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第7回(2007.07.13) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その7
行動の中から楽しみを生み出そう(1)
渡辺 貢成 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所 |
第7回「行動の中から楽しみを生み出そう」(1)
前回は「スタンダードを使うと手間が1/10になるよ」である。日本人は基本的に標準化やマニュアルが嫌いである。しかし、世界中の人々はスタンダードが好きで、大いに利用している。PMにはPMBOKという世界中に通用するスタンダードがある。勉強好きな日本人も大いにPMBOKの資格を取っているが、実際にあまり使っていない。PMBOKが使われる状況が社会的に整っていないからである。
今回は「行動を頭に合わせよう」という人々に理解されにくいテーマに変えた。ことの良し悪しはともかく、世界がグローバル化の流れに沿って急激に変わっている。従って米国モノというブランド好きなエリート日本人の頭はすぐグローバル化してしまう。グローバルな顧客を持つビジネスは日本で18%であるが、82%は国内向けの仕事をしている。国内のビジネス習慣が全く変わっていないから、行動は従来どおりである。結果は「米国流のビジネス手法を知っている」ということで高いプライドを維持しながら「知っていることを」決して「行動に移さない」人種が増えた。実はこれが問題で、日本のIT業界の問題もここにある。
知るのは行動するためである。しかし「行動すること」は「知ること」の10倍の困難が伴う。しかし、多くの人はその理由を考えようともしない。行動しないからである。行動してみると何が難しいかわかる。その理由を説明しよう。
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現実が理論とかけ離れたところにある |
A |
モノつくりの社会は業界全体がグルーバル競争の実体を肌で感じている。それは作業を秒単位で考え実行し、競争力を付けていることで、その行動の厳しさを理解している。一方IT業界は未だにマンマンスという月単位の行動基準が業界を支配している。少なくとも時間単位で行動を管理しなければグローバル競争に勝てない。 |
B |
日本の社会は自ら世界標準をつくるという概念を持っていない。 |
C |
契約という概念に弱い |
まだいろいろあるが、この程度にする。いろいろ問題があることがわかった。では、問題が多すぎて何もできないのかというとそうではない。すべてやろうと思えばやれることばかりである。難しいのは人々の習慣にさからって実行する「決意と行動そのもの」である。エリートは行動しなくても、出世できる仕組みが出来上がっていたからやらないだけで、日本人がこの程度の問題を処理できないわけがない。現実にグローバルの顧客と付き合うと日本の組織はすぐ対応できるから不思議である。
そこで提案したい。「新しいことをしないで出世を期待するか」、「失敗することもあるが、それを承知で行動を起こすか」どちらかを選ぶ時代になった。どちらを選択したほうが、これからの社会で長く生き延びられるかを考えることである。私は後者を選んだ。何故か。自分の道は自分で拓くである。他人の評価だけを頼りにする人生はつまらないからである。
後者を選んだらどうするか。難しく考えないことである。もし、PMの仕事をするのであれば、最善とは何かを考えることである。日本の顧客は自分が経営上何をすればよいかわかっていない。米国流の知識と、現実との落差の大きさのために呆然としている。現実とは現在の仕事のやり方を変えたくない現場の人々と、グローバルで効率よく使えるツールとのギャップのその中に含まれる。この問題を解く鍵は「構想計画の充実」、「ソフトシステムズアプローチ」等であり、構想計画を重視する「P2M」という新しい日本発のプロジェクト&プログラムマネジメントにある。しかし、米国好みの人々は日本発を馬鹿にして近寄ろうともしない。理由は簡単だ。日本人は中身が遅れていることを知っているからせめて、外側だけは舶来品で飾っておきたいからである。舶来品PMBOKもP2Mの出現で、プログラムという概念を取り入れたが、残念ながら十分には機能していない。米国では構想計画はMBA資格者の仕事で、PMBOKの領域外だからであり、PMP資格者の仕事ではないからである。
今回は仕事を面白くする基本的な問題を取り上げたため、具体的に面白くする話ができなかったが、次回はこの問題に取り組むためにP2Mの話をする。P2Mに取り組み、ここを工夫すると仕事は益々面白くなるという入り口の話をする。
以上
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プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー |
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう (2) (3)
第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1) (2) (3)
第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
(5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
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第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
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第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)―
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25) (26)
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