(96)
第183回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(97)−IT能力の差【米国の自信;日本「ホンネとタテマエ」という風習】
第184回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(98)
第185回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(99)−メルマガ  220618F3

第186回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(100)
第187回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(101)
第188回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(102)
第189回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(103)
第190回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(104)


A.私たちはプロジェクト・マネジメントの手法でエンジニアリング業務を合理的に処理してきましたが、1995年以降のグローバリゼーションとは考えてみると米国一国で実施している政策であるような気がしています。その点はどのように変わったのでしょうか?

芝 安曇:今回は前回の質問の回答と異なり、少し膨大な話となります。
寺島実郎著 日本再生の基軸―平成の晩鍾と令和の本質的課題 初版2020.4.7.
から適切な課題を探してお知らせします。

【平成の30年間は東西冷戦後の30年でもあった】
1989年1月に平成はスタートし、翌年の11月にベルリンの壁の崩壊、12月には、地中海マルタでの米ソ首脳会議(ブッシュ・ゴルバチョフ会談)で「冷戦の終焉」が宣言され、2年後の1991年にソ連邦は崩壊した。そして、この間に世界の動きが構造的に大きく変化してきた。そこで日本が置かれた状況の変化を確認することは、令和という時代のテーマとして認識し、我々自身がどう生きるのかを探る基盤を見つけることで、それを踏まえた令和への課題の設定にある。
@ 最初の課題は米国の金融革命の進行で、悩ましい金融資本主義の肥大化である。
@)ジャンクボンドという金融の仕組みが、与信リスクの高いベンチャー企業にも金が回る仕組みとして機能し、IT革命をになったITベンチャーを支えた。しかしその年1987年ダウ平均株価の23%が下落し「ブラックマンデー」が起こる。

A)1990ビジネスを取り巻く多様なリスクのマネジメントを金融ビジネスモデルとする「ヘッジファンドの帝王」ジョージ・ソロスの存在が目立ち、ビジネス活動に伴うリスクのマネジメントを金融商品化する新しい動き「ヘッジファンド」が台頭してきた。

B)金融技術の高度化には冷戦の終焉の持つ意味が重かった。冷戦期、米国の理工系大卒者の3分の2以上が軍事産業に吸収された。しかし、冷戦が終わり、理工系の卒業者が金融にまわった。

C)1999年、冷戦後の新自由主義という思潮が反映され、「銀行と証券の垣根」を設定した法律は廃棄され、より手の込んだ金融工学に立つ金融商品が生まれた。

D)2008年のリーマンショックをもたらしたサブプライム・ローンは、与信リスクの高い貧困者にも金を貸す理論と持ち上げられ、この理論枠を構築したマイロン・ショールズとロバート・マートンは1997年のノーベル経済学賞を受賞した。

E)2016年の大統領選挙で、当初ヒラリー・クリントンを応援していたウオール街の懲りない人々は、トランプ当選となると、2017年の1年でダウ平均25%跳ね上げる「トランプ相場」を盛り上げ、2010年にオバマ政権がリーマンショックの教訓として、制定した「金融規制改革法」は大統領令で見直しが指示され、規制緩和への法改正が実現した。

F)リーマンショック後の金融資本主義は、「ハイ・イールド債」「仮想通貨」と新手の金融商品へと資金を引き込み、スーパー・コンピューターを駆使したフィンテックなど高度な運用へと突き進んでいる。もはや全体像を理解・掌握するのは困難というレベルに至っている。「金融資本主義の総本山」たるウオールストリートが発信し続けているメッセージは「借金してでも経済を拡大させようという」ことであり、今や世界中の国家、企業、個人が抱える借金(債務)の総額は、世界GDPの四倍を超したという。

G)冷戦後の三十年の「資本主義の勝利」の後に進行したものは経済の金融化(金融資本主義の肥大化)であり、この債務の膨張は「資本主義の死に至る病」が進行しているといえる。チャールズ・P・キンドバーカーの『熱狂、恐慌、崩壊?金融恐慌の歴史』は1978年に初版、2000年に第四版が出たが(第四版邦訳、日本経済新聞社、2004年―金融恐慌の歴史)、繰り返される金融危機の制御する視野は見えていない。そして、「経済の金融化」という流れは、マネーゲームの恩恵を受ける人と、取り残される人の「格差と貧困」という問題を際立たせ、それが世界の構造不安の潜在要因となっていることは否定できない。


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  
 
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(13)―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15) 

第174回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(88)−再度「ジョブ型/雇用」と「メンバーシップ型/雇用」の相違とこれからの使い方
第175回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(89)
第176回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(90)−日本人の奇妙な発想その2
第177回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(91)−日本人の奇妙な発想その3(ゾンビ企業の救済)
第178回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(92)
第179回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(93)
第180回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(94
第181回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(95)−官僚という秀才集団の持つ素晴らしさと恐ろしさ
第182回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(96)
第183回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(97)−IT能力の差【米国の自信;日本「ホンネとタテマエ」という風習】
第184回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(98)
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第191回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(105)


 
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