第29回(2009.05.08) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その29
「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所

「顧客は神様か?」−(1)08年11月号
「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」−(2)08年12月号
「問題と課題の違いがわかるかな?」−(3)09年1月号
「資格を取っても役に立たない?」−(4)09年2月号
「物事」とは何か?(5)09年3月号
「タテマエとホンネ」(6)09年4月号
−「カタカナ言葉と漢字」(7)09年5月号

B.最近気になるんですが、テレビを見ていてカタカナ言葉が多くて、意味がわからないんですよ。そんなことありません。
A.正直言って私も良くわからない。IT業界の講演会に参加すると、カタカナ言葉の連続で、内容に詳しくないと、聞いてもわからないよね。
B.学会ではないから、講演会はわかるように話してもらいたいものですね。
A.ところがIT業界は技術の進歩が速いので、英語を日本語に置き換える簡単な言葉がない。そこで英語をそのままカタカナにしている。知っているだろうが日本人は漢字からひらがなをつくり、更にカタカナを創った。
B.ひらがなまではわかるのですが、カタカナは何に使ったのですか。
A.漢字の読み方を明らかにするために送りカナという形で使ったわけ。寺子屋で論語を勉強するとき、漢字に送りカナをつけると、簡単に日本語に変身するという離れ業を昔の人は考えたのよね。
B.それは便利ですね。昔の人は偉かったですね。今の送りカナはさっぱりわかりませんよね。
A.日本人は昔から舶来品は素晴らしいという考えをもっている。人がわからないことを知っていることに満足感があるのだろうね。実はね。カタカナ言葉を使う人に質問してごらん。今は下火になったカタカナ言葉にソリューションというのがある。XXソリューション梶AZZソリューション事業本部等々。「あなたのところは何をやる会社なの。カタログを見ても、何をするのか良くわからない」と質問すると、明確な答えが返ってこない。
B.それを聞いて安心しました。私だけがわからないかと思って、恥ずかしくて質問しなかったのですがね。
A.重要なカタカナ言葉を聞いたら、言葉の定義をしてもらうと安心だ。わが社にもいろいろな部があるが、配管部、電気部、土木部というと何をする部か誰もが知っており、仕事や見積もりの精度も高いね。ところがプロセス部、システム部、プロジェクト部というのは説明しにくい。ましてエンジニアリング会社って何ですか、と聞かれると答えられない。
B.なるほど、なるほどと言いたいのですが。マネジメントという言葉がありますね。日本では管理と定義していますね。これって正しいのですかね。
A.君は最近鋭さを増してきたね。核心を突いている。ドラッカー(米国のマネジメント神様)のいうマネジメントと管理は違うね。日本では長年人を管理するとか、品質を管理するとか、狭義の解釈をし、それが通用している。中間管理職の発想かな。経営をトップマネジメントというよね。トップの考えは幅が広く、将来を起こる可能性まで含めたマネジメントとらえるとわかりやすいかな。
B.なるほどね。大きなマネジメントと小さなマネジメントがあるのね。今のプロジェクトマネジャーは偉いけれど。昔はマネジャーというとキャバレーのマネジャー的な意味があって、軽いイメージでした。最近は課長制度をやめて、マネジャー制にする会社が多いけど、あれ何のためにするのですか。課長でいいじゃないですか。何をするかわかりやすいでしょ。
A.今日は冴えているね。会社にも頭のいいやつがいるの。課長の仕事は何だと思う。仕事の管理だけでなく、部下の管理も含まれているの。人事異動で社員はXX課に配属という辞令をもらう。だから、課長は、他の課の仕事が増えても部下を手放さない。そのため経営トップは適材適所に人を移動したいけど、これができない。マネジャーにすると配属先は部となる。マネジャーにお前の仕事は「仕事の管理」であって、「人の管理」ではないよといえる。
B.ハハハ。漢字の課長は権威があったが、マネジャーはやはりキャバレー並みということね。
A.参った、参った。今日は降参するよ


プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)

第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1) 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)  (9)  (10) (11)   (12)

第87回 “想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)   (3)  (4)  (5)     (6)   (7)    (8)   (9)    (10)  (11)   (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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