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第149回(2019.06.21) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その149
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(63)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(51)
渡辺 貢成 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所 |
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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A.6月号では、【優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?】という(本年4月に出版された)本の紹介をしてくれる話だったが、どうかな?
I.その通りですが、戦略担当の私が実践事例を取り上げたエッセイを書いている真意をお話しします。そのうえで先の2つの新刊本の評価をしたいと思います。
A.なるほど!意図が聞けるとは面白いな。
I.私は日本プロジェクトマネジメント協会で戦略の研究会を10年間主宰していました。
この間米国大企業は経営のIT化を進めていました。私の戦略研究会はP2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)の新しい戦略をどのように社会に活用させるかという研究でした。1995年にインターネットの普及が始まり、インターネットをグローバルビジネスの武器にする発想が拡大しました。製造業で日本に負けた米国は、製造業の生産性向上とは別に、サービスの生産性向上を模索し始め、赫々たる成果を上げる企業が増えました。それが経営のIT化です。日本でも経産省は経営のIT化に熱を入れ、傘下にIPA(情報処理推進機構)を擁して、製造業「モノ」の生産性向上と同様に経営「コト」の生産性でも世界一を目指しました。
国は経営のIT化を専門とするITコーディネータ資格制度をつくり、中小企業でもIT経営ができる仕組みを確立しました。一方PMAJ(日本PM協会)はイノベーションに強い人材開発の資格制度を設け、プロジェクトやプログラム戦略の専門要員の拡大を図りました。
A.面白いな!それでどうなったかな。
I.日本ではIT専門業者が米国のIT経営ソフトを購入し、大企業各社への売り込みに成功しました。米国の経営ソフトを取り入れて成功したのが、金融、航空会社、商社等で海外企業と密接な関係のある企業群でした。
A.それは素晴らしいね。ではグローバルビジネス以外での業績はどうだったの?
I.日本のIT企業はいち早く米国企業が採用しているソフトを国内向け企業にも普及させました。ところがIT経営ソフトを導入した企業で経営の混乱が起こりました。原因は日本企業の経営は過去の経験を重視した稟議制を採用していたために、米国流ITソフトが使えないことがわかりました。多くの日本企業は、とりあえずアナログ方式の経営に準じた業務ソフトに入れ替え、順次IT経営に切り替える方針を出しました。
A.何故ITソフトが使えないのかな
I.日本企業は終身雇用制度です。作業方式、作業手順が全部残されておりません。これに反し、米国は末端の人材の作業方式、作業要領が文書化されているために、経営のIT化が容易に作られました。
A.何故末端の仕事の作業手順を書かないのかね。
I.日本の経営は末端作業者の創意工夫で生産性を高めてきました。末端の統合は日本の経営の良さを殺すことになります。
A,経営のIT化とは末端の問題より、これから起こるグローバル戦略を考慮したビジョンが大切ではないのか?
I.おっしゃる通りです。IPAは経営者にITソフトを構築する以前にIT経営ビジョンを作成することを義務付けました。ここで大きな混乱が起こりました。経営者は急遽CIO(Chief
Information Officer)を任命し、情報経営の責任を彼らに譲渡しました。
その結果、経営をしらないCIOの部下のIT部門がビジョンをつくりましたが、内容は稟議に見合うものになりました。
A.社長に将来ビジョンがなくて、IT部門がビジョンを出せるわけはないだろう。
I. 米国のIBMはCEO室に数十人のスタッフを抱えて、新しい戦略を工夫しながら経営を進めています。そしてCIO室も同程度のスタッフを抱えて刻々にかわる情勢変化を取り入れ、CEO室との共同作業をして経営を進めていることがわかりました。
A.IBMはハードの販売から、今はソフトの販売等にきりかえ、先端を開発している。当然のやりかただな。日本は今どうなっているのかな
I.ジョークのような話ですが、タテマエはIT経営です。本音はアナログ経営です。米国の経営者は新時代に向いた経営者を株主が選んでいますが、日本では終身雇用時代の年功で社長が選ばれています。そのため、日本の競争力がアジアでも年々下がっています。【天才が殺す凡人】は当然の結論と思います。
A.この厳しい時代に将来を見据えられない経営者が選ばれるのはおかしいのではないか。
I.大変鋭いご質問です。その問題は来月号にてお話しします。
以上
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プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー |
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう (2) (3)
第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1) (2) (3)
第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
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第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
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第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
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第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)―
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第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(13)―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
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