第6回(2006.05.26)
見積り方法
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 

今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの6回目として、タイム知識エリアの「アクティビティ所要期間見積り」プロセスのツールと技法である見積り方法を取り上げることにします。

◆見積り方法
タイム知識エリアの「アクティビティ所要期間見積り」プロセスは、プロジェクトマネジメント計画書を策定する最初の方の段階ですが、何を行った後にするのでしょうか。

プロジェクトの計画を作成するには、まず、プロジェクトで必要な作業を洗い出すために、WBS(Work Breakdown Structure)を作成します。その中では、プロジェクトで作成する成果物をブレークダウンして作成していきますが、成果物をブレークダウンした最小の成果物のことをワーク・パッケージと呼びます。

そして、その後、ワークパッケージを作成するために必要な作業にブレークダウンしていきますが、そのブレークダウンされた作業のことをアクティビティと呼びます。

スケジュールを決定するためにまず、アクティビティ毎に次のことを行います。

●アクティビティ順序設定
アクティビティ間の依存関係を見つけます。必ず先行アクティビティと後続アクティビティが決まっているもの、外部の作業(例えば、機器の発注など)によって、アクティビティの順序が決まるもの、全く他のアクティビティと順序関係がないものの3種類に分けます。

●アクティビティ資源見積り
そのアクティビティで必要な資源(人員、機器、物資など)の種類とその量を見積ります。もちろん、この資源がこのプロジェクト期間中に使えるかどうかということも判断します。

●アクティビティ所要期間見積り
それぞれのアクティビティを完了するためにどのくらいの期間が必要かを見積もります。ここでは、まず、延べ工数(時間または日数)を求め、その後に資源見積りの結果から、期間(工期)を見積もっていきます。この延べ工数を求める際に利用するのが、見積り方法です。

PMBOKでは、次の見積り方法をツールと技法で取り上げています。

▲専門家の判断
文字通り、過去の情報などから専門家(その業務に詳しい社員やコンサルタントなど)に所要期間を見積もってもらうことです。

▲類推見積り
過去のプロジェクトの類似アクティビティの実所要期間から所要期間を見積もる方法です。プロジェクトの初期段階でプロジェクトに関する詳細情報が少ない状態での見積もりによく利用されます。

▲係数見積り
アクティビティの見積りに基準値があり、実行すべき作業量に生産性をかけることで定量的に見積もる方法です。例えば、図面設計に基準値があり、図面枚数をかけて見積もる方法です。

▲3点見積り
3点見積もりは最も可能性が高い所要期間である最頻値と、最良のシナリオ(最もトラブルが起こらず作業が進むと想定した場合など)に基づいて見積もった楽観値と、最悪のシナリオ(あらゆるトラブルが起こると想定した場合など)に基づいて見積もった悲観値の3つの見積り値から所要期間を求める方法です。

それぞれの3つの値は、上記の3方法などから求めます。この3点見積りの方法は、以前はPERTと呼ばれていましたが、なぜか、PMBOK3からは3点見積もりと呼ぶようになりました。

PERTについては、こちらで詳細に述べていますので、ご覧ください。
PERT手法


次回ももう少し、見積り方法を取り上げます。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。

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