第113回(2016.06.21) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その113
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(27)
−アベノミクスを成功させるためにー
―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(15)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1) 
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−アベノミクスを成功させるための電子空間活用戦略ー

A.今月も“ゼロベース発想”で進めてください。

I. 先月号のHさん財務省に対する発想は理解できます。しかし、物事には表もあれば裏もありますとだけ言っておきます。また、“ゼロベース発想”についても間違いではありませんが、Hさんは日本ムラ社会を配慮した進め方をされています。
 しかし、ゼロベース発想とはこのような日本的な配慮をしないということが条件です。そして日本的な配慮が必要な場合は最後にするべきと考えます。

A.なるほど、理解できる。しかし、“ゼロベース発想”は何もないところから考えろというのは難しい気がする。

I.その通りです。ケース・バイ・ケースですが、どの場合も、まずビジョンを決めます。ビジョンを決めるに必要な要件を書き上げてみます。@この町の持つ課題は何か、A住民は何を求めているか。Bこのテーマは長期的か、短期的かの選択、C長期テーマなら事業の継続性はどのように考えるか、Dその場合グローバル社会の中で解決するテーマか、国内だけで解決できる問題か、を最初に整理します。

A.地方自治の課題は人口減少による生き残りが大きな課題だ。小さな問題から出発しても、町の持つ課題は解決しないだろうな。また、国内だけで解決できるなら既に実行しているはずだ。こう考えると整理できるね。“ゼロベース発想”とは白紙に戻して、ゼロから出発することなのだな。インターネットが発達した現在では、グローバル視点で物事を考えないと優れた発想は出てこないと思うが、どうだろうか。

I.その通りです。発想にも手順があります。従来は官が作成した案をのませてきましたが、成功していません。これではいけないと住民の要求を重視するようになりました。ところが最近は住民の要望を受け入れても国に予算のないことを地方自治が理解し始めました。最近は地方自治は自らの力で稼げという発想に変わってきました。町はその方針でも、協議会は専門の集団ではなく、アイデアが出ないまま進み、時間切れで、ボランティアの活躍でできる案を原案としてまとめあげます。これが従来からのパターンです。

A.“ゼロベース発想”の発想とは制約条件をできるだけ外し、発想の幅を広げることがスタートだ。しかし、協議会のメンバーがグローバル社会とは何かを理解すること、長期的なテーマとは何か、グローバル社会の進展とは、日本の進むべき道とは何かを理解できないと話は進まないな。

I.その通りですが、まず最近まで、よく利用されていた日本人の発想を考えてみましょう。日本人は得意げに日本の経営は『ミドルアップ・トップダウン』と言っています。モノづくりのように目先が見えるものを提案する能力は高いのですが、眼に見えないコトの提案が苦手です。ミドルは職人的だからです。韓国は日本人のこの性格をよく理解しています。韓国は昔から貴族(リャンバン)と平民、賤民の社会で、貴族はマネジメントで社会をコントロールしてきました。サムスンは技術の研究には金と時間がかかるため、「技術開発は日本に任せ」、『新興国消費者への取り込み、潜在的顧客ニーズを先取りし、製品全体は中レベル品質で値段が手ごろ、しかしこれがあると便利だという顧客の潜在ニーズを製品に付加した製品をつくりますが、見てくれの良さを強調するデザインに真剣に取り組んできました。また、韓国は「自国の文化は素晴らしいよという発想で、アジア向けに韓国のテレビ番組を量産提供しました』。韓国はモノだけでなく、自分たちの価値を売るところまで考えているのです。
  日本の経営者は“世界一の品質”というモノを売り込むという発想で、同一製品で世界制覇を狙いました。結果は半導体メモリー、家電製品で惨敗しました。

A.日本のトップマネジメントは新興国向けのマーケティングという発想がなく、ビジョンを絞ることができなかったということだな。

I.今日本では地方再生が叫ばれています。この場合もビジョンが必要です。発想の対象が大きく(広く、深い)と様々なアイデアが存在します。『賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ』という格言があります。日本家電メーカーのトップは経験に学び、サムスンは歴史に学びました。そしてこの格言が重要なことは、『世の中の進歩は、スパイラル的に上昇していること』です。オークションという昔からの商売の基本があります。商売は「売る人の希望的売値と、買う人の希望的買値との戦い」であったわけです。江戸時代に三井が正札販売をし、商売人との戦いで敗れていた素人は正札販売に飛びつき、三井は商売の基礎をつくりました。しかし、このオークションはインターネットのお蔭で、中古品売買に復活しました。このように新しいツールができると古いシステムが再浮上し、スパイラル的な広がりを見せて発展していきます。これで歴史の中に種々のアイデアがあることが理解できる。更にそれらのアイデアを複合化すると今までにない、新しいアイデアが発見できます。これで歴史を学ぶ意味をご理解いただけたと思います。

A.地方再生もグローバル社会での競争力を考えたビジョンが必要だということだな。

I.その通りです。来月は8つのユニーク性を提案します。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managementへの転

  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
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第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー
“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)

  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  

第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)

 
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