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第12回(2006.07.28)
WBS辞書
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 |
前回は、コスト知識エリアの「コストの予算化」プロセスのツールと技法として、コスト・ベースラインを取り上げましたが、今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの12回目として、WBS辞書を取り上げます。
◆WBS辞書
WBS(Work Breakdown Structure)って聞いたことはあるけれど、WBS辞書って何?と思われる方が多いのでは、と思いますが、皆さんいかがでしょうか?
WBSは、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャーと言って、PMBOKによると
プロジェクト目標を達成し必要な要素成果物を生み出すために、プロジェクト・チームが実行する作業を要素成果物を基にして階層的に要素分解したもの
と書いてあります。
つまり、プロジェクト・スコープをブレークダウン(要素分解)し、必要な作業を洗い出した階層的な図または表のことです。
これだけ知っていれば困らない(手法・ツール) 手法3:WBSとマイルストーン
に詳しい説明があります。
前回の「コスト・ベースライン」も各スケジュール・アクティビティでの見積もりコストを集約した予算金額と、各スケジュール・アクティビティで必要な所要期間と必要資源から割り出されたスケジュールを予算配分のルールに則って作成されます。
したがって、プロジェクト計画の大きな要素を占めるタイム知識エリアの計画、コスト知識エリア計画はWBSの最下層であるワークパッケージ(要素成果物)を作成するための必要な作業(スケジュール・アクティビティ)が基になって作成されていきます。
そのためにも、WBSの構成要素についての詳細な内容の記述が必要になってきます。このWBSをサポートする文書のことをWBS辞書と呼び、ステークホルダーが全スコープを理解できるようなスタンスで記載していきます。
PMBOKに記載されている具体的な主な内容は以下のとおりです。
・WBSコード識別子:
WBSのブレークダウンのレベリングの識別子
・作業範囲記述書:
要素成果物を作成するための作業の記述書
・担当組織:
OBSと対応します
・スケジュール・マイルストーン一覧表:
スケジュール上で重要な意味を持つイベントの一覧
・契約情報:
調達する場合、その契約について
・品質要求事項
・作業の遂行を促進する技術的参考文献
また、ワークパッケージに関しては、特に次の内容を加えます。
・関連したスケジュール・アクティビティの一覧:
親WBS項目
先行アクティビティや後続アクティビティ
・必要な資源
・コストの見積り
などです。他に、リスクやコミュニケーション、関連するステークホルダーの分析など必要な項目を付け加えます。
WBS辞書は、プロジェクト・スコープ記述書とWBSとともにスコープ・ベースラインを形成します。
ベースラインとは承認された計画のことであり、監視・コントロールプロセス群で進捗を測るための実績と比較するための計画のことです。
したがって、スコープの実績差異を測るために必要なことをどこまで書くかということになってきます。
また、プロジェクト・マネジャーが使うWBS辞書とメンバーが作業を実行する際に使うWBS辞書は異なり、何をマネジメントするかによって、また、誰が使用するかによって詳細度を、まず、スコープ・マネジメント計画書で決めるという流れになっています。
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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。
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