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第12回(2007.12.28) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その12
目的があって仕事がある(3)〜リスクマネジメントは体で覚えましょう
渡辺 貢成 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所 |
第12回「目的があって仕事がある」(3)−リスクマネジメントは体で覚えましょう−
前回は何か問題にぶつかったら「言葉の定義」を定義すると問題の本質が見えてくる話をした。結構役に立つので是非試して欲しいという内容であった。今回はプロジェクトのリスクマネジメントを取り扱ってみる。
最近のニュースは「赤福」の売れ残り商品の再利用や「船場吉兆」の但馬牛偽装問題をはじめとして「賞味期限」違反が槍玉になっている。名古屋へはよく出かけるのでお土産に赤福を買うことが多い。実は昔名古屋駅で赤福を買えなかったが、多分出張の帰宅時間では品切れで買えなかったと思う。ところが最近はキオスクに山済みで売られていくから増産体制が完成されたのだろうと思っていた。その矢先の新聞記事である。
札幌で最近イモを材料に使った新しい菓子が飛ぶように売れて、購入するのに整理券を貰うのが大変だという話を聞いた。詳しく聞くとキオスクへ出したところ評判が高くなり、キオスクから増産の要請を受けたが、企業理念を守って、増産による品質低下を考慮し、キオスクの要請を断ったそうである。
上記の問題は老舗が成長路線を求めたことへの問題ともいえる。日本の諺で言えば「好事魔多し」ということになる。欧米流で言えばリスクマネジメントである。ビジネスにはリスクがつき物である。「リスク」があるからといって「千載一遇のチャンス」を逃す手はないと考えるのが近代経営者のモットーである。「リスク」があればリスクを理解し、対策を立てることで「千載一遇のチャンス」をビジネスにすることができる。
商品の偽装問題に関してはいえば、静岡茶はすべてが静岡産ではない。鮮魚と書いてある店で冷凍した魚が当然のごとく取り扱われている。くるくる寿司の「ひらめのえんがわ」はひらめではないという。だが庶民はそれで満足している。値段が手ごろだからである。しかし、吉兆がもし、このにせ「ひらめのえんがわ」を使うと社会規範に反する。老舗は信用できる。高いだけの価値があるという社会通念があり、品質はすべての老舗が社是として守ってきたものだからである。
そこでリスクマネジメント的にこの問題を取り上げてみよう。札幌の老舗路線で行くか、企業成長路線で行くかである。老舗が成長路線に踏み込むと、大きなリスクが待っている。老舗は社是を忠実に守り、それを社会が認めて老舗としてのブランドが確立されている。しかし老舗はブランドをただ守っていれば将来安泰かというと、これまた疑問である。そこに新進気鋭の後継者や、有能な社員が現れると成長路線がクローズアップされる。そこで成長路線が進められ、金儲けができるとなると誰も反対できなくなる。ここに問題が発生する。
老舗の長所は守りに堅いことであるが、成長路線を採用すると、その長所が短所になってくる。社是を守る企業では、新しいリスクの多い組織を運営できる人財が育っていない。そこで組織は危機に直面する。拡大した組織を守れる人財育成が成長路線のためのリスクマネジメントの第一歩である。
今月は最近の話題をもとにリスクマネジメントの重要性を話した。「目的があって仕事がある」的にこの問題を眺めてみると、金儲けが目的となった企業は没落するという教訓でもある。企業の大きな目的は第一義的には「自社の商品・サービスを買ってくれるお客さまに喜ばれること」であり、その結果として自社が儲けさせていただくことである。
現代の米国流グローバリズムはインターネット普及による社会変化のスピードを利用した金儲け主義の跋扈によって運営されている。しかし、これは長続きしない。企業も個人も顧客重視の積極的な行動とリスクマネジメントをセットとした発想を取り入れることが求められている。
次回もリスクマネジメントを続ける。
以上
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プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー |
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう (2) (3)
第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1) (2) (3)
第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
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第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
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