第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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A.先月は各位からいろいろと意見を出していただき、何か中身が見えてきた感じがする。最初は意見が出ないかと心配したが、素晴らしいアイデアを頂いた。皆さんありがとう。
今月も続けてほしい。
H.先月号を拝読しました。“ゼロベース発想”を採用した面白い発想が出てきたね。しかし、この意見は“ゼロベース発想”を意識的に採用した結果で、現状分析から始めると、現実の壁にぶつかり、積極的な意見が減ると思われます。ここでX町の現実に帰ってみたいと思います。情報によると、町は新しい公園案に対する回答は全くなく、公園を統廃合する当初計画に基づき、アンケートの結果の解析で結論を出すようです。ところがX町はアベノミクスの地方創生交付金を使って「安心して住み続けられる地域再生事業」を発足させることを決定し、予算獲得に成功しました。昨年9月から当該地域再生事業」のための福祉協議会が発足しました。この協議会の動きは素早く、高齢化状況の調査、現在実施している活動や行事の一覧表の作成、他地域の情報収集と交流見学可の実施、来年度4月から対象地域の住民からの種々の要望をアンケート調査をすることが決められています。
B.日本の地方自治行政としては動きが早く、頼もしいですね。しかし、来年度は現状の理解から出発すると言っています。そしてアーンケートの内容を見ますと現状の住民の要望事項が出されることになりますが、現状の改善的提案になってしまうかもしれません。X地域が日本で最先端の高齢化ならば、専門家も入れて、プラットフォーム上で少子・高齢化社会の課題解決議論を論じ合わねばなりません。しかし通常の行政としては関係者を集め会議を開き、民主的に進める方法を採用しています。東日本大災害の跡地処理は、折角広い敷地が出現した利点を生かし、専門家を集め議論し、理想形の復興計画を立てるべきとの意見が多かったのが、結果は復旧計画が先行してしまったようです。被災者向けの計画の実施以前に長大な防潮堤を建設しています。
今「働く女性と出生率向上を目指すアベノミクス」が安倍総理の肝いりで元気にスタートしました。しかし、政府が認定した保育園に入園できず働けないと腹を立てた女性が政府を訴えました。原因は日本の官僚システムにありました。安倍総理日本の人口減少を憂いて、女性の職場復帰を願っています。保育士の報酬が低いために、保育士のなり手が不足しています。そこで国の基準に従った保育園が増えないからです。原因がわかっても保育園の増加を官・地方自治は自分たちの責任と感じていないのです。大震災後停電防止のために大量の太陽光パネルを遊休農地に設置した業者がいました。県は農地利用法違反で十数億の施設の撤去を命じました。災害対策の緊急事例を、停電解消時期まで臨時許可をすることもできたはずです。日本の官庁は1990年以降の空白の20年間、景気対策目的で国債を発行しながら、日銀が国債を買うことを禁じてきました。そのため、民間に金が流れず、国が関与する事業にだけ予算をつける権限を得てきました。1990年のGDPが500兆円でした。2014年のGDPもまだ500兆円のままです。そしてこの間約1,000兆円の国債が官によって予算化され消費されえましたが、保育園は満足な状況になっていません。韓国は釜山にコンテナ船用の大きなハブ港湾、仁川に大きなハブ空港を建設しましたが、1,000兆円を使って不便な空港のままです。おかげで日本のローカル空港は不便な成田経由で欧米行きの便を使わず、仁川経由の便を便利に活用している状況です。言葉を替えると国民にとって必要なことが後回しにされていることが問題です。
A.従来にないテーマに取り組むと官の協力なしには解決しないことがおおいということか。
B.その通りです。日本の官は各官庁が独自の規制をしているため、多くの規制はどこかの官庁の規制に抵触し、実現不可能になります。
H.ご指摘ごもっともです。現状の問題点を指摘し、これを課題化しても、“ゼロベース発想”にならないと思います。単なる現状の改善にしかなりません。正しい“ゼロベース発想”は10年先には何になるべきかというバーチャルな発想が、正解と思っています。21世紀の戦略は将来の理想をバーチャルで提案し、その後今度は専門家を集めて、リアルに落とし込んでいく方式が望ましいと考えています。現状からスタートしたら、到達点は改善程度にしかなりません。
A. Hさんご意見ありがとう。20年間の空白は産・学・官それぞれ日本的改善方式を踏襲したため、成果を発揮できなかったと言えるな。
以上
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