第167回(2020.12.22) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その167
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(81)
―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(9)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1) 
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
第161回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(75)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(3)
第162回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(76)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(4)
第163回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(77)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(5)
第164回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(6)
第165回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(79)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(7)
第166回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(80)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(8)
第167回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(81)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(9)

A. 先月号で、アベノミクスが当初は破竹の勢いで第一の矢、第二の矢を放って期待が持てたが、第3の矢を放ってから財務省派に煮え湯を飲まされた形になった。それは何故かな?

I. Aさん、この問題も重要ですが、少し後回しにしていただきたい。私は新型コロナ危機に直面して、これを【時代の激変】と受け止め、アベノミクスに関する情報、日本国官僚が実施している政策、グローバリゼーションに対する課題に関して、30冊以上の新刊書を読みました。
ここで発見したことは「日本人は正に島国的発想の人々の集団だ」ということでした。

A. それは面白い。その特徴を聞きましょう。

I. 日本は終戦直後の破壊状態から新しく出直しました。日本人はここで重大な戦略を2つ決定しました。
第一が米国の土木事業者の日本上陸の阻止でした。災害大国日本は毎年多くの災害が発生し、その修復に金がかかる。この仕事に米国企業が乗り込んでくると、国家の独立性が失われるとして、日本国規格標準を米国標準と大幅に隔離したこと。
第二が国家組織、企業組織等の構築概念を新しくした。
@組織が新人を採用し、1から教育し、教育後のノウハウを持つ社員の温存を図るための終身雇用制を確立した。
A年功序列方式を確立(個人の能力・および業績評価基準の落差を少なくした。組織の和を図り年功賃金での不平を解消)日本式タテ型組織を確立し、製造業世界一を確保した。

A. その通りだ。それがどうしたのかな?

I. 1995年に米国はインターネットを世界中の国々に拡大し、世界的な競争を始めた。そのため米国は経営のIT化を試み、サービスの生産性を10倍に向上させたのを境に、ITの画期的な活用で、企業の競争力を強化した。そこでわかったことは、IT経営の最重要項目は【未知の戦略情報の入手】で、これが企業の成長を左右した。

A.なるほど!そのとおりだな。この時期に日本はどんなビジョンで世界一を保持する考えだったのかな。

I. 日本は1990年に製造業世界一となり、今後今の有利性を確保するため、世界一を維持する戦略ビジョンを持つという任務があった。しかし、2つの出来事で、戦略ビジョンが持てなかった。
理由1.この時期に日本企業と日本人は財テクにはまり込み、ゴルフの会員権の値上がりが、退職金より高くなったため、日本人全員の気分が中流の上と舞い上がった。気が付いたら1997年にバブルが崩壊し、寝耳に水の騒動で、将来ビジョンなどなかった。

A.私から見ると、この時期は政界の変動が激しく、1993年に自民宮沢総理から細川、羽田、村山各総理へと変動し、1997年橋本総理(自民)に代わり、バブル崩壊となった。2000年には大蔵省が財務省となり、消費税問題が課題となっていった。この時期の日本人はデフレ経済の中で、国債を使うと国の借金が増え、この後の運営が困難になるという財務省の呼びかけに反応し、消費増税の必要性を国民に認めさせたが、内閣が自民から初めて変わったため、その対応に忙しく、グローバル対応戦略など考える暇もなかったとみてよい。しかし、この日本の現状を是正し、財務省のデフレ政策をかえたのがアベノミクスであった。

I.私は日本国が製造業世界一になったのに、経団連は今後の世界一を維持する活動を起こさなかった。その問題は次回以降で述べますが、経団連は自分たち仲間集団の利益向上を図ることを主に考え、これから戦う筈の世界市場への認識に興味を持たなかったことに怒りを感じます。これに対し世界制覇に向けた韓国サムスンの動きを披露します。
日本がサムスンへの技術的支援をおこなった際に、日本企業も世界一戦略の構想を内々固ためるいい機会だったが、“財テク”に走り、残念ながらその発想の機会がなかった。一方サムソンは日本からの技術支援後、次のことを行いました。韓国はIMFトラブル以降日本で開発したDRAMや研究手法を学び、その製品の優秀性(コストに対する質の高さ、使い勝手の良さ)を吸収し、顧客の経済・環境状況に合わせた製品の提案を武器にして世界に新製品を販売し、新製品開発でも一日の長があることを見せた。

日本はまた韓国金大中氏の日本亡命中にもいろいろと支援を行ってきたが、金大中氏亡命中東京大学客員教授となった、韓国人某氏(名前失念)は「大型志向の米国人」に対し「縮み志向の日本人」という本を出版され、私は彼の慧眼に感服しました。彼は金大中政権で文化大臣を務め、韓国文化を世界に売り込む事業をおこした。韓国のK−ポップを用意周到に企画し、その国々にアピールする手法を考案し派遣した。サムスンは世界制覇を実施するための手法として、各国に最低1名を派遣し、この国の現状に合った製品とは何かをしらべ、売れる製品とは何か、売れる値段はどの範囲かを調査させ、それに見合った製品を出荷した。と同時に韓国文化をアピールし、その国に韓国の名声と親しみを確立させた。

A.韓国に比して日本はどのようなグローバル戦略を何か考えているのかな?

I.日本製品が最高だと高価な製品を展示したが、その国から信頼されなかったというのが一例ですが、以下の本を読んでいいただくといかに日本は努力していないのかわかります。  韓国が世界に向かって実行したことを多摩大金美徳教授著「韓国企業だけが知っている日本企業『没落』の真実」をお読みいただきたい。この提案はモノが売れるための隠し味があることも提案しています。


以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
第33回 「何か変だな」(11)〜「少子化問題と一人っ子政策の討論」
第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
第36回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(1)〜PMOに消火活動チームの設置
第37回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(2)〜働く女性のために小学校の低学年児童の居残りは学校が面倒を見たら!
第38回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(3)〜アイデアは出すことより、実行+が難しい。実行が難しいから、皆考えなくなる
第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

第51回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(1)〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

第58回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」―情報を活用する能力(1)―〜What toからHow to enjoy project managementへの転換
  (2)  (3)  (4)  (5)

第63回 「世界が変化している。原理・原則を知って変化に対応しよう」―ビジネスの基本に戻ろう(1)― −変わる基本、変わらぬ基本の理解−   
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

第75回 「世界が変化している中で、日本人は自分のことをよく知っているのか」―勉強をしたバカとは何か勉強しよう(1)― 
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)   (7)   (8)   (9)  (10)  (11)  (12) 

第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
  (2)  (3)   (4)   (5)   (6)  (7)   (8)   (9)   (10)   (11)    (12)  
 
第99回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(13)―グローバル市場で“勝ち抜くための戦略”−(1)

第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
  (2)  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15) 

第174回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(88)−再度「ジョブ型/雇用」と「メンバーシップ型/雇用」の相違とこれからの使い方
第175回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(89
第176回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(90)−日本人の奇妙な発想その2
第177回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(91)−日本人の奇妙な発想その3(ゾンビ企業の救済)
第178回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(92)
第179回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(93)
第180回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(94)
第181回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(95)−官僚という秀才集団の持つ素晴らしさと恐ろしさ
第182回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(96)
第183回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(97)−IT能力の差【米国の自信;日本「ホンネとタテマエ」という風習】
第184回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(98)
第185回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(99)−メルマガ  220618F3
第186回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(100)
第187回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(101)
第188回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(102)
第189回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(103)
第190回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(104)
第191回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(105)


 
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