第133回(2018.02.20) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その133
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(47)
−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(35)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
   (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) 
(21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30)
(31) (32) (33) (34) (35) (36) (37) (38) (39) (40)
(41) (42) (43) (44) (45) (46) (47) (48) (49) (50)
(51) (52) (53) (54) (55) (56) (57) (58) (59) (60)

A.先月号では町の老人会をテーマに取り上げ、町老連の支部である老人会の会長のなり手がいないという問題が起き、多くの地域老人会が解散に追い込まれている話を聞いた。今月号は地域老人会が解散に追い込まれる原因を調べ、対策を考えてみたいと思うが、Iさんのご意見を伺いたい。

I.承知しました。老人会とは、国や地方自治体からの助成を受けて、地域の仲間と共同で、自主的に行う様々なクラブ活動を通じて、高齢者の仲間づくり、生きがいと健康づくりを目指している組織です。この活動には3本の柱があります。

@ 健康つくりです。ゲートボール、グラウンドゴルフ、パークゴルフなどの屋外競技の実施。屋内での競技や体操類、コーラス、カラオケ、演劇等の文化活動の実施
A 地域の健康的弱者への定期的に行う健康老人による奉仕活動。
B  地域の独居者への友愛活動等(民生委員と活動がラップしているが、民生委員が主体的に実施している。

A.なかなか立派な活動をされているようだが何か問題があるのかな?

I.地域老人会の会長は自らの老人会の業務と町老連の組織員(全員が理事)としての業務があります。私は昨年から町老連の組織内の人々と付き合い、立派な会だと思いました。ただ、問題があります。老連組織は町老連会長はじめ全員(理事)が無給のボランティアで、雇用者がゼロです。したがって地域の会長は町老連の行事に関しては1兵卒として、決められた業務遂行をする仕組みとなっています。老連運動会で言えば、運営のすべてを老人軍団で行います。老人に無理な力仕事も腰痛覚悟で黙々と実施せざるを得ません。 地域へ戻った会長は会の仕事の全責任者ですが、会社で行っているスムーズな伝達活動ができません。地域の老人会の会員はすべてボランティアで、基本的に当人のしたいことしかしない人たちの集まりです。これでは会長のなり手が出てきません。仕方なく会長は後継者が参加してくれるまで、継続して任期をつとめています。その結果老人会は超高齢者を含む高齢者の集団で成り立ち、マンネリ化しています。マンネリ化するとますます、魅力のない組織となり、入会者が減っていきます。

A.なるほど、それでは現地域会長自身がやめたいが、やめるにやめられないというのが実情なんだな。

I.ところが、少し違います。この町は昔からの住人と、50年前に町が蜜柑山を開拓した新興団地の住人がいます。昔からの住人は会長同士が“何ちゃん”と呼び合う、ガキの頃からの友達で、何らかの形で会長を選出してくれますが、保守的という特徴があります。団地族は外来者で教養はあるが、クールに振舞う住民です。しかし、クールとはいっても、自分が経験したことのない案件に対しては、容易に賛成する度量を持っていません。

A.ところで、先月調査検討を依頼した『幸福「資本」論』は役に立てるだろうか?

I.老人会改革の役に立つと思います。『幸福「資本」論』の幸福は3つの資本(或は資産)即ち。金融資産、人的資本、社会資本の組み合わせで定量化できると主張しています。

従来から幸福は感情的なものも含まれているため、定量化が困難でした。しかしここで面白いのは大胆にも定量化できるとしたことです。金融資産(金持ちである)、人的資本(稼ぐ能力が高い)ことで幸福論の大筋が決まっていましたが、この本は組織や仲間との絆が本人の価値(幸福)を高めるという発想です。この3番目は組織(自分たち)が努力することで、大きな価値を生み出すことができるという特徴があります。例えば私が新しいことをしたいと提案し、周囲が協力すると認めたら、新しい価値創出は容易になります。また、この発想は仲間が発想を変えれば容易に価値を作り出す組織能力を高めることもできます。
日本の組織が新しいことに踏み切ることができなかったのは、新しいことつくりとは目に見えるモノを想定し、提案しているから、新しい価値創出ができないでいました。

私がこの町で再生協議会へ入って提案しても、目に見えるモノの提案以外は拒否されました。また、採用されたものは、次年度からその組織の維持管理の予算が捻出できないものが多く、この課題をクリアできません。
地方自治の再生の中で最も大切なことは、町の政策を変ることではなく、住民が環境変化に合わせて変化することなのです。
紙面の都合で、幸福「資本」論の有効性は来月の紙面で継続議論させていただきます。


以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
一覧に戻る
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.