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第169回(2021.02.19) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その169
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(83)
―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(11)
渡辺 貢成 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所 |
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
第161回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(75)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(3)
第162回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(76)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(4)
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第169回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(83)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(11)
A..今月号のメルマガリードに書かれているが、安倍総理の退陣で、アベノミクスの成果は上がったのかな?
T. アベノミクス問題はある意味で財務省とアベノミクスの思想の相違の戦いでした。
@)安倍総理の退陣でアベノミクスは、これまでのところ形勢不利です。それは一般国民にとって手痛い打撃が待っているからです。
A..それはどういうことかな?
T.@財務省のデフレ政策への考察を説明します。
・大蔵省時代からのいきさつを書きます。
・1990年日本は製造業世界一になった。政府はつくば地区に宇宙開発、高速炉等の巨大研究施設を作るために巨大な敷地を確保した。施設が動き出すと土地の値上がりで敷地内の多くの土地所有者がにわか成金になった。さらにこれら施設で働く研究者、それに付随する民間企業も娯楽としてゴルフが急速に人気を高め、山の奥までゴルフ場が作られ、この土地の値上がりでゴルフ会員権の値上がりし、サラリーマンの退職金を越える価値がついた。
・大蔵省は薄々バブル崩壊の兆しを感じていたが、国民が自信をもって、自国民は中流の上になったと有頂天になっていたため、バブル崩壊の手を打たなかった。
・ところが1997年バブルはじけたため、これが大蔵省のトラウマとなった。
・そこで大蔵省の取った政策はバブル処理に多くの金が使われるので、できるだけプライマリーバランスの赤字化を防止する政策を考え、時の野田政権(与党としての新人)を動かし、消費税増税案を国会で承認させた。(政府予算+地方予算が黒字化する政策)そのための手法として消費税増税をH.14に8%増税をH.19に10%増税を企画し、国会を通過させた。(この方式だと国民の税負担は住民税1627万円、所得税1267万円、消費税2174万円になる。国民は突然所得税の1.3倍強の税負担がかかる。その上厚生省は医療費支払を、今の10%から20%にすると計画している。(池上彰氏テレビ放送による)
・バブル崩壊後の日本経済はデフレ状態であり、誰も新しい経済開発をせず、海外への投資もへり、GDPでアジア諸国に凌駕されるようになった。
◎そこでアベノミクスは「財務省が実施しているデフレ下で消費税の採用は日本経済の自爆につながるということで、8%増税の延期を宣言し、緩やかなインフレ率計画を実践した。
◎ここでアベノミクスの実践計画と財務省の消費税増税の実施に関する戦いが始まった。
☆アベノミクスの戦略1:第1の矢【金融を緩和する】:大胆な金融政策の実施で緩やかなインフレ率2%政策を実施した。2年後2%に近いインフレ率を達成した。インフラ率2%に達成すると、(欧米の事例では)企業や資産家はデフレから解放されて、事業への投資に活気づき、報酬を抑えていた社員へ約束の賃上げを実施する。
★ところが、財務省はインフレ率達成付近になり、消費税8%を実施した。この結果国民は財布の紐を固く締めたため、アベノミクスが期待した大企業が得た余剰金から、社員への報酬増加が取りやめとなった。
☆そこでアベノミクスは第二の矢【需要をつくる】:動機的な財政政策の実施で緩やかなインフレ率2%達成を目指し、ほぼ目的を達成した。
★ところが財務省はこの段階で消費税10%を実施した。このため再度デフレ状態となった。大企業はデフレ状態となった市場を見て、減税を要求して、約400兆円(10年間)減税を認可した。アベノミクスは官僚ではなく民間が苦労して獲得した余剰金である。
因みに1997〜2018年までの賃金上昇率は英国93%、米国82%フランス69%、ドイツ59%に対し、日本は8%減であった。
●第三の矢【成長戦略】:@規制改革の推進Aイノベーション・IT政策立て直し、B経済連携の推進C責任あるエネルギー政策D地球温暖化対策の見直しE産業の新陳代謝の促進F若者、女性の活躍推進G攻めの農業政策H資源確保、インフラ輸出戦略の推進Iクールジャパーンの推進
ここに掲げた種類の案件は、市町村の案件を県に提出し、チェックを受けた上に、官のチェックがあり、承認が許される。国の審査は従来の発想から逸脱したものへの審査にきびしく、従来型の案件では画期的なものが難しい。従来型の発想は「モノ・コト」の中の「モノの発想」が中心である。現在求められているのは「コトの変化」で、官や地方自治では扱っていなかった「コト」を見つけるのが求められているが、官公庁からの発想に組み込まれていない。
アベノミクスで欠けている点は、これらの規制を破ることで、TOC(制約条件の理論)が役に立つ。日本の企業のタテ型組織構造はモノづくりに特化しており、新しい変化に対する応用能力に欠けている。この課題を解決するには「TOC」X「プログラム・マネジメント」X「プラットフォーム・マネジメント」が求められる。
A..色々なことがわかってきた。来月は日本国のユニークな経営組織の話を聞きたい。
T.次回は国民的な日本式タテ型組織と特徴・欠点を説明します。
以上
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プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー |
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう (2) (3)
第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1) (2) (3)
第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
(5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
(3) (4) (5) (6) (7)
第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
(2) (3) (4) (5)
第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)―
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(13)―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
第174回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(88)−再度「ジョブ型/雇用」と「メンバーシップ型/雇用」の相違とこれからの使い方
第175回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(89)
第176回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(90)−日本人の奇妙な発想その2
第177回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(91)−日本人の奇妙な発想その3(ゾンビ企業の救済)
第178回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(92)
第179回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(93)
第180回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(94)
第181回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(95)−官僚という秀才集団の持つ素晴らしさと恐ろしさ
第182回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(96)
第183回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(97)−IT能力の差【米国の自信;日本「ホンネとタテマエ」という風習】
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