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第168回(2021.01.22) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その168
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(82)
―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(10)
渡辺 貢成 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所 |
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
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第167回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(81)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(9)
第168回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(82)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(10)
A. メルマガリードでグローバリゼーションに対する米国側の戦略は理解したが、これに対する日本側の対策はどうなっているのかな?
@ それでは日本側の対応を説明します。グローバリゼーションに対する政策として、これまで、アベノミクスがその任にあたると説明してきました。しかし、実態はそれ以前の日本企業の動きの悪さがあつた。
A 戦後から今日まで日本の企業は製造業に適した体制をとり、世界一になったが、1990年がピークで、そこからバブル崩壊まで、日本全土が財テクに傾き、直後1997年にバブルが崩壊した。
B 2000年以降のアメリカはグローバリゼーションに備えてIT経営が活発化したが、日本は国中が財テクに励み、バブル崩壊の影響が大きく、その後処理に忙殺されIT経営どころではなかった。
C 日本は戦後、工業地域の壊滅で1からの出直しだった。まずはモノづくりから出発した。次に人材がなく、無経験の新入社員の教育からはじめ、2から3年ごとに職場を変え、体制を整えていった。しかし、これら人材は企業の金で教育したため、これら人材が他社にスカウトされるのを防ぐために、終身雇用制を採用した。そのため大企業はじめ多くの企業は、4月に新卒社員を採用し、育成するため、初任給を安くし、年々の昇給でも、部長職まで大差をつけない年功序列方式を採用した。このため日本の企業は人材が育っているにも関わらず、会社全体の報酬を安くすることに成功した。しかし、人間はすべてが平等であると働かなくなる。これに対して日本企業は素晴らしい発明をした。社員全員に名刺を配布した。サラリーマンに社会的に認識される格式を与えた。名刺一つで、自分の誇りを相手に植え付けることができる。その結果この方式は社員に驚くほどの忠誠心と誇りを与えた。そしてこの方式は今でも継承され、日本の製造業はタテ型組織という形で機能してきました。それは終身雇用方式、年功序列型評価システム、高経験者による稟議制度による安定した経営管理として生かされてきた。
D 2000年以降日本はバブルの後の片づけと同時にIT経営の活性化を目指す必要があり、遅ればせながら日本ITユーザー協会はIT経営に踏み込んだことを宣言し、ITコーディネータ協会が大企業から小企業に至るまで指導して歩きまわった。
E しかし、残念ながら日本企業のタテ型組織の経営者はIT経営とは何か理解できなかった。そこで経営者は専門家の勧めで米国企業のIT経営ソフトを購入することで100%運営できると決断し、大枚払って米企業のIT経営ソフトを購入した。
F しかし残念なことに米企業のIT経営ソフトは高度なものであり、稟議制との相性が悪く、仕方なく莫大な金を使ってアナログに再度切り替えました。
A.それは未だにIT経営は実施していないのかな?
G その件は私の手元にハーキュリー・ジャパン元社長仲元俊一著「アメリカ経営56のパワーシステム」という本があります。経営に関する発想が日本企業と180度違っているお話を来月号で説明します。今月は下記「日本社会のしくみ」をお話しします。
H 小熊英二著「日本社会のしくみ」を読みました。
第一章の要点:
日本社会は、「大企業型」26%、「地元型」36%、「残余型」38%
非正規雇用は増えているが、正規社員はさほど減少していない。
非正社員の増加分は「地元型」に多い自営業の減少による。
経 団 連 :この恐るべき同質集団
・経団連正副会長 19人
・会長以下12名東大卒、一橋大3名、京大、横浜国、早稲田、慶応各1人
・この集団は何処どこ出身が評価の対象で、個人の能力を問うていない。
第二章の要点:
欧米はじめ日本以外の企業は三層構造(上級職員・下級職員・現場労働者)をなし、企業横断的(上級職員はよその上級職員から)求職者を採用し、昇進も同階層からの昇進で、下層職員からは行われない。そこには「職務の平等」はあるが、「社員の平等」はない。
企業横断的では専門能力や大学院の学位があったほうが有利で、日本では学位より「社内の頑張り」が評価される。同時に卒業大学名の競争になり、学位取得のインセンティブが働かず、その結果日本は「低学歴化」のままである。
・職務(ジョブ)の原理:雇用者は請け負って欲しい職務(JOB)の内容を明らかにして人材を募集する。その際賃金、勤務条件、勤務事務所、所属部署、職務に必要な知識、学位、資格、合同基準法、地位などを書いた職務記述書を用意する。
条件に適した人材であれば採用し、成果を出せば約束の報酬が与えられる。
・一方日本は年功賃金が主体であるので、成果を出しても成果額が少ない。理由はこのタテ型社会はやっかみの世界でもある。一人の報酬の差が拡大すると、他の多くの社員の熱意が冷め、全体としてマイナスになるという理由である。また、このタテ型組織はある意味で賢い手法を取っている。名刺の肩書で管理者を評価し、報酬では差別化を大きく取らない。やっかみの社会では能力者が欧米流に自己アピールを強めると、評判が下がる。名刺は無言で管理者を評価している。報酬の差が少なくても我慢できる。報酬で差別された人間は管理職という激務のわりに報酬の差が少ないことを知って納得し、無理をしない習慣が残っている。
以上
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第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
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第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1) (2) (3)
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(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
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