第5回(2006.05.19)
OBS(組織ブレークダウンストラクチャー)
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの5回目として、人的資源知識エリアの「人的資源計画」プロセスのツールと技法であるOBS(組織ブレークダウンストラクチャー)を取り上げることにします。

◆OBS(Organization Breakdown Structure)
OBSはプロジェクト組織を階層的に図式化したもので、ワーク・パッケージと母体組織の部門とを関連付けるように配置したものです。

プロジェクトの計画を作成するには、まず、プロジェクトで必要な作業を洗い出すために、WBS(Work Breakdown Structure)を作成します。その中では、プロジェクトで作成する成果物をブレークダウンして作成していきますが、成果物をブレークダウンした最小の成果物のことをワーク・パッケージと呼びます。

そして、次のステップでは、ワーク・パッケージの責任者を明確にし、それをプロジェクト組織として図式化することで、組織のワーク・パッケージに対する責任を明確にしていきます。

WBSは組織指向で、作業を洗い出していくのではなく、プロジェクトの目標を達成するために必要な成果物をまず定義し、そして、その成果物を構成する要素成果物にブレークダウンしていきます。

最後にブレークダウンされた要素成果物がワーク・パッケージであり、そのワーク・パッケージを全部統合するとプロジェクトの目標を達成するために必要な成果物ができ上がるという構成になっているはずです。(ワーク・パッケージは、その後、ワークパッケージを作成するために必要な作業にブレークダウンしていきます。)

つまり、既存組織があって、その組織ができる作業ということでWBSを作成していくのではなく、成果物からブレークダウンします。

そして、そのブレークダウンされたワーク・パッケージに対して、作成する責任者(組織)を割り当て、そのワーク・パッケージ責任者の一覧を階層化したものがOBSです。

    WBS
     ↓
             責任者
ワーク・パッケージ1   A氏
・・・
ワーク・パッケージ3           C氏
・・・
ワーク・パッケージ7       B氏
・・・
             A氏  B氏  C氏      ←OBS
              |___|___|
                  |
                 PM氏

上図のように、WBSとOBSはマトリックスの関係であり、その交差したところにワーク・パッケージに対する責任があります。

このワーク・パッケージの責任について、具体的に個人を決め、責任と役割をマトリクス化したものが第1回目で取り上げましたRAMです。

RAMではワークパッケージ単位の責任やさらにブレークダウンした作業単位の責任など、成果物のレベルを変えることによって、RAMを利用(作成)する対象が変わってきます。

プロジェクト・マネージャーであれば、主要成果物のRAM、チームリーダーであれば、作業単位のRAMを作成し、利用することで、責任者・参加者・承認者・レビュー者などを明確にしていきます。

プロジェクト組織については、こちらで詳細に述べています。

次回は、タイム知識エリアの「アクティビティ所要期間見積り」プロセスのツールと技法である見積り方法です。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。


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