前回は、リスク知識エリアのリスク識別プロセスのツールと技法である根本原因の識別を取り上げました。
今回も、リスク知識エリアのリスク識別プロセスのツールと技法であるSWOT分析を取り上げます。
◆SWOT(Strength, Weakness, Opportunity, Threat)分析
そもそも、SWOT分析とは、マーケティング戦略や企業戦略立案で使われる分析の手法であり、、組織の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの軸から評価し、自社の位置付けを総合的に判断するツールです。
SWOT分析は、「自社」についての分析と「自社をとりまく環境」について分析するツールであり、自社についての分析とは、自社の (競合他社と比較した相対的な
)強みと弱みを明らかにすることであり、環境についての分析とは、自社を取り巻く環境(顧客、競合他社、政府、経済状況などの競争要因)に関するビジネスでの機会と脅威を明らかにすることです。
リスク識別では、強み、弱み、機会、脅威の各観点からプロジェクトを検討することで、幅広いリスクを対象とした検討を行うためにSWOT分析を使用します。
手順は次の通りです。
・プロジェクト内部の力ではどうしようもない外部環境の洗い出し
・プロジェクト内部のスキルやリソースがプロジェクトに与える影響の洗い出し
・それぞれを解決するための対応策を考える(リスク対応計画プロセスでも行う)
外部環境の洗い出しでは、自社あるいは自社の事業を取り巻く環境を、モレなくダブリなく具体的な記述で機会、脅威に分類します。
内部環境の洗い出しでは、プロジェクトで作成する製品の競合製品と比較した相対的な強み、弱みやプロジェクト内の強み、弱みの客観的な事実を洗い出していきます。
洗い出したものを横軸に機会、脅威、縦軸に強み、弱みを書き出し、内部の2×2のマトリクスに対応策を記載していきます。
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機会 |
脅威 |
強み |
機会において強みを
最大限に活かす対策 |
他社にとっての脅威を
強みで機会にする対策 |
弱み |
弱みで機会を
逃さない対策 |
脅威と弱みで最悪の状況
にならない対策 |
このようにSWOT分析は、プロジェクト計画書のレビューからは識別することができない外部環境、内部環境におけるプロジェクト・リスクを洗い出し、対策を立案できるツールとして使用されています。
また、マイナスのリスクだけではなく、プラスのリスクについても考えることができる手法です。
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