第138回(2018.07.20) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その138
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(52)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(40)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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A.先月号の話は、老人会メンバーの幸福論であった。幸福論はこれまで、個人や、環境によって変わる概念と思っていたものを、定量的にも評価できるという発想がおもしろかった。
話は変わるが、この町の再生協議会は、これまで実施してきた6つのプロジェクトの成果を発表したようだね。協議会のステアリングメンバー(舵取りメンバーで会長、副会長)は優秀で会員からの信頼も高いようだな。

I.協議会は発足してから3年目になり、STEP1が終了しました。現在のその成果を評価し、次にどのようにしてSTEP2に導くか、模索すべきときです。この時期に町長は町民を集めて、協議会の成果についての報告会が行われました。

A.町長の感触はどうだったかな。

I.再生協議会は6つの部会があります。それぞれ“アベノミックス”の予算をもらって実施してきました。そして実施した目標に対しては120%の成果を上げたと感じていたようです。その内容を報告します。

@町の古民家プロジェクト:歴史とイベントの会を常時実施しています。無料の講座ですが、当初の予想を超す人々が集まり成果を上げています。イベントは春の「吊るし雛」祭りに町民以外の観客が数百人以上集まりました。その他のイベント「そば打ちの実演と試食会(\1,000)」は発表と同時に売り切れとなります。

A文化イベントプロジェクト:50年前にミカン山を開拓してできた住宅団地は、県営アパート群、県住宅供給公社アパート群、100坪未満の土地利用の建売り住宅群、100〜150坪の土地を購入した大型住宅に住む人々が混在する団地へと発展し、記念する式典が行われました。その時式典を盛り上げるために結成したのが“山ゆり合唱団”(幼稚園児から97歳の最高齢者をあつめた100人のメンバー)で、評価が高かったので合唱団の継続を決断しました。現在は月2回X2時間の練習をする巨大コーラス団となりました。初回は日本の歌2曲と英語の歌“アメージング・グレース”(昨年度)、本年度はヘンデルの“ハレルヤ”を練習しています。プロのオペラ歌手が発声法も含めて、素人の団員を強制的にプロ的な歌唱法を要請します。それでも各パートの2,3人のベテランの歌い手がおり、素人の団員はそれに引きずられ、予想以上の声が出せるようになり、100名のボリュームが観客の心をとらえ始めています。

B山ゆりの会(プロジェクト):新聞に公開日を発表すると、遠路横浜や鎌倉からの見学者が集まります。山ゆり球根は価値が高いので、往々にして大規模な盗難騒ぎが起こりますが、この町の山ゆりは小学校校庭の裏山に植樹されているため、鉄の網で周囲が囲われているため、盗難のような被害にあっていません。

C老人福祉プロジェクト:老人の健康を意識した遊びの活動(通いの場)が老人福祉の目玉として、昨年中期から実施され、好評な企画が増えています。

D県の住宅供給公社の活動:現在の公社アパートの住民入居率が50%を下回っており、50%相当のアパートビルの取り壊しを進め始めました。一方若者組のために1DKアパートのリフォームをしたことによって独身者の入居が増え、昨年度の人口減少率がゼロとなりました。

E最後は公園・散策路プロジェクトです。こどもの減少で、公園が閑散としています。
対策としては3つのステップを考えました。初年度はB地区の最大の公園の半分を花壇化する。A地区で二段になった公園の使い方の模様替えをする。下段はゲートボ―ル専用とするが、利用者が自費で設置したトイレットを子供たちも使えるように改修する、上段は子供専用に改築する。子ども自然塾が企画して、子供たちが面白い遊びをつくってきた実績を踏まえて、遊びの開発、施設の作り方の共同作業化を行う。
散策路プロジェクトは周囲の市町村の散策路に後れを取っていますが、散策路の道開きには50名の人々が集まるという盛況さでした。
国が指導している再生協議会の活動は、不足する予算を補うビジネスをすることでした。この町の現実はビジネスでなく、無料の提供に徹しています。私は継続性がないと判断しました。しかし、新しいことをするには、住民のサポートがなければできません。STEP1は遠回りではあるが、住民の認識をたかめたことは、次のSTEPを容易にすることになり、急がば回れという教訓にも合致するという見本と考えてみました。

A.今月号の記事を読んでみると、この町の住民はクレバーで、団結しながら困難なプロジェクトに立ち向かっている気がする。プロジェクトは大成功ではないか。

I.おっしゃる通りです。この協議会とプロジェクト群をリードした人たちは、堅実に当初の目標を達成したといえます。しかし、予算が無くなると、継続できない。この対策をどうするかが大きなカギです。

A.来月号でこの問題を取り上げる価値は高いと思う。Iさんが言う日本的ムラ社会の行動力と、欧米流プロジェクト型組織進める、時代を先取りする手法の優劣を考えてみよう。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
 
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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