第165回(2020.10.20) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その165
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(79)
―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(7)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1) 
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
第161回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(75)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(3)
第162回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(76)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(4)
第163回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(77)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(5)
第164回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(6)
第165回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(7)

A.メルマガリードで日本のグローバリゼーション対応は大丈夫かと質問したが、どうかな?

I.日本は真剣に戦えば大きな成果をもたらす国民性があります。ただし、日本の組織は製造業向きにできており、戦後から今日までかわっていません。そのためトップになる人材は改革派の人材ではなく、気配り派人材がえらばれました。社長交代では『前社長の方針を受け継ぎ、次世代にバトンタッチします』という挨拶です。このため多くの日本企業はグローバリゼーションに対する準備を怠ってきました。
  理由は2つあります。
@ グローバリゼーションへの対応というと、米国で実施している手法を取り上げ、新経営準備室をつくり、CIOを選定し、新戦略をたて、ある部門で使い始める方式を取ってきました。日本の社長はそのことで安心し、世界戦略に乗っていると勘違いしていました。
A 経営のIT化については経産省が熱心に指導しており、その成果を信じた経産省は各社に自社のIT経営を披露することを要請しました。慌てた企業は業者を呼んで、米企業のIT経営ソフトを購入し、お披露目をしました。ところが日本企業の経営は稟議制で実施しており、欧米企業と直接経営行動を一体化している企業を除き、実態は稟議方式しか使えないことがわかり、米国ソフトから日本方式に切り替える作業で大きな損傷を出しましたが、稟議制に戻し、正常経営に戻しました。
B 最近になり今度はDXが目下の標的となり、成果を上げていると新聞に書いていますが、自社のIT経営ができない企業が簡単にDXを使えるはずはありません。
C IT経営をするのであるなら、従来の業務遂行の方式が違ったわけで、組織の変更なしにはできないはずです。なぜできないかというと、日本のタテ型組織の最も大切な感覚は仕事の正当化ではなく、肩書主義で上級者の命令に背くとのけ者にされます。成果が出ないで困ったときだけ有能者に指令が出ますが、成功しても、その成果を強調するとのけ者にされます。
D これまでの社長は自分が会長に昇進する際、Yes Manを選びます。忖度経営なのです。高度成長時代の大企業の社長は国民の多くが名前を知っていました。しかし、現在は誰が社長になっているか誰もきにとめていません。

A.それは困ったことだな。次は何かな?

I.1990年以降の状況を紹介します。
1)1990年〜1997年:製造業世界一を謳歌し、日本人は中流から中流の上になったと自負しはじめ、財テクなる戦法を駆使して、不動産投資にはまり、1997年で水没してしまった。

2A)2000年〜2010年官僚組織のバブル崩壊後の対策
災害大国の日本はゼネコンの倒産が最大の課題でした。おかしいけれど10社ともに生き残りました。米国なら2、3を残して競争と拡大化を示唆します。しかし、運よく全社が救済されましたが、建設大企業の下請けで実質的な建築作業を実施する中堅企業は救済が少なく、多くが生き残れませんでした。そのため東日本大震災復興時に大企業は十分いましたが、中堅企業の破産の影響で国が準備した復興予算が余り、建設工事の停滞がめだった。

2B)1990年(製造業世界一の時)一般会計税収60兆円、歳出総額70兆円で国債発行は10兆円でした。
2011年一般会計税収40兆円、歳出総額100兆円、国債60兆円
官僚天下り先に200兆円の資金が流れる。日銀法によると国債の使用は官に限定する。(国民にわからないうちに資金が使われ、更に国債は官が正しく使うものだから、その救済に消費税増額を提案し、国民の50%が納得したといっている。
ここは国民として明確にさせるべきである。天下り先という仕事は世界のどこにもなく、在籍しただけで報酬がもらえるということに恥ずかしさが必要。

3)2014年:アベノミクス第一の矢
財務省によるデフレ政策から脱却するため、消費増税8%の延期を財務省にお願いし、「柔軟なインフレターゲット」を実施した。その結果インフレ率が向上したので、インフレ率向上を進めるため、大企業に自社の社員の昇給要請をしたところ、反対に8%増税を実施し、折角進んだインフレ政策が破壊された。その後アベノミクスでは、10%増税前に「柔軟なインフレターゲット」を実施したが、これも10%増税でアベノミクスの目的は2度も阻害された」。官僚は時の総理が立案実行中のプロジェクトを平気で破壊する権限があるのか伺いしたい。日本中が期待していたアベノミクスも先行き不明になり、総理の怒りが病となって退陣となりました。

     クイズの出題:では何で官僚はこのような行動をしたかわかりますか!


以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  
 
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(13)―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15) 

第174回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(88)−再度「ジョブ型/雇用」と「メンバーシップ型/雇用」の相違とこれからの使い方
第175回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(89
第176回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(90)−日本人の奇妙な発想その2
第177回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(91)−日本人の奇妙な発想その3(ゾンビ企業の救済)
第178回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(92)
第179回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(93)
第180回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(94)
第181回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(95)−官僚という秀才集団の持つ素晴らしさと恐ろしさ
第182回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(96)
第183回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(97)−IT能力の差【米国の自信;日本「ホンネとタテマエ」という風習】
第184回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(98)
第185回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(99)−メルマガ  220618F3
第186回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(100)
第187回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(101)
第188回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(102)
第189回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(103)
第190回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(104)
第191回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(105)


 
一覧に戻る
スポンサードリンク
読者からのコメント

■本稿に対するご意見,ご感想をお聞かせください.■

は必須入力です
コメント
自由にご記入ください

■氏名またはハンドル名
■会社名または職業
■年齢

  
このコンテンツは「プロジェクトマネージャー養成マガジン」としてメルマガで配信されています.メルマガの登録はこちらからできます.