第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
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A.先月はIさんから戦略には論理的戦略と実践的戦略があるという話を聞いた。この話は画期的な意見なので、読者も聞きたい話だと思う。
I.本日のテーマは当然ながら地域再生をテーマとした戦略の論理編と実践編の話です。
いま、私は再生協議会で自分の意見が出せない状況になっています。それは日本的ムラ社会の掟に縛られているからです。
誤解を避けるために日本的ムラ社会がどのようにして成立してきたのか話をします。
(1) 官僚組織の確立
江戸時代から明治新政府になり、新政府は憲法から始まる諸法律をつくり、継続的に安定して運営できる官僚制度を採用しました。この組織は世界中から必要な知識を導入し、この組織を運営するためのエリート人材として官僚育成学校を設立しました。それに応えたのが東京大学法学部でした。国は国法を設定し、これを基準にして行政を動かしますが、時代は常に進化しています。法律は社会の変化を受け入れて、常時改定しています。法令の改定は国会で行いますが、改定法案が、他の法案と矛盾しないことを確認し、短期間で国会での承認を得ることが求められました。そのための優れた人材は知識優先の高偏差値学生で、官僚としては主に東大法学部卒が多く採用されました。そして官僚は国の法令の番人として官僚の地位向上を図ったため、高偏差値知識保有者がえらいという風潮がうまれ、教育とは高偏差値だという誤解が生まれました。残念ながら官僚組織は発明や、発見を生み出すことではなく、また、失敗が許されない組織として君臨しているため、文科省の教育方針は社会の変化を無視したものとなりましたが、いまだに反省はありません。
(2) 戦後の日本製造業の組織
戦後の日本はモノ不足であったため、国は製造業に力を入れました。企業は欧米企業に対抗するために、4月に新入社員を採用し、終身雇用方式で専門職のレベル向上を図り、管理職には各専門部門を2,3年単位で渡り歩きさせたことで、専門職の技術の向上、管理職の広範な管理方式を実践し、専門家を育成してきました。
(3) 日本的ムラ社会の存続
戦後から1990年までの日本製造業の高度成長期を築き上げた組織の形態が、経験豊富な組織経営者と技術力、改造能力のある専門家の育成に成功しました。
経営者、技術者ともどもヒエラルキーのトップを目指し、企業の成功体験を築き上げました。しかし、1,990年以降の製造業はバブル期を迎え、製造業の発展が停滞し始めました。
(4) インターネット普及以降の時代
インターネットの普及は1,995以降からです。米国企業は経営のIT化を実施しました。米国企業は業務の標準化が完備されており、経営のIT化が容易にでき、業務の生産性を10%〜それ以上に向上させることに成功しました。
(5) 日本企業の経営のIT化
日本企業の経営IT化は国際的取引の必要な企業(金融、航空、商社等)は即座にIT化に成功しましたが、おくれて参入した一般企業では容易にIT化ができませんでした。製造部門では作業の標準化は完璧ですが、事務・管理部門での作業の標準化がなく、個人にゆだねられた組織運用をしていたため、IT化が困難でした。一度は米国流のIT経営ソフトを導入しましたが、結局従来の稟議制度にもどり、タテマエ上のIT経営もホンネでは確立されませんでした。
(6) 欧米企業と日本企業の業務遂行での基本的な相違:
T.ビジネスは契約から入る(欧米);聖書に『はじめに言葉ありき』契約の概念がある。ユダヤではエホバの神と契約した人が神からユダヤ人として認定される
U.ビジネスは口約束から入る(日本);契約に不慣れな日本企業は、契約以前に多くの口約束をしたため、口約束はすべて無償で赤字契約となりました。
理由:経営者が日本的ムラ社会の住人で、グローバル的なビジョンがなかった。
(7)地域開発再生協議会へのアプローチ
T.不慣れな協議会責任者の行動;ビジョンがなく、町行政の要求事項だけを推進する。
・責任者の行動原理:@経験のないことは避け、失敗しないテーマに絞る
A収益ゼロで、再生ができない。
B課題解決という方式の研究になじみがない
来月号で地域再生協議会に好ましい人材像を紹介する。乞うご期待!
以上
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