第164回(2020.09.24) 「プロジェクトマネジメントを楽しむ」 その164
「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)
―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(6)
渡辺 貢成
 kosei.watanabe@sweet.ocn.ne.jp
(有)経営組織研究所
第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1) 
第160回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(74)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(2)
第161回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(75)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(3)
第162回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(76)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(4)
第163回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(77)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(5)
第164回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(78)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(6)

A.Iさん、菅新総理が立候補演説で、これ以降10年間に消費税増税はないとはっきり言ったが、何を意味するかわかるかな。

I.ここで改めてアベノミクスの3つの矢の説明をします。

第1の矢:大胆な金融緩和政策の実施 
@ 日銀のこれまでの金融政策の枠組みを変更し、「レジーム・チェンジ」する
A 新しい金融政策の核心は、市場のデフレ予想を緩やかなインフレ予想へと転換する
B 予想の転換を確実にするために、日銀は国債買いオペの上限を小出しに引き上げるのではなく、目標を達成まで「無制限に買いオペを進める

第1の矢の重点事項デフレから離脱する方式とした「柔軟なインフレターゲット」の設定
インフレターゲットの数値を見ていると日銀が正しい金融政策を実施していることがわかり、民間企業が安心して新規案件への投資ができ、経済が上昇する。
米国イエール大学浜田宏一名誉教授の支援をえて、財務・日銀の強烈な反対を押し切って「大胆な金融緩和政策」が実行できた。
これまでの規制:大蔵省、日銀は日銀当座預金残高が増えると、民間企業への貸出停止で、デフレ政策を継続してきた。(世界的にはあり得ない規制)

第2の矢:機動的な財政政策
金融が緩和しても、具体的な実施テーマとテーマへの投資額を確実に増やすことで現実の案件が実施される。
投資への順位:@通常は公共投資であるが、アベノミクス以外でも進めているので、規制緩和につながるものがテーマとなる。A国や地方自治から事業主に支払われる財政資金、B公共投資に関連する民間の投資を誘発するもの。

第3の矢:民間投資を喚起する成長戦略
第3の矢の成長戦略の主役は民間企業です。民間部門で成長力のある分野に経営資源、資本、労働力が流れやすい環境をつくるのが政府の役割です。

成長戦略が働きかけるのは主に企業などモノやサービスの供給側です。
これを「供給側政策」(サプライサイド・ポリシー)と呼ばれます。
これに対し、金融政策や財政政策は主に消費や投資といった需要側に働きかける政策なので、「需要側政策」(デマンドサイド・ポリシー)と呼ばれます。

☆(1)これから実施するアベノミクス
ここからが重要です。我が国はアベノミクス手前までの10年間デフレ政策を実施してきました。国債を使うのは民間でなくて官を対象にした案件に限られました。官はその金額を見越して200兆円を年間費用としてすでに確保しました。
しかし安倍総理が望んだ金額は日本のGDPは600兆円でした。最近では目標を下げて530兆円としました。官以外の案件が330兆円となります。

(2)ここでアベノミクスが求める内容は民間投資を喚起する成長戦略
・成長戦略で通常取られている政策は
@規制緩和
A国営企業の民営化
B投資減税などによる投資の促進
C職業訓練や教育の充実による人材育成
D貿易の自由化、特に海外との経済連携
E成長が予定される特定産業への財政支援(ターゲティング・ポリシー)
Fエネルギー政策
・金融政策はインフレ予測がなければカネは回らない。
       
☆(3)これまでのインフレ予測率と官の抵抗
アベノミクスが始まる2014年に財務省は消費税を8%に増税しました。一度上がったインフレ率が増税のため国民の節約があり、インフレ率は低下し、景気回復が下がりました。2019年では安倍政権は増税を反対しましたが、森友・加計スキャンダル、お花見問題が浮上して、内閣は増税を認めたため、インフレ率上昇に失敗しました。私は日本の官のやり方は、自分たちの意にそぐわないと、内閣が変わると元にもどしてしまいます。郵政民有化に成功した小泉内閣も、民主党内閣に代わるとすかさず、国有化に戻してしまいました。そして天下り人事に成功しましたが、民間人経営者を外し、官指導の郵政は失敗の連続で、仕方なく社長に民間人を採用し、表面をつくろっています。日本が最大の危機に直面しています。有能な人材を採用して官も民も含めて”ノブレス、オブリージェス“の精神で事に当たらないと、国がつぶれるということを考えないのでしょうか。

次回はアベノミクスで成果を上げる以前の課題について提案します。皆さん方のご意見をいただきたいと思います。



以上

プロジェクトマネジメントを楽しむ バックナンバー
第1回 プロジェクトを楽しむには多くの仕掛けがいる
第2回 PMを楽しむ仕掛けは時間が生み出す
第3回 基礎をしらないとPMは楽しくならない
第4回 仕事を減らす楽しみを覚えよう   (2)  (3)


第7回 行動の中から楽しみを生み出そう(1)
第8回 行動を頭に合わせよう(2)
第9回 行動を頭に合わせよう(3)
第10回 目的があって仕事がある(1)   (2)   (3)

第13回 日本の『現場力』を再度強化しよう(1)
 
  (2)   (3)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)

第23回 「何か変だな」(1)〜「お客様は神様か?」
第24回 「何か変だな」(2)〜「頭を使う人々が、(生産性に)頭を使わないのはなぜ?」
第25回 「何か変だな」(3)〜「問題と課題の違いがわかるかな?」
第26回 「何か変だな」(4)〜「資格を取っても役に立たない?」
第27回 「何か変だな」(5)〜「「物事」とは何か?」
第28回 「何か変だな」(6)〜「タテマエとホンネ」とは何か?
第29回 「何か変だな」(7)〜「カタカナ言葉と漢字」
第30回 「何か変だな」(8)〜「これからは日本の時代って本当?」
第31回 「何か変だな」(9)〜「ものづくりは技術が基盤って本当?」
第32回 「何か変だな」(10)〜「サービスはタダか、サービスはマネーか?」
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第34回 「何か変だな」(12)〜「何か変だな!講演会」
第35回 「何か変だな」(13)〜「何か変だな!講演会2」
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第39回 「世の中をよくするアイデアを出してみよう!」(4)〜How to の時代からWhat toへの転換
  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

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第52回 「プロジェクトを実践して楽しもう!」(2)―緊急時の対策― 〜What toからHow to enjoy project managmentへの転換
  (3)  (4)  (5)  (6)  (7)

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  (2)  (3)  (4)  (5)

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第87回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」−アベノミクスを成功させるためにー“想定外”と“ゼロベース発想”−(1)
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第159回 「日本人がグローバリゼーション下で勝ち抜くための発想転換」(73)―日本がグローバル市場で勝ち抜くためへの反省と提案−(1)
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