第128回(2017.09.26) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その128
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(42)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(30)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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A.このエッセイは安倍総理による“アベノミクス”の発表をとらえて書き始め36回になる。非常にユニークである。Iさんは石油精製の仕事で海外プロジェクトを経験し、ビジネス実施における日本社会とグローバル社会の差の大きさに驚き、彼らのやり方を習得し成果をあげた経験の持ち主である。その後原子力プロジェクト、宇宙ステーションプロジェクトに関与し、最後は日本プロジェクトマネジメント協会設立とP2M創出に貢献した。PM協会では新しいPMの研究を担当し、最後は地域開発の研究にも関与していた。80歳で地元の老人会に入会したことで、町の“アベノミクス”に出会い、町の総合戦略書を読み、PMを取り込んだ計画書が公示されていたことに感心し、町の“アベノミクス”課題検討に応募した。これがこの物語の始まりである。というより『過ちの始まり』ともいえるところが面白い。誤りの原因とは町の立派な戦略案を町が現実に実施しているものと勘違いしたことである。いわゆる日本的「タテマエとホンネ」の罠にはまったことだ。

“アベノミクス”の重要性は「人口減少により町の維持管理費が縮小されるので、民間企業も取り込んで収益を拡大せよ」と示唆していることである。現実は収益を生む産業が存在しないが、何もしないと消滅組になるので、タテマエとして“アベノミクス”を採用し、町の戦略として公示した。幸い“アベノミクス”の予算がつき、5つのテーマの形づくりが終わっていた。そこで町は持続可能性の課題に取り組み、検討部員を公募した。Iさんは、「5つのテーマを含めてプラットフォームをつくると、新しい価値創造ができる」と提案をしたが、経験のないことは採用しないという『日本人社会が長年実施してきた行政と住民の習慣』があり提案は没にされた。それでも提案の一つのテーマを採用してくれたので、参加することにした。
 
Iさんは再生協議会の人々の活動を見て、「住民の危機感の薄さと新しいことを実行できる人材不足がわかり、ホンネはタテマエを実施できる状況にないことも理解できた。Iさんは再生協議会の立場を尊重し、まずタテマエ成果に貢献する方法を模索して今日に至っている。その忍耐強さのお陰で、公園・散策路部会の部会長に任命されている。
Iさんは公園分科会では5つの方針を出した。
@特定公園を住民の自主計画管理による花壇化を試み、他公園のモデルとなる方式を確立する。
Aすべての公園は遊具の提供を求めず、有効な利用計画を立案する。わかりやすくいいえば面白い遊び方を創出すること。
B公園で実施するイベント考案し、住民に楽しみを与えること。
C散策路分科会でまとめる新しい散策路と連携することで、訪問客の呼び込みを拡大する。
D公園の維持管理に関しては、自主的に行政の維持管理の一部を協力することで、町、住民に貢献する。

Iさんはこの機会に日本的ムラ社会の発想を捨て、ビジネス社会的手法を取り込み、企画担当者に、50年前の子供向け公園の概念からの変化を法律面、時代の変化、実施技術の向上を盛り込んだ提案書作成を指示した。
後でわかったことだがこの企画担当者は元有能な校長先生で、この要求以上の提案書を作成しくれた。おかげで日本的ムラ社会方式から脱皮し、プロフェッショナルなものになっていた。この結果行政との打ち合わせで、提案が評価され、行政が実施時にかなりの支援をしてくれることに決まり、STEP1は成功した。
 
Iさんの成果の第2は公園の新しい利活用への提案である。公園の利活用は、通常、住民の遊具の追加であったが、この発想を取りやめた。遊具は一時期喜ばれるが、すぐ飽きられ、利用されなくなる。その代わり、公園の利活用を「面白い遊びや、有益な使い方を考える人材に提案させ、実行し、失敗させ、新たな工夫で目的を達成させることのできる集団をつくる。そのために公園利活用愛護会を設立し、多くの世代から人材を募集し、彼らに持続可能性に貢献する仕組みを時間をかけてつくらせる提案をした。Iさんは地方自治生き残りの戦略は、焦らず、地道にモノコトを成功させる人材育成が鍵で、気長に町の活性化を図る方法をきめた。

I.Aさん、私の話を冷静にまとめていただき、ありがとうございました。最近の若手はオリンピックでもまた、将棋界でも活力を提示ししています。若手を育てる重要性を感じています。





以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
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第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
 
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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