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第114回(2006.08.29)
プロジェクトマネジメントとPMO(1) |
◆はじめに
前回はプロジェクトマネジメントチームという普段あまり注目されない役割に注目し、プロジェクトマネジメントチームが機能するためには、プロジェクトのWBSだけではなく、プロジェクトマネジメントのWBSをきちんと作るというプロジェクトマネジメントの「基本」に戻る必要があることを指摘した。
プロジェクトマネジメントチームを活かすマネジメント計画
この議論は、「PMOのプロジェクト直接支援」と置き換えてもそのまま成立する議論である。最近、「PMOって何をすればいいのでしょうか?」と聞かれることが増えたが、この問題は以下の3つの理由で一概には答えられない。一つ目はプロジェクトマネジメントの目的によってPMOのすべきことは変わってくる。二つ目はプロジェクトマネジメントの成熟度(プロジェクトマネジャーのスキルなど)によって大きく変わってくる。そして3つ目はプロジェクトマネジメントの実行スタイルによって変わってくる。
3つ目の理由として非常に大きなポイントになるのが、どの程度のマネジメントWBSが作られているかだ。
◆EPMとPMO
さて、この議論は後回しにして、本題に入って行きたい。pmstyleでは、この「プロジェクトマネージャー養成マガジン」以外に、「PMOマガジン」というPMO専門のメルマガを発行している。
「PMOマガジン」(現在はイノベーティブ・イニシアチブ)
PM養成マガジンでわざわざPMOの話題を取り上げたのは、PMOがプロジェクトマネジメントやプロジェクトマネジャーにとってどのような意味を持つかを明確にするためである。
PMOが最初に注目されるようになってきたのは、おそらく、5年くらい前である。
そのきっかけはエンタープライズプロジェクトマネジメント(EPM=組織のプロジェクトマネジメント)が注目され、セットでPMOが注目されるようになった。
そのせいか、プロジェクトマネジメントを成功させるにはPMOという方程式が言われるようになった。イメージ的には、プロジェクトマネジメントを導入するのと、PMOを導入するのを同じイメージで捉える企業が増えてきたように感じる時期があった。時期的には、IT業界のように早い時期からプロジェクトマネジメントに取り組んできた企業が次の強化の一手としてPMOに着目した側面がこの傾向を加速したようにも思われる。
◆PMOの役割は意思決定の支援
しかし、PMOは本質的にプロジェクトマネジメントにおける意思決定をする役割ではない。プロジェクトマネジメントの意思決定をするのは、プロジェクトマネジャーであり、「プロジェクトマネジメントはどこに向かうのか」シリーズで述べてきたように、プロジェクトスポンサーである。
プロジェクトマネジメントはどこに向かうのか(その3)〜プロジェクトマネジメントの分担
◆意思決定の支援、2つの方法
PMOは基本的にこれらの人たちの意思決定の支援を行う。支援には2種類ある。一つは、意思決定のための情報提供、あるいは、ツールの提供といった間接的な意思決定の支援である。もう一つは支援というと語弊があるかもしれないが、プロジェクトマネジャーが意思決定にかけることのできる時間を作ることである。
このように考えると、リカバリーのような第三者介入が必要なケースは除いて、PMOの導入によりプロジェクトが成功するという図式はPMOの本来の役割である仕組みづくりの中で考えていくのが妥当である。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「コンセプチュアル・マネジメント(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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