第8回(2006.06.16)
納入者選定
プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代 
 
今回は、「PMBOKのツールと技法を極める」シリーズの8回目として、調達知識エリアの「納入者選定」プロセスのツールと技法を取り上げています。

◆納入者選定
調達知識エリアの実行プロセスである「納入者選定」プロセスでは、納入者からの見積り、オファー、プロポーザル(納入者が作成する文書のことで、納入するプロダクト、サービスなどの供給能力を示しています)を評価して、納入者を選定し、契約に関する交渉を行います。

その選定するためのツールと技法として、

1.重み付け法
2.独自見積り
3.スクリーニング・システム
4.契約交渉
5.納入者点数評価システム
6.専門家の判断
7.プロポーザル評価法

があり、
重み付け法、独自見積り、スクリーニング・システムを今回は取り上げます。

重み付け法は、個人的な先入観の影響を抑えるために、定性的なデータを定量化する方法で、各評価基準に対し、数値による重みを付けます。
そして、各評価基準に対して納入者候補を採点し、その採点に重みを乗じて、合計点で評価する方法です。

例えば、A,B,Cという納入者候補に対して、技術力、実績、短納期を5段階評価
(5:最高点)するとします。
      A  B  C
技術力   5  4  3
実績    4  4  3
短納期   3  3  5

ここで、技術力:1,実績:1,短納期:2という重み付けをしますと、

A:5×1+4×1+3×2=15
B:4×1+4×1+3×2=14
C:3×1+3×1+5×2=16

と、技術力、実績、短納期で納入者を評価しますが、短納期を最も優先した評価を定量化して行った結果、Cが最高点になっています。

このように、重み付け法は、評価基準を事前に決めておいて、見積り依頼や入札を行い、納入者から提出された見積り、オファー、プロポーザルを決めておいた評価基準で評価する方法です。

独自見積りは、納入者が提示した価格をチェックするために、調達を行う組織(例えば、購買部などの部門)が、コスト見積りを行い、比較する手法です。両者の見積りに大きな差がある場合は、納入者に提示した作業範囲記述書が不十分であったり、納入者が不当な見積りを行っている可能性があります。このようなことを防ぐためのチェック方法です。

スクリーニング・システムはいわゆる足きりと呼ばれている手法で、最低必要条件を 満たさない納入者は選定からはずします。その最低必要条件については、重み付け法、独自見積りを用いることもあります。

次回も調達について取り上げたいと思います。

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PMBOKは、米国PMIの商標(R)です。


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